単純張りの変形について話を戻します。今まで力が加わるのは、1か所の場合について書いてきました。これを脚をピッタリ閉じて荷重点が1点とみなせる場合です。空中では両足をピッタリ閉じた方が演技点が出ますが、一般的には足を広げて着地しますので、その状態では1点集中荷重とはみなせず、荷重点は2か所となります(図参照)。つまりぴったりと脚を閉じていく場合と、脚を広げてスタンスをとる場合では構造的なモデルが変わります。
その結果たわみの式が以下のように変わってきます。
1点集中荷重の場合(中央に着地)
xの地点のたわみδ(x)=P×L^3×(3x/L-4x^3/L^3)÷48EI
2点集中荷重の場合(中央に着地)
a<x<L-aの範囲の
xの地点のたわみδ(x)=pa×(3Lx-3x^2-a^2)÷6EI
ここで、EIは断面形状と材質で決まる定数です。
さて、梁の中央(x=L/2)のたわみは、
1点集中荷重の場合、
δ(中央)=P×L^3/48EI≒0.02008PL^3/EI
2点集中荷重の場合、
δ(中央)=pa×(3L^2/4-a^2)÷12EI
なお、2点集中荷重の式にa=L/2とすると1点集中荷重の場合と同じになります。
ここで仮にa=0.4Lを入れてみると、
δ(中央)≒0.01967PL^3/EIとなり、2点集中の方がたわみが少なくなっていることがわかります。このようにスタンスを広げるとたわみが小さくなるのです。