2013年
6月
20日
木
トランポリン運動で経験できること(1)
前回までに子どもの素養づくりに提案されている運動を紹介してきた、それを再掲します。赤字はトランポリンエアリアルトレーニングで取り入れられているもの、青地はトランポリンを使って工夫をすれば取り入れられるものです。
今回は、文部科学省「多様な動きを作る運動(遊び)」で提案されているものです。
1)身体のバランスを取る運動遊び:回る、寝ころぶ・起きる、座る・立つ、バランスを
保つ、渡る
2)身体を移動する運動遊び:跳ぶ・跳ねる、登る・下りる
3)用具を操作する運動遊び:用具をつかむ・持つ・おろす・回す・転がすなど、用具を
くぐる・跳ぶ、用具を運ぶ、用具を投げる・捕る、用具に載る
4)力試しの運動遊び:人を押す・引く、力比べをする、人を運ぶ、支える
赤字の、「回る」は捻りで、「寝ころぶ・起きる」は腹落ち-立つ等の種目で、「座る・立つ」は腰落ちで、「バランスを保つ」はトランポリンをすること全般で体験することができます。
青地のものについて「登る・おりる」はトレーニング内容にはないですが、トランポリンへの上り下りで経験することができますし、「用具に載る」というのもトランポリン上で自然に行われる動作です。「用具をつかむ・持つ」、「用具をくぐる・跳ぶ」は縄跳びを導入すれば、経験させることができます。「人を押す・引く」については、トランポリンは2人で使用すると衝突などの危険性がありますが、指導者が行うキッピングを子どもにさせることにより、トランポリンを脚で押し引きすることで間接的に体験させることは可能です。
2013年
6月
27日
木
トランポリン運動で経験できること(2)
前回までに子どもの素養づくりに提案されている運動を紹介してきた、それを再掲します。赤字はトランポリンエアリアルトレーニングで取り入れられているもの、青字はトランポリンを使って工夫をすれば取り入れられるものです。
今回は、日本体育協会のスポーツリーダー養成テキストで紹介されているものです。
1.自己の身体の操作
1)姿勢の変化とバランスをとる:たつ、かがむ、ねころぶ、ころがる、わたる
2)ある場所に移動する
2-1)上下方向に移動する:のぼる、おりる、よじのぼる、すべりおりる、とびあがる
2-2)水平方向に移動する:はう、あるく、はしる、とぶ、スキップ、ギャロップ
2-3)回転系:かわす、もぐる、くぐる、かくれる
2.他者や物の操作。
1)重さのあるものの移動:かつぐ、ささえる、はこぶ、おろす、もつ、おぶう
2)とったり、つかまえる動作:とめる、つかむ、うける、いれる、わたす
3)他への直接的な作用をする動作:たたく、うつ、なげる、ける、たおす、ぶつかる
上下方向に跳び上がるのはトランポリン運動そのものです。水平方向に跳ぶというのは、トランポリン競技ではよくないとされる運動ですが、トランポリンエアリアルトレーニングでは2球のボール種目として水平方向に移動しながらボールを投げる・捕るという項目で体験できます。投げるもボールトレーニングで取り入れられている運動です。
「はう・あるく」はトランポリン上でもできますし、「かわす・くぐる」は縄跳びを取り入れれば、対応可能です。「うつ・ける」は今のところボールトレーニングのメニューに入っていませんが、ボールを利用すれば経験させることは可能なものです。
2013年
7月
04日
木
トランポリン運動で経験できること(3)
子どもの素養づくりに提案されている運動を紹介してきた、それを再掲します。赤字はトランポリンエアリアルトレーニングで取り入れられているもの、青字はトランポリンを使って工夫をすれば取り入れられるものです。
今回は、山梨大学中村和彦教授著「運動神経がよくなる本」(マキノ出版)からです。
1.バランス系:立つ、起きる、回る、組む、渡る、ぶら下がる、逆立ちする、乗る、浮
く
2.移動系:歩く、走る、跳ねる、滑る、跳ぶ、登る、はう、くぐる、泳ぐ
3.操作系:持つ、支える、運ぶ、押す、押さえる、こぐ、つかむ・つかまる、当てる、
捕る、渡す、積む、掘る、振る、投げる、打つ、蹴る、引く、倒す
「たつ・おきる」などは、「立つ」という種目にあります。「浮く」というのは「水に浮く」つまり浮力の利用を経験させることです。著者の想定しているものではないですが、水ではなくトランポリンでは空中に浮くと言うことで「浮く」も体験できます。「跳ねる・跳ぶ」もトランポリンの本質的な動作ですし、「捕る・投げる」はボールトレーニングに取り入れられています。
「乗る」、「登る」はトランポリンにあがることで体験できます。「歩く」、「這う」もトランポリンでもできることですし、「押す・押さえる」というのは腰落ちやよつんばい落ちなどの種目で経験できます。「持つ」、「くぐる」などは縄跳びで、「当てる」、「打つ」、「蹴る」などもボールを使って体験させることができます。
2013年
7月
11日
木
トランポリン運動で経験できること(4)
子どもの素養づくりに提案されている運動を紹介してきた、それを再掲します。赤字はトランポリンエアリアルトレーニングで取り入れられているもの、青字はトランポリンを使って工夫をすれば取り入れられるものです。
今回は、 石井学習塾 代表 石井丈博著「運動嫌いを直せば、子供の 自信 やる気 持続力 は グングン 伸びる」で取り上げられている能力についてです。
1.定位置能力:自分の周囲の人や物との位置関係を正確に把握する力
2.変換能力:動きを素早く切り替える力
3.反応能力:合図や相手の動きに素早く反応する力
4.連結能力:身体の動きをタイミングよく同調させる力
5.識別能力:ボールなどの道具を巧みに扱う能力
6.リズム能力:リズム翌身体を動かす力
7.バランス能力:動作中の全身のバランスを保つ力
今回取り上げられている7つの能力についてはトランポリン運動ですべてカバーされます。まず1の定位置能力ですが、トランポリンとの位置関係やボールトレーニングにおけるボールとの位置関係によりこの能力のトレーニングとなります。
2の変換能力ですが、トランポリンの種目の多くで使われる能力です。たとえばローラーでは腰を伸ばす運動を回転運動に変換して行います。抱え跳びでは膝の曲げ-停止-膝ののばしという変換運動となっています。
3の反応能力は、多くの場合、種目の導入時に指導者のかけ声により練習することが多くここで培われますし、ボールトレーニングでも投げられたボールに反応してボールをキャッチすると言うことで実施されています。
4の連結能力は腕の振りと跳躍を同調させるなどで行われているものですし、5の識別能力もボールトレーニングで行われています。またトランポリンという道具をうまく利用して跳躍するのがトランポリン運動の基本です。
6のリズム能力と7のバランス能力はトランポリン運動で最も培われる能力です。
以上のようにトランポリン運動では7つの能力すべてを高めるトレーニングが取り入れられています。
2013年
7月
18日
木
トランポリン運動で経験できること(5)
子どもの素養づくりに提案されている運動を紹介してきた、それを再掲します。赤字はトランポリンエアリアルトレーニングで取り入れられているもの、青字はトランポリンを使って工夫をすれば取り入れられるものです。
今回は、「保育と幼児期の運動遊び」からです。
1.安定性(姿勢制御運動)カテゴリー:動作内容1分類
1)「姿勢変化・平衡動作」:14種類
「たつ・たちあがる」、「かがむ・しゃがむ」、「ねる・ねころぶ」、「まわる」、「ころがる」、「さかだちする」、「おきる・おきあがる」、「つみかさなる・くむ」、「のる」、「のりまわす」、「わたる」、「あるきわたる」、「ぶらさがる」、「うく」
2.移動(移動運動)カテゴリー:動作内容3分類
1)「上下動作」:9種類
「のぼる」、「あがる・とびのる」、「とびつく」、「とびあがる」、「はいのぼる・よじのぼる」、「おりる」、「とびおりる」、「すべりおちる」、「とびこす」
2)「水平動作」:11種類
「はう」、「およぐ」、「あるく」、「ふむ」、「すべる」、「はしる・かけっこする」、「スキップ・ホップする」、「2ステップ・ワルツする」、「ギャロップする」、「おう・おいかける」、「とぶ」
3)「回転動作」:7種類
「かわす」、「かくれる」、「くぐる・くぐりぬける」、「もぐる」、「にげる・にげまわる」、「とまる」、「はいる・はいりこむ」
3.操作(操作運動)カテゴリー:動作内容4分類
1)「荷重動作」:13種類
「かつぐ」、「ささえる」、「はこぶ・はこびいれる」、「もつ・もちあげる・もちかえる」、「あげる」、「うごかす」、「こぐ」、「おこす・ひっぱりおこす」、「おす・おしだす」、「おさる・おさえつける」、「つきおとす」、「なげおとす」、「おぶう・おぶさる」
2)「脱荷重操作」:5種類
「おろす・かかえておろす」、「うかべる」、「おりる」、「もてれる」、「もたれかかる」
3)「捕捉動作」:12種類
「つかむ・つかまえる」、「とめる」、「あてる・なげあてる・ぶつける」、「いれる・なげいれる」、「うける」、「うけとめる」、「わたす」、「ふる・ふりまわす」、「まわす」、「つかむ・つかみあげる」、「ころがす」、「ほる」
4)「攻撃的動作」:13種類
「たたく」、「つく」、「うつ・うちあげる・うちとばす」、「わる」、「なげる・なげあげる」、「くずす」、「ける・けりとばす」、「たおす・おしたおす」、「しばる・しばりつける」、「あたる・ぶつかる」、「ひく・ひっぱる」、「ふりおとす」、「すもうをとる」
青字の「さかだちをする」というのは、バッジテストに含まれていませんが、社会人向けの段階練習の30番までに含まれる「ドンキーキック」で経験させることができます。他の青字の運動はバッジテスト(トランポリン運動)自体では行いませんが、トランポリンの上り下りなどで経験できる運動です。
2013年
8月
08日
木
トランポリン運動で経験できること(6)
子どもの素養づくりに提案されている運動を紹介してきた、それを再掲します。赤字はトランポリンエアリアルトレーニングで取り入れられているもの、青字はトランポリンを使って工夫をすれば取り入れられるものです。
今回は、日本トランポリン協会副会長の塩野尚文著「子どものトランポリン運動 -エアリアル・トレーニング」からです。トランポリンの書籍なので、以前書いたのと同じ内容になります。
1.平面的な動き:「自分の身体を操る能力」、「自分の身体を使って、他の者を操る能力」
2.立体的な器具の上での動き:「自分の身体を操る能力」、「自分の身体を使って、他の者を操る能力」
3.空間での動き:「自分の身体を操る能力」、「自分の身体を使って、他の者を操る能力」
同書では、①平面的な動きのうち、自分「自分の身体を操る能力」と③全体については、トランポリン・エアリアルトレーニングにより行えるとしています。この著書が出版された時点では、ボールトレーニングは取り入れていなかったので、平面的な動きのうち、「自分の身体を使って、他の者を操る能力」も現在では、ボールに限定されますが、対応できるようになっています。立体的な器具上での動きのうち、「自分の身体を操る能力」についてもトランポリンの上り下りという特定の動作になってしまいますが、自然に行われます。
2013年
8月
15日
木
トランポリン運動で経験できること(7)
6回にわたって、子どもの素養づくりについて提案されている経験させることが推奨される運動について、トランポリンエアリアルトレーニングに取り入れられているもの、トランポリンエアリアルトレーニングには含まれていないが、工夫すればできるもの、トランポリンではできないものについて書いてきました。
整理してみると意外とトランポリンでできることは少ない。しかし、トランポリンだから簡単に行えるものというのもかなりあります。
トランポリンでできないことは、他の器具を用いてあるいは他のスポーツをすることによって経験させることはできる。トランポリンという器具の特性と限界を理解してエアリアルトレーニングを受けることは非常に大切です。
トランポリンエアリアルトレーニングは子どもの素養づくりのためにすべての子どもを対象としているが、その中には他のスポーツを目指すものとスポーツ自体が苦手なものがいる。スポーツ自体が苦手なものに対してはトランポリンをきっかけとして、少しずつ運動をすることを覚えさせることが大事です。逆にスポーツが好きなものに対しては、トランポリンエアリアルトレーニングだけではなく、トランポリンでは対応が難しい運動をする機会を与えることが重要だと考えます。
子どもの素養づくりについては今回で終わりにし、次回からはトランポリン運動そのものの特徴について書いていこうと思います。
2013年
9月
05日
木
トランポリン運動の特徴1(一般論)
トランポリン運動は、ゴムケーブルまたはスプリングとベッドの弾力(跳ね返り)を利用して行う上下連続運動です。
特徴として以下のものが挙げられます。
1.床面での跳躍の数倍の高さ(滞空時間)が連続的に得られ、連続運動としての運動力が大きいとともに、練習が非常に効率的である。
2.緩衝力が大きいので、足以外の背・腹・膝、四つんばい、長座姿勢でも着床・跳躍ができるので、運動の種類が豊富である。
3.運動の種類がバラエティに富んでいるので、性別・年齢を問わず、各自の能力に応じて運動を選ぶことができる。
4.無重力状態を一瞬ですが体験出来、非日常の体験をできる。
以上が一般的に言われていることです。
2013年
9月
12日
木
トランポリン運動の特徴2(私見)
前回は一般的に言われているトランポリン運動の特徴を紹介しました。しかし、この他にもトランポリントレーニングには以下の特徴があると考えています。この特徴はこどもの素養づくりのためのトランポリントレーニングを有効なものとしていると思います。
5.左右対称運動であり、同体側運動である(体軸回りに身体を捻らない)。つまり左右のバランスをよくし、また強い体軸を作れる。
6.空中での動作となるため、反力を用いないで身体を動かせる。つまり、反力を発生させるための筋力がなくともできる。
7.トレーニングに際して、頭脳を使って身体をコントロールすることが多く、運動神経系の発達を育成できる。
8.運動動作がシンプルなものが多く、余分な動作が省略された形で、こどもの素養づくりのトレーニングができる。
2013年
9月
20日
金
トランポリン運動の概要
トランポリン運動には縦回転(重心の下を頭部が通過すれば宙返りと呼ばれる)と捻りと、横まわりがあります。縦回転には前方系と後方系があります。この2つの他に空中姿勢が4つあります。
また、トランポリンの着床姿勢には大きく分類して脚で着床する技(フィートバウンス)と落ち系の技(ドロップ)があります。落ち系はトランポリンでこそできる着床姿勢です。落ち系には、腰落ち、膝落ち、よつんばいおち、腹落ち、背落ちがあります。なお、背落ちについては、トランポリンエアリアルトレーニングには含まれていません。
2013年
9月
26日
木
体幹運動と部分運動
運動には体幹運動と部分運動があります。体幹運動というのは重心と3つの軸に関する動作です。これに対して、部分運動は、腕とか脚、頭など身体の一部の動作です。部分運動には更に小さい部分として、手首、足首、より細部として指などの動作があります。トランポリンエアリアルトレーニングで行われる運動は主に体幹と主要部の部分運動であり、細部の部分運動は含まれていません。
2013年
10月
03日
木
重心と軸
重心とは何でしょうか?ボールのようなものならば、中心が重心と一致します。重心とはものの重さの中心を意味します。人の身体の場合重心は背骨のあたりにあり、高さ的にはだいたいへその少し下あたりにあると考えられます。それが重心です。
人間が住んでいる空間は3次元空間といわれます。これは数学的にはxyzの3つの軸で表されますが、人間の場合前後、左右、上下考えると理解がしやすく、この3方向に3つの軸設定して考えると、人間の動作が理解しやすくなります。この中で一番重要な軸は上下軸であり、これを体軸と呼ぶことも多いです。
なおトランポリンの場合、人間の身長方向と上下の関係は一定ではありませんので、上下軸と呼ぶより、体軸といった方がわかりやすいと思いますので、ここでは体軸と呼ぶことにします。
以上人間の動作を考えるにあたって3つの軸があります。この3つの軸を意識するだけで運動向上に効果があるといわれています。
2013年
10月
10日
木
3つの運動 その1 平行運動
前回、3つの軸があると説明しました。体幹の運動はこの3つの軸に対する平行運動と、回転運動、それに特殊な動きとしてねじれ運動の3種類の運動があります。
まず、平行運動ですが、平行運動の特徴は重心が移動することにあります。平行運動の代表例は走る・滑ると言うことです。走る・滑る、の基本動作である直進するということは、前後軸に平行に移動することです。左右軸に平行移動するという動作は、テニスにおけるサイドステップのようにちょっと特殊な動きとなりますが、斜めに移動するなどは前後軸・左右軸の平行移動の組み合わせ運動として、表現することができます。この組み合わせは平面的な運動ともいえます。
3つの軸のうち残る体軸に平行な運動ですが、これはジャンプが代表的な例です。トランポリンの基本動作は上下に跳躍することですので、体軸への平行運動が主となります。多くのスポーツでは跳躍は使いますが、最も使われる運動は平面運動となります。つまり他のスポーツであまりトレーニングできない体軸平行運動を集中的に行うことができるのが、トランポリン・エアリアルトレーニングの特筆すべき点です。
なお、トランポリンの他にも体軸平行運動が基本動作のスポーツがあります。それが水泳です。ただし、水泳の場合は、体軸が水平になった状態であるため、体軸にかかる重力の影響が特殊な状況下にあるため、他の多くのスポーツ同様、重力方向と体軸が一致するトランポリンでのトレーニングの方が、体幹トレーニングとしては、有効であると思われます。
2013年
10月
17日
木
3つの運動 その2 回転運動
前回、平行運動と、回転運動、それに特殊な動きとしてねじれ運動の3つの体幹運動があると説明しました。
今回は、回転運動です。回転運動前後軸、左右軸、体軸の3つの軸回りにそれぞれありますので、3つの運動があります。
体操競技ではこの3つの運動が多く取り入れられていますので、器械体操を例に取ると、宙返りやバク転のような運動は左右軸回りの回転運動となります。これに対して側転は前後軸回りの運動であり、体軸回りの運動が捻り運動です。
なお、回転運動が最も効率よく行われ、回転によるぶれが少なくなるのは、重心回りに回転することですので、回転運動の基本は重心が移動しないことあります。
但し回転運動だけが、行われることはまずなく、通常平行運動との組み合わせで実施されます。
トランポリンにおける宙返りなどは体軸平行運動と左右軸まわり回転運動の2つの運動の組み合わせにより行われています。体操競技のバク転などは、前後軸平行運動、体軸平行運動、左右軸回り回転運動の3つの運動の組み合わせで行われています。
なお、トランポリンでは、左右軸回りの回転運動(一般的には縦回転と呼ばれる)が多く取り入れられています。特徴的なのは、腹落ちに代表される1/4回転から始まり、1/4ごとの回転運動が他のスポーツより多く取り入れられているところにあります。
2013年
10月
24日
木
3つの運動 その3 ねじれ運動
前回、平行運動と、回転運動、それに特殊な動きとしてねじれ運動の3つの体幹運動があると説明しました。今回は最後のねじれ運動についてです。
軸は3つあると書きましたが、実は人間の身体の構造上、体軸に沿って3つのパートに分割して考えられます。上から頭、胴体、脚です。この境界部分は肩と腰で、肩の上部の首、肩と腰の間の胴、脚と腰の間の膝・足首(この2つは連動する)の部分が体軸回りにずれて動くことができます。この体軸回りの回転ずれによる運動がねじれ運動です。つまり両脚をつなぐ左右ライン、腰の左右ライン、肩の左右ラインの角度にずれが生じるのが捻れ運動です。
なお、日常用語では、ねじれとひねりは漢字で書くと、「捻れ」、「捻り」と同じ漢字が使われているように、同じ意味合いで使われています。一般用語としては、どちらも軸を中心とした角度に場所によってずれがあることをさしますが、トランポリンにおける「ひねり」とは、このずれがない方がよい演技として評価するため、トランポリンの「ひねり(トランポリンの専門用語としては「捻り」と漢字表記する)」とは、一般用語の「ひねり」とは異なり、体軸回りの回転運動を指しています。そこで、このブログでは「ひねり」は「ねじれ」と異なるものとして扱っています。なお、トランポリン・エアリアルトレーニングにおいては、ねじれ運動は取り入れられておりません。
2013年
10月
31日
木
3つの運動 その4 総括1
軸と重心から考えて運動を解説してきましたが、最後にトランポリン運動の特徴とトランポリン・エアリアルトレーニングの特筆を説明しておきます。
まず、前回トランポリン運動ではねじれ運動は行わないと書きました。つまりトランポリン・エアリアルトレーニングをうけてもねじれ運動は鍛えられません。つまりトランポリンは万能ではないのです。もっとわかりやすい例で言えば、水泳において最も基本的克つ絶対習得しなければならない技術として、水中で目を開けるというものがあります。トランポリンを使ってこの技術を習得することはできません。つまり、トランポリン・エアリアルトレーニングがどんなに優れていても、できないことがあると言うことを知っておく必要があります。そしてトランポリン・エアリアルトレーニングに不足している運動については、他のものを用いてトレーニングをする必要があるということです。
それを理解して、他の道具を用いたトレーニングと組み合わせてトレーニングを行えばよりこどもの素養づくりは行えますので、トランポリン・エアリアルトレーニングの限界を知っておくことは非常に重要です。
2013年
11月
07日
木
3つの運動 その4 総括2
前回は、トランポリン・エアリアルトレーニングにも限界があり、他の道具を使う必要もあると書きました。今回は、トランポリン・エアリアルトレーニングが他の運動より優れている点を説明します。
一般的にトランポリントレーニングの利点は、他のスポーツではなかなか多くできない、体軸平行運動を集中的に行える点にあり、しかも跳躍に必要な脚力がない幼児でも容易に跳べることから、支えのない空中経験が得られることが利点であるとされています。
しかし、トランポリン運動が優れている点は、それだけではありません。
以前、トランポリン運動の宙返りでは、体軸平行運動と左右軸回りの回転運動の2つで行われるが、器械体操運動(床運動)では同じ宙返りでもその2つに加えて前後軸平行運動が合わさった3つの運動組み合わせになると書きました。この点は非常に重要です。
もう1つ重要な点は、水泳やトランポリン運動は基本動作が体軸平行運動であり他の多くのスポーツは前後軸と左右軸の平行運動の2つの組み合わせであるということです。
トランポリン運動の特徴は、回転運動と平行運動の組み合わせ数が、他の運動より少ないという点にあります。つまりシンプルなのです。
小さな子供は、複雑な動きができません。できるだけ単純な動作を経験させ、徐々にその組み合わせにより複雑な運動へと導いていくことがこどもの素養づくりに対しては重要です。つまり、動作がシンプルな運動から始めて、徐々に複雑な動きを経験させていくことが非常に役立ちますので、動作がシンプルなトランポリン運動は、運動初期のトレーニングに非常に役立ちます。それに加えて、トランポリン・エアリアルトレーニングでは簡単な動作から複雑な動作へと段階練習をするようになっていますので、非常に良質なこどもの素養づくりトレーニングであるといえます。
2013年
11月
14日
木
3つの運動 その4 総括3
トランポリン運動の特徴として、縦軸平行運動主体の運動であること、回転運動と平行運動の組み合わせがシンプルであることを前回書きました。これに加えてトランポリンの特徴として、捻りを除けば、左右対称運動であることが挙げられます。トランポリンは他のスポーツに比べ左右対称運動が多いことが特徴です。
たとえば走るということは、一見左右対称の運動ですが、運動をする際の一瞬をとらえれば、片側が前に出ていますので、左右対称ではありません。水泳ではバラフライや平泳ぎは左右対称ですが、クロール・背泳ぎは完全な左右対称運動ではありません。これらは左右交互運動です。
一般には両方の足を前に出すなどの運動をすることはきわめて少ないです。鉄棒などを用いればできますが、かなりの筋力が必要です。しかしトランポリンでは両脚を前に出すといった運動が容易にできます。つまり、トランポリンを利用すれば他のスポーツではなかなか経験できない運動が可能と言うことです。
基礎運動能力の開発にトランポリンを用いた左右対称運動を取り入れ、左右バランスのよい肉体を作ることは非常に有効と思われます。
2013年
11月
28日
木
補足-前後回転運動について
このブログでは、左右軸回りの回転運動を前方回転と後方回転の2種類として扱っています。前方・後方の基準は重心に対して頭が前に動く回転運動を前方回転、後ろに動く回転運動を後方回転と定義して扱っています。
なお、重心に対して頭が回転運動を伴わない回転運動もあります。たとえば肩を中心にして腕を回す運動も肩のラインの左右軸回りの回転運動です。腕については、重心からの位置が頭と同じく上部にありますので、前後回転運動の方向については、一般用語として混乱はないと思います。
しかし、下半身・脚の回転については、混乱があるかも知れません。なぜなら、下半身・脚については、重心に対して頭部と逆の位置にあるからです。
このブログでは、前に定義したように重心に対して頭部の動く方向を基準に前後を決めています。そのため、下半身・脚が前方にでる運動は前方回転ではなく後方回転、膝を曲げるなど、脚を後ろに引く運動を後方回転ではなく前方回転として扱います。
この点ちょっとわかりづらい点なので、「技術編」を読む際には注意して下さい。
2013年
12月
05日
木
最後に
「実技編」の方はまだ残っていますが、「概要編」はこれでいったん終了とします。このブログを書いている間に「安全なトランポリンを目指して」を書くために、日本トランポリン協会の広報をすべて読み直してみました。その中には自分が指導者になる前の情報や忘れていた重要な情報がありました。またこの間に新たに読んだ資料にもたくさん検討すべきことがありました。このほかにも「競技検定」との関係、早期専門化にまつわる問題や、現状のトランポリン・エアリアルトレーニングについて改善したいと思う点も出てきました。
これらを再考・整理して「展望編」として「バッジテストの問題点」、「早期育成」などの観点から、改めて書き足したいと考えています。現在全体構成を検討中です。まとまりましたら「展望編」として再開する予定です。