新聞報道で見たスポーツ事故

 トランポリンはマイナースポーツですので、新聞に記事が載ることは少なく、ましてや事故報道がされることは非常にまれです。しかし、スポーツ全体でみるとスポーツ事故に関するニュースはたびたび報道されています。

 そこで、最近の新聞報道で見かけたスポーツ事故をここでは紹介します。スポーツ事故にはそのスポーツ特有の危険性が必ず潜んでいるといわれていますが、他のスポーツと共通する危険性も多く存在します。また法律に関する部分はスポーツ種目に関係なく共通することが多いです。

 他のスポーツ事故を研究することで、トランポリンの安全性を向上させることもできると思われますので、新聞報道で見かけたスポーツ事故を紹介していきます。

 なお、調査対象は自分が長らく購読している「朝日新聞」からです。また、最近問題化している体罰や暴力、ケンカ、セクハラなどによるものは本来のスポーツ事故とは外れたものなので、ここでは取り扱わず、あくまでも安全管理などに関するものを取り上げます。

 なお、調べてみると意外にスポーツ事故ニュースは多いことがわかります。報道されない事故はもっと多いはずですので、スポーツ事故とは非常に身近な問題であると思います。

2014年

1月

11日

2011.8.5朝日新聞朝刊

スポーツ種目:水泳

加害者:ダイショウコーポレーション、泉南市教育委員会

被害者:砂川小学校1年生

被害状況:死亡

発生日:2011.7.31

場所:砂川小学校プール

状況:一般開放されたプールでおぼれた

容疑:業務上過失致死 家宅捜索

コメント:一般開放時に既定の監視員数を配置していなかった

2014年

1月

04日

2011.7.23朝日新聞朝刊

スポーツ種目:柔道

加害者:東京学園高校

被害者:東京学園高校2年生

被害状況:脊髄損傷、首の痛みや左手が思うように動かないという後遺症が残った。

発生日:2006.11

場所:東京学園高校

状況:体育授業の柔道中に、同級生に背負い投げをされ頭から落ちた

裁判所:東京地裁2011.722

判決趣旨:事故の前にも柔道の授業で左足をけがし欠席したため受け身の練習量が不足していた。生徒の習熟度を考慮して練習させる義務があり、それに対して過失があった。

損害賠償金1,640万円

コメント:補足記事として、中・高で柔道による死亡事故は1983年度以降に114件発生。中学生10万人に対して柔道の死亡生徒は2.4人でその他のスポーツは0.4人未満と柔道の死亡事故の高さが際立っているということです。

また文部科学省もこれまでの事故を分析に再発防止につなげるとしています。つまり事故の分析は再発防止に重要です。

2013年

12月

28日

2011.6.29朝日新聞朝刊

スポーツ種目:サッカー

加害者:小学5年生

被害者:バイク運転手(87歳)

被害状況:足を骨折。その後に認知症になり、翌年7月に肺炎で死亡

発生日:2004.2

場所:愛媛県内の公立小学校

状況:フリーキックの練習中、蹴ったボールが門扉を乗り越えて道路に転がり出た。そのボールを避けようとしてバイクが転倒し、足を骨折。

裁判所:大阪地裁 2011.6.27

判決趣旨:「蹴り方によっては道路にボールが出ることは予測可能」、未成年のため両親に賠償責任あり。事故により「入院などで生活が一変した」ことが死亡につながるとして因果関係を認めた。ただし、持病もあってことから請求額の約5,000万円に対して損害賠償は約1,500万円

コメント:この事故は民事裁判です。未成年のしたことでも危険の予測は可能であったとして損害賠償を認めています。さらに事故によるけがは骨折ですが、事故後かなりの時間経過してからの死亡についてまで因果関係を認めています。

2013年

12月

07日

2011.1.8朝日新聞朝刊

スポーツ種目:スキー

加害者:愛知大非常勤講師、国立大男性教授(引率者)

被害者:愛知大女子学生2

被害状況:死亡

発生日:2008.2.3

場所:長野県栂池高原スキー場

状況:ロープをくぐって封鎖されていた滑走コース(初心者用の林間コース)に導き、雪崩に遭遇。なお、引率者は立ち入り禁止措置をコース整備中と思い誘導

容疑:業務上過失致死(2011.10.7在宅起訴)

コメント:登山においてガイドや添乗員が法的な責任を問われるケースは多いいが、運営会社が安全管理を行っているスキー場で起きた事故で引率者などが業務上過失致死に問われるのは珍しいそうです。珍しいということですが、これが前例となります。前例を作るのは難しいですが、前例があることは行いやすいので、今後はこのようなことが増えるのではないかと思われます。

2013年

11月

16日

2010.9.7朝日新聞朝刊

スポーツ種目:ツアー

加害者:GCスポーツクラブ

被害者:小学2年生(7)

被害状況:水死

発生日:2010.7.31

場所:東京都利島漁港

状況:スポーツクラブの主催するツアーの最中漁港付近で遊んでいた

容疑:業務上過失致死、クラブ側の安全管理に問題があったとみて事務所などを家宅捜索

2013年

11月

02日

2010.5.13 朝日新聞朝刊記事

スポーツ種目:スノーボード

加害者:24歳男性会社員

被害者:9歳女児

被害状況:四肢に運動障害が残る脊椎損傷

発生日:2006.2

場所:愛媛県久万高原町美川スキー場

状況:スノーボードで宙返りジャンプした際、着地手付近で倒れていた女児に衝突

裁判所:松山地裁2010512

判決:無罪(求刑禁固10)

判決趣旨:ジャンプ台下に人がいるかどうかを確認する義務があったが、前にジャンプしたスノーボーダーがジャンプを止めるような合図を確認してからジャンプしたので、「ジャンプしても問題ないと判断しても無理はなく」、前のスノーボーダーのジャンプ後に女児が転倒してジャンプ台下に止まったことを「予測外の事態」とした。

 

コメント:裁判は民事ではなく刑事裁判です。なお、この事件の民事裁判がどうなっているかはわかりませんが、刑事裁判で無罪となっても民事裁判では損害賠償が認められることもあります。安全確認をしていたかどうかが重要なポイントとなっているようです。

2013年

10月

26日

2010.3.14 朝日新聞朝刊記事

スポーツ種目:野球

被害者:40歳女性と4歳男児

被害状況:40歳女性 骨盤骨折、4歳男児 左頭骨骨折

発生日:2010.3.13

場所:相模原市 相模川河川敷グラウンド

状況:小学生の長男の練習を見学中、突風によりバックネットが倒れ下敷き

2013年

10月

19日

2009.11.5 朝日新聞朝刊記事

スポーツ種目:アーチェリー

加害者:東海大付属高輪高校アーチェリー部2年男子(17)

被害者:東海大付属高輪高校アーチェリー部2年男子(16)

被害状況:意識不明の重体

発生日:2009.11.4

場所:目黒区 勤労福祉会館洋弓場

状況:被害者が落ちた矢を拾いに行ったところ、加害者がふざけて矢を構えたところ誤って発射し、額に矢が刺さる。普段の練習は顧問が付き添っているが事件時は学校に届け出のない学外での自主練習だった。

コメント:「ふざけて矢を構えた」とあることから過失はあったものと思われます。