2023年

11月

14日

「運動神経をよくするには」を考えるブログを始めるにあたって

「運動神経をよくするには」よく聞かれる言葉です。トランポリン教室に訪れる人にはトランポリンをすることで、子どもの運動神経をよくしたいと期待している人も多くいます。

 

 自分の手には余るテーマかも知れませんが、このブログではそれについて日々経験したことや考えていること、自分が得た知識、そしてそれを教室にどう生かしているかについて、さらに日本体操協会が推奨している「トランポリン・エアリアルトレーニング」とからめて「運動神経をよくする」とはどういうことなのかを考えていこうと思います。

 

 大きすぎるテーマなのでまとまったものにならないと思いますし、おそらく、結論は永遠に出ないと思います。個人の体験や考えに基づく偏見もあるかもしれませんが、興味のある方はお読みください。また、ご意見などある方は、「お問い合わせ」よりご連絡ください。

 

 

 

2023年

11月

24日

「運動神経をよくする」ための本

 トランポリン広場J-cubeを始めて、12年が経ちましたがその間、運動神経を浴するにはどうすればいいかをずっと考えていました。参考になりそうな本も何冊も読んできました。
 「運動神経をよくするには」それをテーマにした本は何冊も出ています。
タイトルに「運動神経」と入っている本で、自分が所持しているだけでもざっと以下のようなものがありますので、興味があれば読んでみてください。
『運動神経がよくなる本?あきらめるのはまだ早い』(白石 豊著)
『運動神経がよくなる本-「バランス」「移動」「操作」で身体は変わる!』(中村和彦著)
『どの子ものびる運動神経 幼児期の運動100選』(白石豊著)
『どの子ものびる運動神経 指導者編』(白石豊著)
『どの子ものびる運動神経 小学生編』(白石豊著)
『もっともっと運動能力がつく魔法の方法―逆上がり・かけっこ・跳び箱がみるみる得意に!』(東根明人著)
『子どもの運動能力を引き出す方法―親子遊びと姿勢チェックが第一歩』(佐藤雅弘著)
『運動がとくいな子になる育児BOOK』(英夫, 高岡;著)
『 運動が得意になる子どもの育て方??親子で遊びながら、10歳までに瞬発力とリズム感を鍛えよう!』(NPO法人 上州アスリートクラブ著)
『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(遠山健太, 著)
『スポーツの得意な子に育つ親子遊び』( 白石 豊著)
『“遊んで”伸ばす!子どもの運動能力?楽しみながらできる「親子遊び」ドリル80』(佐藤雅弘, 著)
『どんな子も運動神経が必ずよくなるトレーニング 』(山本 晃永,川島 浩史著)
『運動神経は10歳で決まる!―立花龍司が教える「ゴールデンエイジ・トレーニング」』(立花 龍司 , 大木 毅 著)
 『運動神経をよくする親が教える体操ドリル』(城間 晃監修)
 『運動神経のいい子に育つ親子トレーニング 』(三木 利章)
 なお、トランポリン関係者向けに1冊を選ぶのでしたら、『運動神経は10歳で決まる!―立花龍司が教える「ゴールデンエイジ・トレーニング」』(立花 龍司 , 大木 毅 著)をお勧めします。この本はトランポリンエアリアルトレーニング(通称トランポリンバッジテスト)がなぜ小学生向けに作られているかを理解するのに非常に役立ちますので。

2023年

12月

12日

「運動神経をよくする」ための本2

 前回「運動神経をよくするには」をテーマにした本をご紹介しましたが、この中の多くの本の構成は似たり寄ったりです。まず最初に運動神経をよくするということについて説明があり、そのあと、著者が推奨する運動やトレーニング、遊びなどが紹介されています。そしてこの部分が本の大半を占める構造になっています。

 

 同じような構成をしても、これら参考文献の焼き直しになっていますので、このブログでは日本体操協会の推奨する「トランポリン・エアリアルトレーニング」を紹介する以外に、実際にどのような運動をすれば良いかを提案することは想定していません。

 

  それよりも、多くの参考文献が数ページで説明している、運動神経をよくするということについて検討・考察していこうと考えています。その多くには私論が含まれていることはご了承下さい。また、思いつくまま書いていきますので、さきに紹介した書籍のようには整理されたものではなく、まとまりないものになると思います。

 

2023年

12月

30日

運動神経が良いってどんなこと?

 昔自分が指導者になりたてのころです。今は民間のトランポリン教室を経営し、指導を行っていますが、その当時は、公共体育館で活動するクラブで指導を行っていました。このようなクラブの場合、チラシや広告やインターネットなどで宣伝しなくとも、生徒の口コミで自然に生徒が集まってきます。つまり全く知らない人が入ってくることは珍しく、多くの生徒はどなたかの紹介で入ってきます。

 

 そのようにして入会してきたある生徒の話です。友達の紹介ですので、その子を知っている人も多くいます。その人たちがみな「今度は言ってくる子は運動神経がいい」と口をそろえて言っていました。でも実際指導してみると、運動神経がいいとは思えず、むしろかなり悪いと自分には思えました。

 

 その子はトランポリンを始める前にサッカーや水泳なども習っていました。また、同学年にしては体格がよくまた生まれつきなのか体幹がしっかりしていました。他の子より運動する機会が多くまた体格が良いので、脚も速く力もあったのでしょう。だから他の子よりもかけっこが速く、体が大きく強いので、運動をすれば勝つ機会が多かったのだと思います。しかし、一つのことが出来るまで他の子より時間がかかる子でした。

 

 なぜ、その子を知っている人は運動神経が良いといい、自分は運動神経が悪いと感じたのか。それは、観ている点が違ったからではないかと思います。その子の友人たちは、結果を見て成績が良いのを運動神経が良いととらえており、一方自分は、技能習得までの経過をみて評価を行っていた。その視点の違いが異なる評価を導き出したのだと思います。

 

 つまり、何を持って「運動神経がよい」といえるのか、それを整理し、きちんと定義しなければ、どうすれば運動神経が良くなるかとか運動神経がよいということはどんなことなのかという答えは出ないということです。

 

2024年

1月

16日

「運動神経がよい」と「運動能力が高い」

 運動神経がよいということは、運動の力が高いということを意味するのでしょうか?

 

自分は「運動能力が高い≠運動神経がよい」だと考えています。

 

 というのは、運動能力は運動体力、運動技術と運動神経の組み合わせでできていると思われるからです。たとえ運動神経が悪くても、体力的に優れていれば、よい成績を出すことが出来ます。特に幼少期などにおいては、みな運動技術はまだそれほど獲得されておらず、行う運動は複雑ではなく、走る、投げる、支える、跳ぶなど単純な動作能動が多いため、体力勝ちできることが多いのです。特に早熟な子、成長の早い子はほかの子より体力で勝っており、体力勝ちできることが多いです。

 

また特定の競技を習っていたりすれば、その競技の技術については、習っていない子より技術力が高いのは普通です。

 

 運動能力は運動体力、運動技術と運動神経の組み合わせで構成されますが、どれかが優れていればよい結果を導き出すケースは多いので、結果を見れば運動能力が高いと見えることが多いのです。でも結果は必ずしも、運動神経のよさを示していません。むしろ幼少期に体力勝ちして優秀と見えた子が、第2次成長期を迎えて体力差がなくなったことにより、勝てなくなることも多いように思います。これがいわゆる「昔天才、今唯の人」と呼ばれるような結果を導き出しているのではないかと考えます。

 

 以上のことから運動能力が高いということと運動神経がよいということは一致していないと考えています。

 

 

 

2024年

2月

08日

転んでも手が出ない子

 トランポリンを始めると、苦手だった縄跳びがうまくできるようになるというのはよく聞きます。中には後ろ跳びのほうが前跳びよりも得意だという子もいます。これはトランポリンで跳ぶ時の腕の動きが後ろ跳びに近いことが関係しているようです。

 まだ自分が指導者になりたての頃に、トランポリンクラブに入ってきたこの話です。この子も、トランポリンを始めてから縄跳びがうまくできるようになっていました。さらに転ぶことも少なくなったとも言っていました(実際は本人ではなく母親からですが)。

 さてこの子は、転ぶ時手を出すことが出来ず、顔面から倒れることも多かったそうです。トランポリンを始めてから、転ぶことが少なくなったとともに、手をついて転ぶことも出来るようになり、顔のけがが減ったとのことでした。

 ここまで読むと、この話はトランポリンの有効性を示し、トランポリンをするとよいとトランポリンを進める前に書いているように思われるかもしれません。でもこの話は、トランポリンの有効性を示すために書いているのではありません。この話は運動神経をよくするということについて非常に大事な情報を書くために書いています。

 

 転んだ時に手をつかず顔面からつっこむ子を見て、運動神経がよいと思う人ないでしょう。たいていはどんくさい子と思うのではないでしょうか。つまりこの子はいわゆる運動神経が悪いという子なのです。この子の話を持ち出したのは、この子がなぜ転ぶ時に手をつくことが出来なかったか、そしてなぜ手をつくことが出来るようになったかを説明することが出来る情報を母親から聞いていたからです。

 このお母さんはちょっと過保護気味の人でした。そのため、初めての子は、転ばないように抱っこをすることが多かったそうです。そのため、抱っこ癖がつき下の子が歩くようになっても、抱っこ癖が抜けず、下の子の手を引いて、上の子を抱っこして移動することが多かったそうです。つまりこの子は抱っこで移動することが多く、自分で歩いて転ぶという経験がほかの子より少なかったのです。

 子どもが立ち上がるようになるとまず伝わり歩きをし、自分で歩くようになると転び、立ち上がりを繰り返します。どうすれば一番痛くない転び方を何度も転ぶうちに学習しているのです。抱っこでの移動が多く自分で歩く機会が少なく、上手に転ぶことを学習せずに大きくなったため、転ぶ際に自動的に手が出るような運動機能の獲得が行えなかったのです。

 トランポリンを習うようになると、よつんばい落ちで、手をつくことを習います。腰落ちでも手を使うことを習います。おそらくトランポリンをしてから、転ぶ際に手が出るようになったのは、よつんばい落ちなどで手をつくことを学習したからではないかと考えています。

 

 以上のことから言えるのは、転ぶという動作一つでも、先天的に行えるものではなく、後天的に学習することにより獲得される能力だということです。そのためには、転ぶということを経験することが必要だということです。さらにその経験は小学生になってから行うことでも補えるということです。

 つまり運動神経をよくするには、経験が必要であり、経験するには最適な時期はあるかもしれませんが、小学生になってからでもまだ間に合うということです。