バッジテスト実技編(5級)

転載中につき、まだ一部しかこちらにはありません。全部を読みたい方は、FC2ブログをご覧ください。

2013年

12月

12日

トランポリン バッジテストとは

 トランポリンバッジテストとは、トランポリンを使って子どもの運動能力を開発するために行われるエアリアルトレーニングの達成具合を計るためのシステムです。

 対象は10歳以下のすべての児童を対象としており、トランポリン以外のスポーツをする児童の基礎運動トレーニング、運動嫌いの子どもに運動をするきっかけなどに利用することができるものです。

 バッジテストは5級~1級まであり、それぞれ10種目から構成されるトランポリンを使った連続運動を通じて子どもの運動能力、素養づくりを行うものです。

 ユーチューブなどで検索すれば動画はたくさん見つかりますが、各運動についての解説をした資料はほとんど見あたりません。そこで、このブログでそれを解説することにより、トランポリンバッジテストの有効性と、トランポリンの普及に役立てようと企画したのがこのブログです。

2013年

12月

19日

バッジテスト段階練習

 トランポリンの種目練習は簡単な技から徐々に難しい技、安全な技から高度な技へと段階を追って練習させることになっています。子どものエアリアルトレーニングの段階練習は以下40段階となっています(この他最近追加されたボールトレーニングがあります)。すべてできると、シャトルゲームに参加できることになっています。シャトルゲームに3回参加すれば、エアリアルトレーニングは終了して修了証をもらえることになっています。

 各段階を実際練習するにあたっては、もっと細かい段階練習が必要ですが、この段階練習に沿って、トランポリン・エアリアルトレーニングを解説していく予定です。

 1.10回ジャンプ-チェック

 2.1/2捻り跳び

 3.かかえ跳び

 4.腰落ち

 5.膝落ち

 6.膝落ち-1/2捻り跳び

 7.5級 1-4

 8.5級 7-10

 9.5級 5-10

10.5級 1-10

11.開脚跳び

12.よつんばい落ち

13.よつんばい落ち-腹落ち-膝落ち

14.4級 1-6

15.4級 6-10

16.4級 1-10

17.腰落ち-腹落ち

18.閉脚跳び

19.腰落ち-1/2腹落ち

20.1回捻り跳び

21.開脚-1回捻り跳び

22.3級 4-10

23.3級 1-10

(3級 ボールトレーニング)

24.スイブル

25.1/2腰落ち-スイブル

26.腰落ち-腹落ち-腹落ち

27.2級 1-6

28.腹落ち

29.腹落ち-腰落ち

30.ローラー

31.2級 6-10

32.2級 1-10

(2級ボールトレーニング)

33.フルシート

34.1級 1-4

35.1/2腹落ち

36.ターンテーブル

37.反動閉脚跳び

38.1級 8-10

39.1級 4-10

40.1級 1-10

(1級ボールトレーニング)

シャトルゲーム

2013年

12月

25日

段階練習1 10回ジャンプ-チェック(1)

今回からバッジテスト5級の段階練習の解説に入ります。

 トランポリンの練習はまず、まっすぐ跳び、ぴたりと止まる練習から始めます。まっすぐ跳ぶことをストレートジャンプ、止まることをチェックといいます。

 まっすぐ跳べなければ、最悪トランポリンから落下してしまいますし、危ないと思ったときに止まれなければ、これまた危険ですので。

 運動としては大きなポイントが3つあります。

 1)腕の動き

 2)膝の動き

 3)姿勢

 今回は、1の腕の動きから行きます。トランポリンの跳躍では肩を中心に、腕は後ろ回しに回します。この際腕を高く大きく挙げて回すことにより方の、肩胛骨が動き、可動域が広がります。

 また、ボールを投げるなどの多くの動作では腕の回転方向は前回しですが、トランポリンでは後ろ回しが基本となりますので、普段とは異なる運動を経験することができます。普段使わない筋肉が使われることになり、バランスのよい身体がはぐくまれます。

 そして、跳躍に合わせて腕を回すことによりリズム感を育成することができます。

2014年

1月

09日

段階練習1 10回ジャンプ-チェック(2)

 前回に続いてストレートジャンプの運動についてです。今回は膝の動きです。トランポリンでは膝を曲げてしないで着地することが初心者には推奨されています。トランポリンはトランポリンをたわませて、その反動で跳躍する器具ですので、トランポリンをたわますことが重要です。床の上での着地のように膝を曲げて着地するということは、トランポリンに対する衝撃力を膝で吸収することになるので、トランポリンをたわますことができません。

 しかし、体重だけでトランポリンはたわみますので、その反動もあります。その反動を膝を曲げた状態でうけると、脚力だけで支えることになります。トランポリンの反動力を支えるだけの筋力は幼少期の子どもにはないので、反発力に負けて変な方向にとばされ、安定した跳躍はできません。

 さらに、膝を伸ばそうとすると、まっすぐ鉛直に身体を伸ばせればよいのですが、たいていは斜め方向に力が働きますので、水平方向に力が働き変な方向にとばされてしまいます。

 膝をまっすぐにした状態で、トランポリンに落下してトランポリンをたわませ、そのまま膝をまっすぐすなわち足の骨をまっすぐにした状態で反発力を受けると、そのまま真上に跳ね上げられますので、トランポリンでは膝を曲げないという非日常的な動作を習得する必要があります。この普段行わない動作が新たな刺激となって新しい運動能力が開発されます。

2014年

1月

16日

段階練習1 10回ジャンプ-チェック(3)

 今回もストレートジャンプです。空中で重心移動を行うとその方向に移動します。重心移動というのは、身体を変形することにより起こります。頭を下げる、腰を引くなどの動作をするとその方向に重心が移動しますので、その方向に身体も移動します。

 トランポリンで同じ場所で跳び続けるには、姿勢が大事です。そして支えのない空中で姿勢を維持するためには、腹筋・背筋をはじめとしたインナーマッスルを使うことになります。インナーマッスルを使うことにより普段の姿勢もよくなります。

 よい姿勢を作るのにストレートジャンプが最適です。

2014年

1月

23日

段階練習1 10回ジャンプ-チェック(4)

 段階練習1の最後です。今回はジャンプではなくチェックです。チェックとは停止する技術です。この技術を習得しなければ、安全に止まることができないので、トランポリンの練習を続けることはできないという非常に大事な技術です。

 チェックの技術とは、トランポリンの反発力を殺す技術です。一般には膝を曲げてそれに伴い足首・腰も連動させて、トランポリンの反発力を吸収する技術です。この吸収のタイミングが悪いと変な方向にとばされたり、ずっこけたりします。

 ジャンプが反発力を生かすための技術なら、チェックは反発力を殺す技術です。反発力を生かすには以前書いたように膝をまっすぐにしておけばよいのですが、殺すにはタイミングが必要です。つまりチェックとは自分の身体を使って、他の物(トランポリン)をコントロールする技術となります。

 トランポリンのトレーニングではあまり他の物をコントロールする動作は行いません。トランポリントレーニング中、他の物をコントロールする貴重な動作がチェックという動作です。

2014年

1月

30日

段階練習2 1/2捻り跳び(1)

 1/2捻り跳びは体軸回りの回転動作です。回転動作に必要な動きとしては、①回転力を発生させる、②回転を維持する、③回転を停止させる、以上の三つの動作が必要です。

 強い回転力を発生させる方法は2つの動作の組み合わせにより行われます。まず、1つは体軸回りにねじれを発生させてそれを戻す事により回転力を得ること、もう1つは回転半径を大きくすることです。①の体軸回りにねじれを発生させるのは、テニスのテイクバックをする動作で顕著に見られます。②の回転半径を大きくするのは、フィギュアスケートで顕著に見られます。回転の開始時に脚を伸ばしているのは、回転半径を大きくとり、てこの原理により強い回転力を発生させるためです。

 トランポリンでの捻りでは、回転の発生箇所は腰です。腰はあまり大きな回転半径はありませんし、腰部分は、重心に近い位置にあるため、体軸回りのねじれをほとんど発生しません。でもトランポリンでは、抵抗力の少ない空中で行うため、小さな動作で十分な回転力が得られます。

 このように、大きな動作をしなくとも回転力が発生できるのがトランポリン運動の特徴です。そしてトランポリンで得られた回転運動経験をベースとして、より強い回転力を発生させる運動へと発展させることは、より強い回転運動を生み出せる物と考えられます。

2014年

3月

11日

段階練習2 1/2捻り跳び(2)

 前回の続きです。今回は1/2捻り跳びにおける②回転を維持するについて説明します。なお、維持することと停止することは相反することですので、維持するには停止をするような動作を行わないことが必要です。

 回転運動をするには回転力を生み出す必要があります。これについては前回説明しましたが、強い回転力を発生させるには回転半径を大きくすることが有効です。しかし、生まれた回転力を有効に生かす、つまり回転速度を上げるには、逆に回転半径を小さくすることが必要です。

 例を挙げると、フィギュアスケートなどで脚をのばして回転力を発生させますが、回転が始まると脚を折りたたんで回転半径を小さくしています。つまり回転半径を小さくすると回転速度が上がります。

 トランポリンでは捻り中は腕を直情にまっすぐ上げているか、身体の横に貼り付ける姿勢(気を付けの姿勢)をとるのが普通です。これは2つの意味があります。1つは回転半径を小さくして回転速度を上げることです。もう1つはまっすぐの姿勢を保つことにより、回転軸を維持することです。この軸が維持できないと回転が維持できなくなりますので、トランポリン運動による捻りを経験させることは身体の軸を作り出す効果があります。

2014年

3月

18日

段階練習2 1/2捻り跳び(3)

 

 1/2捻りとびの3回目です。今回は停止です。

 

 テニスでは回転力を停めるには、地面から反力を受けて回転を停めることができます。フィギュアスケートでは氷上は摩擦が少ないとはいえ、摩擦力が発生していますので、着地すれば、摩擦力により回転は減速できます。しかしトランポリンではトランポリンに着床して反力を得ようとすると、足首や膝の負担が大きく、捻挫の危険性が高くなりますので、トランポリンでは回転を停止させてから着地する必要があります。すなわちトランポリンでは回転を停止させる技術が非常に重要です。

 

 それでは、反力や摩擦力を使わないで、回転を停めるにはどうすればよいのでしょうか?さて、前回のテーマは回転を維持することでしたが、維持すること停止することは相反することですので、停止するには維持するのと反対のことを行えばよいのです。

 

 前回、回転を維持するためには、まっすぐな姿勢を作って回転半径を小さくし、又軸を作るとのべました。つまり、回転を停止させるには、回転半径を大きくするか、軸を壊せばよいのです。

 

 腰を引けば回転半径は大きくなりますし、腰を引くということは軸を崩すことにもなりますので、腰を引くと急激に回転は止まります。捻りが下手な人は腰を引くことが多いです。でも腰を引いた状態で着地すると今度は安定して着地できません。着地の際にはまっすぐトランポリンに落下する必要があるからです。

 

 トランポリンで回転を安全に停止させるには、腕を使って回転半径を大きくすればよいのです。他のスポーツでは加速する方法はよく行われますが、摩擦などがあるため減速はあまり意識されません。一方トランポリンでは、加速する・減速するという回転をコントロールする2つの技術を身につけられます。

 

2014年

3月

25日

段階練習2 1/2捻り跳び(4)

 今回は、1/2捻り跳びの総括です。

 1/2捻り跳びでは軸を維持する時間はきわめて短いので、実際は②の維持をする動作はほとんど行っていません。使う動作は、①の回転力を発生させると③の回転力を停止させる、です。これらは本当に小さな動作だけで行いますので、トランポリンで1/2捻り跳びをすることにより、小さなきっかけだけで回転することを覚えられます。

 大きな力を発生させる技術はまた別な技術ですが、最初から大きな力を使っての回転しか経験しないと、大きな力を使わないと回転がうまくできないことになります。逆に小さな力だけで回転できるようにしておけば、将来大きな回転力を発生させることへと発展させることはできます。つまり、トランポリンを使って、小さな力で回転を得るコツを得ておくことは、将来大きな回転のベースとなりますし、ホンの小さなきっかけで回転を得られることは、すばしこさを身につけられることになります。

 1/2捻り跳びは、最初に習うトランポリンの種目ですが、捻り回転の基礎の基礎が詰まった運動です。

2014年

6月

19日

段階練習3 かかえ跳び1(概要)

 段階練習3番は抱え跳びです。トランポリンエアリアルトレーニング運動は捻り(体軸回りの回転)と、前後の回転(左右軸回りの回転)と空中姿勢の4つがあります。前回の1/2捻り跳びは運動種類としては捻りであり、姿勢は伸身で行いますので、段階練習3番で初めて姿勢を変えるという運動をします。

 抱え跳びは、腕の回転運動と、下半身の曲げを伴う回転運動を連動させる運動です。

 腕を上から前方、下半身を膝・腰を曲げながら下から前方に動かします。腕の運動は前方回転の力を発生させ、下半身の運動は後方回転の力を発生させます。そのためこの連動がうまくいかずどちらかの力が強いと左右軸回りの回転が発生してしまいます。

 特に腕とともに頭を下げてしまうと、前方回転が起こり、倒れることになりますので、視線は動かさないようにするのがコツです。また太ももを引き上げるのではなく、踵を持ち上げるような運動をしてしまうと後方回転力が発生せず、腕による前方回転力が生じてしまいますので、抱え跳びでは大腿を引き上げることが必要です。

 腕と下半身を連動させて空中でバランスをとることは、球技に多く見られる空中戦に展開できますので、非常に重要な運動です。

2014年

6月

26日

段階練習3 かかえ跳び2(腕)

 ストレートジャンプでは、腕は後ろ回しの方向に回転させていますが、かかえる時には、上から前方に落としますので、前回しとなります。つまりストレートジャンプで行う腕の回転運動を逆回転させる運動です。逆回転させるには一度回転運動を停止し、逆回転させるという動きが必要です。この際にストレートジャンプのリズムが崩れますのでバランスを崩しやすくなります。逆回転させることによりリズムを変えて、バランス感覚を養うことができます。

 また、回転運動を停止させ逆回転するという運動は、振りかぶって投げる、テイクバックして打つなどの動作と同種の動作です。つまり、抱え跳びを行うことにより、これらの連続運動を経験させ、ベースを作ることができます。

2014年

7月

03日

段階練習3 かかえ跳び3(下半身)

 トランポリンには足で着床するフィートバウンスと、それ以外の部位で着床するドロップ(○○落ち)の2つがあります。フィートバウンスの中で、3バウンスといわれる跳び方があります。抱え跳び・開脚跳び・閉脚跳びです。いずれも脚を上げる動作をするものです。

 その中で最初に習うのが抱え跳びです。抱え跳びは太ももを引き上げるとともに膝を曲げます。曲げた膝を空中でかかえるのが、抱え跳びです。かかえた状態なら足が身体の下にあるので、他の2つの跳び方よりも安全に行える種目です。

 膝を曲げる動作は膝関節を中心に後方回転、太ももを引き上げる動作は股関節を中心に前方回転運動となります。この2つの組み合わせの動作は、歩く・走る・蹴るという、人としての最も基本的に行われる動作です。

 なお、地上ですと地面の反力を使って脚を上げることが多いのですが、トランポリンでは、空中で動作をしますので、反力は使えません。すなわちインナーマッスルだけで太ももと引き上げることになりますので、バランス感覚が磨かれる、インナーマッスルが鍛えられるとともに、反力を使わないでも太ももの引き上げ動作が行えるようになります。

 これにより空中でものを蹴る、バランスを崩した時にも物を蹴る、または脚を使ってバランスを調整し、倒れないようになるなどの動作に発展させることができます。

2014年

7月

10日

段階練習3 かかえ跳び4(下半身)

 抱え跳びの下半身の使い方の2回目です。

 トランポリンでは他のスポーツではあまり意識されない動作を、意識的に行います。それは「元に戻る」という動作です。トランポリンは垂直に着床しないと安定して跳べませんので、まっすぐ膝を伸ばした状態で着床する必要があります。そのため、何かの動作をしたら必ず元の状態に戻るという動作が必要です。

 抱え跳びでは、股を引き上げ、膝をかかえますが、かかえた状態で着床することはできません。そのため、膝を伸ばすという動作が、必要です。

 一般のスポーツで膝を曲げる、太ももを持ち上げるとい動作は意識的に行いますが、それを伸ばすという動作は、かなり上級者レベルでなければ意識的に行うことは少なく、無意識に自然と伸ばすことが多いと思います。トランポリンでは曲げて伸ばすという動作を意識的に行わさせます。そのため「戻す」という動作が意識的に行われ、「戻す」という動作、膝を伸ばすという動作をなんとなく「無意識」に行うのではなく、「意識的」に行えるようなります。この「意識的」運動することは、身体を「意識的」にコントロールすることにつながり、将来複雑な動作をする際に有効に働くことになります。

2014年

7月

18日

段階練習4 腰落ち1(概要)

 腰落ちというのは長座の姿勢(足を伸ばした座位)で落ちる技です。種目名の通り腰で着床するのではなく、踵からおしりまでをまっすぐに伸ばして着床する技です。他のスポーツでは、このような姿勢で落ちてしまうと次の動作ができませんが、トランポリンではまた跳躍できます。トランポリン特有の着地姿勢・動きです。

 それでは、他の運動に生かせないのかというとそうではありません。たとえば走り幅跳びでは空中で同じような姿勢をとって踵あたりから着地しています。子どもの運動について言えば、鉄棒でできる・できないがはっきり出てしまう逆上がりでも同じような動作をしますので、空中でこの姿勢をとること自体が他の多くのスポーツに役立ちます。

 運動の種別としては、左右軸回りに下半身を後方に90度回転させる技となります。この際に腹筋を使って下半身を持ち上げるという動作となります。

 主に下半身の動きが中心ですが、これも腕の動きとそれに手の動作が非常に重要となっていますので、腕の動き、手の動き、下半身(脚部)の動きに分けて説明していきます。

2014年

9月

04日

段階練習4 腰落ち2(腕の動き)

 腰落ちでは腕を挙げてまっすぐな状態になってから、下半身を回転させて腰落ちの姿勢をとることが必要です。まっすぐな状態になるまえに、腰落ち姿勢をとろうとすると前に飛び出したりしますので。

 挙げた手を横からおろして、下半身と一緒に手を着床させます。腕の動きとしてはストレートジャンプとほとんど同じですが、着床してからは、腕でしっかり身体を支えられないと、後ろに倒れたり、立ち上がることができません。

 このときに物(トランポリン)を押すという動作と身体を支えるという2つの動作を行うことになります。トランポリンは沈みますので、動く物を押さえつけるという動作と、姿勢を維持するためにバランスをとるという2つの動作が行われます。

 物を押さえつけながら、バランスをとるという行為は、柔道のような格闘技ではよく行われますし、サッカーなどでもボールの取り合いになった時に役立てられる動作です。

2014年

9月

16日

段階練習4 腰落ち3(手の向き)

 腰落ちでは腕で上体を支え、またトランポリンの反発の大部分を腕で受けますので、腕の使い方は非常に重要です。そして、腰落ちの際に一番指導されるのが手(指先)の向きです。

 手をつく時指先は横向きか斜め後ろにつくのが普通です。その方がしっかり支えられるからです。人は歩き出した時から転ぶことを経験します。転ぶことを経験するとそのうち安全に転ぶ方法を身につけます。安全に転ぶ方法を身につけた結果、指先は横や斜め後ろに向くようになりました。日常生活で経験するものですので、転ぶ時にいちいち「手をつく」と意識しなくとも、自然と手をつけるようになっています。つまり運動の自動化が行われています。

 しかしトランポリンの腰落ちは転ぶ動作ではなく、意識的に行うものです。指先を後ろに向けると肘が曲がらなくなりしっかり支えられますが、肘への負担は大きいです。また大きな力が加わった時、転ぶ時は一番守らなければならないのは、頭部です。腕を犠牲にしても頭部を守ることが重要です。しかりトランポリンの腰落ちは意識的に行うもので、ひどい失敗さえしなければ、頭部への障害の可能性は低くむしろ肘の安全性を確保することが重要です。そのため、指先を前方に向けることが必要なのですが、指先の向きは運動の自動化が起こっていますので、自動化に反する運動をする必要があります。そのため、指先の向きはかなり重点的に指導されます。

 自動化に反することを行うのは難しいことをここでは経験します。自動化と異なることをすることは神経系に対する新しい刺激となります。具体的な効果はわかりませんが、新しい刺激を与えることは、神経系の発達に影響があると考えられます。

2017年

7月

13日

段階練習4 腰落ち4(下半身の動き)

 腰落ちの下半身の動きは、左右軸回りの後方回転となります。この動作は、走り幅跳びの跳躍でも行われる動きです。また両脚を揃えている点は異なりますが、けりに通じる運動です。この他鉄棒の逆上がりでも必要となる動作です。地上での運動と大きく異なるのは、地面の反力を使って脚を上げるのではなく、純粋にインナーマッスルで脚を前方に持ち上げる(後方回転)させる点にあります。なお、トランポリンの反力を使って脚を上げると前方に飛び出すことになりますので、空中に浮かんでから脚を上げるのがコツです。

 反力を用いないで行いますので、インナーマッスルが鍛えられますし、反力を使わないで脚を上げることを体験しておけば、地上で反力を使って同じような動作を行えば、反力を使わないで行う回転に反力が加わりますので、より強いまたは速い足の回転が行えることになりますので、多くのスポーツに展開が可能な動きです。

 

 

 

2017年

7月

14日

段階練習4 腰落ち5(立つ-腕の動作)

 「落ち」系の技をした場合必ずどこかで「立つ」という技が入ります。腰落ちを習う際には必ず「立つ」とセットで練習します。というかむしろ、「立つ」を練習してから「落ちる」を練習することの方が普通です。

 「立つ」というのは、一見簡単な技ですが、上手にできる人は少ないです。

 「立つ」際には、上体を支えた腕で立つ方向をコントロールします。まっすぐ上方にトランポリンを押すことにより、真上に身体が上昇し、立つことができます。この際に前に押すと前方に移動しながら立ってしまいます。

 「立つ」の腕の運動としては、物を押すという動作です。トランポリンは固定物ですが、トランポリンのベッドは変形しますので、立つという種目を行うことにより、変形するものをコントロールするという運動が経験できることになります。

 

2017年

7月

14日

段階練習4 腰落ち6(立つ-脚の動作)

 「立つ」という種目を行うには、前に出した足を身体の下に戻す動作をしなければなりません。以前にも書いたようにトランポリンでは「戻す」という操作がとても重要です。「立つ」でも反力を使うのではなく、空中で前方に出した脚を身体の下にインナーマッスルにより戻します。運動としては左右軸回りに下半身を前方回転させるものとなります。つまり「腰落ち」と「立つ」はセットで、前方回転・後方回転の両方を行うことになり、身体全面と背面の筋肉を等しく使うことになります。

 多くの運動では、「戻す」操作はあまり意識的に行われませんが、「立つ」という運動を意識的に行うことにより、「戻す」という運動が意識的に行えることになります。

 この動作を身につけていくと、鉄棒の振り出しや、強く「蹴る」という動作の必要な、蹴る前には脚を後方に引いてから蹴り出すなどに応用していくことができます。

 

2017年

7月

15日

段階練習5 膝落ち1(膝の動き1 落ちる時)

 膝落ちは運動としては膝関節を中心に、左右軸回りに膝から下の脚部を前方1/4回転させる種目です。運動としてはかなり小さな部分の運動となります。

 運動としては小さな動きですが、膝から上を静止状態でまっすぐ落下させるということになりますので、実は結構難しい技です。さらに、落下時の衝撃は立位なら足首、膝、腰の3カ所で調整できますが、膝落ちでは膝関節から下は固定されていますので、調整は腰だけで行うことになります。逆に状態をまっすぐにした状態で、落ちるということは、普段と異なり下半身での調節ができない状態でバランスをとることになりますので、体幹を鍛えられます。

 なお、腰は背中側には曲がりますが腹部側へは曲がらないので、腹部側への変形に対する調整機能はほとんどなく、腰を痛める可能性がある危険な技です。だからいつものように跳躍せず、低いジャンプで行うことが大事です。

 ところで、膝落ちという名称ですが、膝だけに体重がかかると不安定になりますし、膝を痛めます。また足首を伸ばさないとつま先が引っかかって爪を痛めやすいので、膝からすね、足首、つま先までのまっすぐに伸ばして身体を支えることが必要です。足首が固いひとは、膝落ちで足首の可動域を広げるトレーニングも合わせて行えます。

 

2017年

7月

17日

段階練習5 膝落ち2(膝の動き2 戻しの観点)

 ところで、膝落ちはちょっと変わった種目です。というのは、膝落ちで行う膝を曲げるという動作は、他の多くのスポーツでは「戻し」で行われることが多いからです。たとえば走る時、足を伸ばして前に出して、膝を曲げて進みます。どちらかというと意識は足を前に出すことにあり、その後の「戻し」にあたる曲げはあまり意識されていません。つまり膝落ちは「戻し」の動作を最初に行ってから、足を前に出すという動作を行います。

 ところで、他の多くのスポーツでは膝を曲げる動作は非常に重要ですが、体重がかかった膝を直角まで曲げることはかなり難しいです。走る時などは体重がかからない状態で膝を曲げますが、このときは膝から下は今度はほとんど荷重がかかっていません。

 ところがトランポリンでは膝にはほとんど負担をかけずに膝を直角まで曲げる動作を行い、曲げてから直角を保つために、力を使います。膝を直角に保ったまま一瞬ですが静止するという特殊な動作を経験させられます。

 テニスでは、スプリットステップと行って小さなジャンプをして、膝を曲げた状態で一瞬止まる技術が必要です。そこから膝を伸ばして走り出す、膝を曲げて低いボールに対処するなど膝を曲げた状態がスタート地点になります。トランポリンで膝を曲げて一瞬停止するという膝落ちの運動は、将来このような技術に生かせると考えています。

 

2017年

7月

18日

段階練習5 膝落ち3(膝の動き2 立つ時)

 「膝落ち」も「立つ」とセットで行う技です。膝落ちからのたつは膝関節を中心に左右軸回りに前方回転を行う種目です。

 膝落ちからの立つというのは、膝から下の部分を前方に振り出します。この動作はけりなどにおいて非常によく使われる技術ですが、けりにおいては太ももの振り出しと連動して行うものとなっております。

 トランポリンで膝落ちは、連動技術を磨く物とはなりませんが、膝から下を回転させるという部分的な動作を磨くことになります。幼少時には複雑な動作を行うのは難しいので、まず単純な動作を経験し、徐々に複雑な動作へと展開していくほうが、効率的なトレーニング方法となりますので、膝落ちからのたつによって、太ももとの連動で何となく行っていた、膝下の回転運動を意識的に操作しておくことは、非常によいトレーニングになると考えられます。

 

2017年

7月

19日

段階練習5 膝落ち3(腰の動き)

 最近ダイエットなどでよく言われる骨盤を立てる、というのがあります。それからもわかるように骨盤というのは左右軸回りに回転します。

 膝落ちは、下半身の関節(足首、膝)を使えない状態で着床する技ですが、実は骨盤を立てた姿勢を維持すると高く跳べます。膝落ちは腰を痛めやすいので、高いジャンプは必要ないのですが、骨盤を動かすことによりジャンプすることができます。つまり膝落ちでは骨盤の運動を経験することできます。特に膝落ちの連続を行うと、腕の旋回運動と骨盤の回転運動の連動というのも経験できます。腕を回して、骨盤を運動させるこの連動は基本姿勢を作る、すなわちよい姿勢を作るのに役立ちます。

 

 

 

2017年

7月

20日

段階練習5 膝落ち4(足首)

 膝落ちのする際の注意点として、足首を伸ばすというのがあります。足首が曲がっているとつま先がベッドに引っかかって、爪を痛めやすいからです。

 膝落ちの際には、足首を伸ばしてしっかり足首に体重をかけることが必要です。体重がかかれば、重さで自然に足首が伸ばされ、足首の可動域が広がります。

 最近足首の固い子供が増えていますので、膝落ちでの体重を使用して足首の可動域を広げることは重要です。足首を伸ばして蹴るなどに役立つ運動です。

 

 

2017年

7月

20日

段階練習6 膝落ち-1/2捻り腰落ち

 「膝落ち-1/2捻り腰落ち」は、今までの技と異なり複雑です。運動としては体軸回りの1/2捻り運動と、股関節回りの後方1/4回転運動と、膝関節を中心とした下腿の後方1/4回転運動の3つの組み合わせ運動だからです。

 なお、体軸回りの捻り運動が加わらなければ、膝落ちからの腹落ちとなりますが、腹落ちは視線の移動量(落下量)が大きく恐怖感が強い技なので、1/2捻ることで膝落ち姿勢から腰落ち姿勢の落下分(太ももの長さ程度の落下委)だけにすることで、恐怖感を感じさせないようになっています。このため、技は複雑ですが、恐怖心の観点からこの技は、最初の方に習う技となっています。

 この技は、体軸回りの捻りと左右軸回りの回転運動を組み合わせるという複合運動を経験させています。

 

2017年

7月

21日

段階練習7 5級 1-4①(連続性)

 これは、「腰落ち-膝落ち-1/2ひねり腰落ち-立つ」という4種目の連続技を意味しています。段階練習の6の「膝落ち-1/2捻り腰落ち」は2種目連続技としてよりも、基本動作の組み合わせに重点がありましたが、段階練習7では、連続性に重点があります。

 連続練習を行うことにより、「腰落ち」、「膝落ち」の完成度をチェックします。また、4種目を覚えるという脳のトレーニングともなっています。

 

 

 

2017年

7月

23日

段階練習7 5級 1-4②(腰落ち-膝落ち)

 ここでは、連続練習の中に新しい技の組み合わせが入っています。それが「腰落ち-膝落ち」です。この運動は、左右軸まわりに前方回転をする運動です。大腿は股関節回りに1/4回転、下腿は膝関節回りに1/4回転と2つの回転運動を同時に行っています。2つを組み合わせることにより全体としては1/2回転しています。

 またこの運動は、蹴りの振りかぶりからけり出しをちょうど反対の運動、つまり「戻し」の運動です。蹴りのちょうど反対の運動であり、背面の筋肉に対するトレーニングとなります。

 

 

 

2017年

7月

24日

段階練習8 7-10①

 これは、「腰落ち-1/2捻り膝落ち-腰落ち-立つ」という4種目の連続技を意味しています。

 ここでは、いきなり「腰落ち-1/2捻り膝落ち」、「膝落ち-腰落ち」という2つの新しい連続動作が入っています。当然これらはいきなり連続で行うのではなく、この2種目連続ができて始めて4種目連続を行います。

 まず簡単な方から行きます。「膝落ち-腰落ち」は左右軸回りに後方回転をする運動です。大腿は股関節回りに1/4回転、下腿は膝関節回りに1/4回転と2つの回転運動を同時に行っています。ちょうど「1-7)段階練習7 5級 1-4②(腰落ち-膝落ち)」で説明した技の逆回転運動です。この運動は一般に蹴りなどに使われる動きですので、たいていの子どもは、既に経験済みの運動と思われます。蹴りと異なるのは両脚を揃えて行う点です。片足の運動は地上でも経験できますが、両脚を揃えての運動はトランポリンや鉄棒などの器具を用いて空中でないと経験できない運動です。

 鉄棒の場合、自分の身体を支えるという運動が加わりますが、トランポリンでは重心の上下方向への移動+純粋な回転運動となります。

 

 

 

2017年

7月

24日

段階練習8 7-10②

 これは、「腰落ち-1/2捻り膝落ち-腰落ち-立つ」という4種目の連続技を意味しています。

 今回は、「腰落ち-1/2捻り膝落ち」を説明します。この技はかなり難しいです。股関節回りに脚を前方1/4回転+体軸回りに1/2捻り、捻った後に膝関節回りに下腿を前方1/4回転するという3つの運動を連動して行わなければならないからです。

 さらに、この運動は「戻し」の運動であり、日常的にはあまり意識的に行うことのない運動であるため、意識的に行うのが難しいです。逆を言えば、普段経験しない運動を意識的に行うと言うことになりますので、新たな刺激として有効です。

 

2017年

7月

26日

段階練習9 5-10①

 これは、バッジテスト5級の後半を意味します。「1/2捻り跳び-抱え跳び-腰落ち-1/2捻り膝落ち-腰落ち-立つ」という連続運動です。腰落ち以降は段階練習8で実施済みですので、その前の「1/2捻り跳び-抱え跳び-腰落ち」までがこの段階練習のポイントです。

 ところで、バッジテスト5級の不合格者の多くがこのパートがうまくできず、落ちています。一見簡単な技の連続ですが、じつは混乱しやすい部分です。なぜ混乱しやすいかというと、その前後には捻りと前後回転の組み合わせが入っていますが、この部分は組み合わせ技ではなく、単体の種目のみの連続技となっているからです。単体の種目なのですが、気が焦ることにより、1/2捻りながらかかえる、かかえたまま腰落ちをするという、組み合わせを行ってしまい、不合格に至ります。

 段階練習9は、組み合わせ技と連続技の違いを理解させることが一番重要です。つまり身体を動かすことよりも身体をコントロールするために、指令を出す脳を鍛える部分となっています。

 

2017年

7月

27日

段階練習10 1-10

 これはバッジテスト5級の全種目です。段階練習7と段階練習9をつなげるのが、段階練習10です。ここのポイントはつなぐ部分です。つなぐ部分は4番目の「立つ」から5番目の「1/2捻り跳び」です。

 この部分は大きなポイントが2つあります。

 まずは「立つ」という種目についてです。「立つ」という技は今までは、「立って止まる」という練習をしてきています。とりあえず「立てれば」OKでしたが、段階練習10ではその次に跳躍をしなければなりません。つまり、「立つ」がきちんとできていないと、次の跳躍ができません。

 もう1つのポイントは、段階練習9と同じく、連続技と組み合わせ技の違いをしっかり認識して身体をコントロールできるようにすることです。それができないと「立つ」-「1/2捻り跳び」という2種目連続技が「1/2捻り立つ」という1種目になってしまいます。つまり、からだと脳両方のトレーニングがトランポリンエアリアルトレーニングで行うのです。

 

2017年

7月

28日

補足(バッジテストが10個の種目でできていること)

 バッジテストは10個の連続種目で構成されています。これはトランポリン競技も同じです。なぜ10個なのかについては理由はないと思います。単純に10進法で切りがよいからだと思います。

 ところで、なぜ人は10進法を使うのでしょうか?実は指の本数が10本だから10進法を使っているのです。人は指折り数えることから数字を編み出しました。そのため、10を基本単位とする数字を作り出したのです。もし片手の指の本数が4本だったら8進法、6本だったら12進法が普通になっていたようです。

 8進法でも12進法でも4の倍数ですから1/4が割り切れます。しかし、10進法は1/4は割り切れず、小数が必要になります。

 ところで、トランポリン競技では小数を用いた得点が用いられていますが、バッジテストの採点は整数で、5点満点を取っています。つまり10の半分です。

 トランポリン競技は優劣を競う物ですから、わずかな差をつけて優劣をつける必要があります。トランポリンエアリアルトレーニングは子どもの運動能力をはぐくみ、調整能力を高め、運動神経をよくするためのものであるので、優劣をつける必要はなく、ざっくり整数だけでの採点となっています。

 数学と体育というのはあまり似たものではないと思われがちですが、スポーツにおいては数字、数学は欠かせない要素です。特にトランポリンは力学の知識があると理解がしやすいスポーツです。以上、運動ばかりせず、勉強も大事だということで本年のブログはまとめておきます。

 

2017年

7月

28日

補足(10個覚えること。トランポリンは脳トレだ!)

 以前読んだある本に、人間が一度に記憶できる個数は多い人で11個少ない人で5個、平均で7個だということが書かれていました。

 一度に7個しか覚えられないと言うことですが、バッジテストでは10個覚えなければなりません。つまり覚えきれないはずなのです。でも10個どころかもっとたくさんのことを人は覚えることができます。

 それが可能になる理由は簡単です。いくつかの物をまとめて1個の物として覚えるのです。1つの物として覚えられるのが長くなれば長くなるほど、より多くのことが覚えられます。

 トランポリンでは10個の技を覚えますが、実はいくつかの固まりで覚えます。だから大人ですら7個しか覚えられないのに、幼児でも10個覚えることができるのです。

 身体を動かすだけではなく、記憶することもトレーニングの1つになっていますので、トランポリンエアリアルトレーニングは脳トレにもなっています。

 

2017年

7月

30日

補足(インプットとアウトプット)

 大人になってから始めたスポーツで、頭ではわかっているけれど身体が動かない、ということをしばしば経験します。では、子どもはどうでしょうか?実は「即座の習得」ができるゴールデンエイジ以外の年代では、子どもといえども同じなのです。ただし、子どもの場合からだが動くなるための時間・練習回数が短いだけです。

 頭ではわかっているということは、どういう動きをするかを筋肉に指令を出しているということでしょう。身体が動かないということは、筋肉が脳の指令通り動かないと言うことです。

 筋肉に対しての指令(インプット)に対して、動作が行われない、つまり考えているとのと異なるアウトプットが生じていると言うことです。つまりインプットに対して正しいアウトプットができるような運動神経ができていないと言うことです。

 以前にも書きましたが、10歳以下の子どもの頃は神経系が発達します。このときは新しい神経回路を形成しやすいので、できるまでの時間が短くなるということです。

 ところで、子どもの場合、何をするのか理解できないこともしばしばあります。説明や見本を見るというのは、脳に対しするインプットです。何をするのかを理解し、筋肉に指令を出すのは、脳からのアウトプットです。子どもの場合、大人よりも脳に対するインプットとアウトプットをうまくつなぐことも重要なトレーニングです。つまり、運動能力を高くするとは、脳と筋肉の2つに対して、インプットとアウトプットをうまくつなぐことです。だから脳トレでもあるのです。

 

2017年

7月

31日

運動の自動化

 車の運転を始めた頃、曲がる時はウィンカーを出してとか、考えながら行っていたと思います。運転になれるといちいち考えずに自動的にウィンカーを出せるようになります。曲がることに対して、ウィンカーを出すと考えるのは、脳に対するインプットとアウトプットです。ウィンカーを出すと考えて手を動かすのは筋肉に対するインプットとアウトプットです。つまり、ウィンカーを出すと考えるのは、脳からのアウトプットであり、筋肉に対するインプットです。この2つは同じものです。なれてくるとこの部分が無意識に行われ、曲がるというインプットと手を動かす動作が直結します。運転になれてくると、ほとんど意識せずにこれができるようになります。このように意識せずに運動がスムーズに行えるようになることが運動の自動化です。

 トップアスリートになるには、いちいち考えて身体を動かすのではなく、瞬時に判断して自然と最適の動きができるようになる必要があります。しかし、子どもの素養作りを目的とするトランポリンエアリアルトレーニングでは、運動の自動化が起こるまでは練習させてはいけないとされています。運動の自動化は、類似行為に対しては、悪影響を及ぼすこともあるからです。たとえば、トランポリンでは膝はほとんど伸ばしています。ところが、他の多くのスポーツでは膝は曲げている状態が基本であることがほとんどです。もし運動の自動化起こって何かをしたらすぐ膝を伸ばすということになってしまったら、他のスポーツを行う際に非常に苦労することになります。

 練習を積んで上手になることは必要ですが、自動化が起きるまで練習してしまったら、それはエアリアルトレーニングの観点からするとトレーニングの失敗です。

 

2017年

8月

01日

補足(捻りの方向について)

 捻りの方向はどちらにすればよいのかを迷うことはあります。でもあまり気にする必要はありません。エアリアルトレーニングの観点からすると、どちらかに決めて一方向しかひねれないよりも両方向できる方がよいのですから。なぜなら、サッカーやバスケのようにドリブルで敵を交わす時、いつも同じ方向に回って交わすのでは相手に読まれてしまいます。どちらに交わすかを読ませない技術が必要だからです。だからどちらでもひねれるようにすることこそ、本当はすべきことなのです。

 最初、捻りはどちらと決めつけず、とりあえず捻りをさせてみればよいのです。常に同じ捻りをする子もいれば、そのときによって変わる子もいます。得意な方があるならその方向でひねらせ、その時々でひねる方向が変わる子はそのままでよいのです。両方できるようになればそれに越したことはないのですから。もし練習時間に余裕があるのなら、両方向できるように練習するのがベストだと思います。

 ただし、1回捻りへの導入のための1/2捻りの連続(4級の腰落ち-1/2捻りよつんばい落ち-1/2捻り腰落ちなど)は2種目とも同じ方向にひねるように練習しなければなりませんが。そうしないと1回捻りにつなげられないからです。

 

2017年

8月

02日

補足(技の構成について)

 トランポリンバッジテストは10種目連続でできています。しかしよく見ると2つまたは3つのパートに分けられています。各パートはたいてい「○○落ち」で始まり「立つ」で終わっています。5級なら1~4番の4種目が1つのパート、7番から10番の4種目が1つのパートです。この間につなぎの技が入っています。つなぎの技はフィートバウンスという立って行う技(○○跳びという名称)で、比較的簡単な技です。5級なら「1/2捻り跳び」と「抱え跳び」です。

 つなぎの技は簡単でそして高く跳べる技です。「○○落ち」というのは、脚で跳ぶよりもジャンプ高さが低くなります。そのため、「立つ」のあとに跳躍高さを回復するためにつなぎ技を入れているのです。各パートの方が難しそうな技が入っているのでその部分に目がいきがちですが、トランポリンを上手に行うには、このつなぎ技でしっかり高く跳べることが重要です。

 

2017年

8月

03日

補足(腰落ち)

 「幼児の体育あそび〈3〉鉄棒・フープ・トランポリン編 保育実技シリーズ(6)」 三宅照子、桑原芳子著、フレーベル館 では、腰落ちに似た種目が紹介されています。しかし、手はつかないでおしりで落ちるとしています。この本の影響か、一部の児童体操教室などでは、腕の骨折事故防止のため腰落ちの際に手をつかないように指導しているところがあるようです。

 腰落ちの際に腕や肩を痛めることは確かにありますが、その多くは指先の向きが適切でないか、脚を上げすぎて腕から落下した場合と思われます。しかし脚を上げてしまった場合、後方に回転し、頭部から落下する危険性があります。頭部からの落下事故はトランポリンにおけるもっとも危険な事故ですのでそれを防ぐ必要があります。後方に倒れ込まないようにするためには腕で支える必要があります。だから、腰落ちでは腕の使い方と脚の出し方が非常に重要です。

 

2017年

8月

04日

補足(バッジテスト5級の特徴)

 バッジテスト5級は、1級と並んで不合格者の多い級です。

 5級は抱え跳びとの他、腰落ち、膝落ちと1/2捻りの組み合わせしかなく、種目のバリエーションが非常に少ないです。そのため、似たような技の連続となりますので、覚えるのが難しく、混乱しやすくなっています。また始めたばかりすなわち年齢層が低いため、覚えること自体が難しく年代が多いことも特徴です。

 バッジテスト5級は最も覚えにくい級といえます。

 

次回から4級の解体に入ります。