前回書いた様にばねは回転することにより軸方向以外の力が加わらないようになっています。
「トラベルするとたわみは小さくなる」で計算した結果をもう一度引用します。
a=L/2(中心で跳んだ場合)
δ=PL^3÷48EI≒0.02008PL^3/EI
a=L/3の場合(トラベルした場合)
δ≒0.0179PL^3/EI
です。
トランポリンの中心で跳んだ方が、たわみが大きくなります。
この値を参考にして、ばねの回転を考えてみます。ばねは軸方向以外に力が加わらないように回転しますので、おおよそばねの向きは下図のθの角度になります。
tan(θ)=δ/aです。
以上より、
a=L/2(中心で跳んだ場合)
tan(θ)≒0.04016PL^2/EIです
a=L/3の場合(トラベルした場合)
tan(θ)≒0.0537PL^2/EI
以上から回転角θは、中心で跳んだ場合より、端で跳んだ方が大きくなることがわかります。
ところでトランポリンのばねは回転しますので、古いトランポリンなどでは、フレームのばねと取付け部がすり減ってきます。すり減るのはそこに大きな摩擦がかかっているためです。摩擦が生じれば運動エネルギーの一部が熱エネルギーとして逸散します。
トラベルすると回転量が増えるということは、それだけ摩擦によるエネルギーの消費が起こりますので、トラベルをすると跳躍に活かせないエネルギーが増加することになり、ジャンプが低くなります。
つまりトラベルすると水平方向への移動と摩擦によるエネルギーの消失という2つの無駄が起こるためジャンプが低くなるといえます。
ただし、スタンスを広げた場合は、これは当てはまりません。スタンスを広げた場合は、中央で跳んでいれば、傾斜角による水平力は相殺され発生しませんし、両脚に均等に力がかかっているので、片側にかかる力は半分になります。そのためたわみが半分になりますので、回転による摩擦も少なくなりますので。