バッジテスト実技編(1級)

2018年

11月

08日

段階練習33.フルシート

 フルシート(1回捻り腰落ち)の導入には、「1回捻り跳び+腰落ち」とする指導者と、「1/2捻り腹落ち+1/2捻り腰落ち」とする指導者がいます。両者の違いは軸の角度にあります。軸を垂直にしたのが前者で、後者は軸をやや傾けて行います。また、フルシートも2級のローラーも1回捻り腰落ちです。水平近くまで軸を傾けて行うのがローラーです。

 軸の傾きはおいておくとすると、この種目の運動は①「体軸回りの1回捻り」、②「下半身の左右軸回り後方1/4回転+腕の前後軸回り1/2回転」です。①は段階練習21の「1回捻り跳び」で経験済みで、②は段階練習4「腰落ち」で経験済みですのでそれを1回の跳躍中に連続して行えば完成です。

 2級のところでも書きましたが、①の時には骨盤をスイングすることも重要ですし、②の動作は回転の減速を伴う運動ですので、早く行うと回転が止まってしまいます。焦らず我慢することもここでは必要です。でも、それはローラーで経験済みですので、難しい種目ですが、この段階になると新たに経験することは少ない種目です。

 

 

 

2018年

11月

15日

段階練習34.1級 1-4

 段階練習34は、「フルシート-スイブル-1/2捻り立つ-開脚跳び」です。

どの組み合わせも初出のようですが、「フルシート-スイブル」は「1/2捻り腰落ち-スイブル」同様、「フルシート」がきちんとできていれば、「腰落ち-スイブル」と変わりありませんので、「フルシート」が完成していれば、できるはずです。もしできないのでしたら、捻りが不完全に終わっているとか、捻りを停止していないなど、捻りのコントロールが不十分の場合です。

 つづく「スイブル-1/2捻り立つ」も一見初めての経験のように思えますが、「腰落ちからの1/2捻り立つ」というのは、「スイブルの途中で立つ」ことであり、一般的にはスイブルを練習する前に練習する種目です。つまり、「スイブル」ができる状態ならできる技です。問題はその前のスイブルがきちんと完成しているか、だけです。

 同様に、「1/2捻り立つ-開脚跳び」もきちんと立てればできるはずですので、問題ないはずです。

 ここで問題なのは、「1回捻り-1/2捻り-1/2捻り」と捻りが3つ続くことですので、捻りをきちんとコントロールできることが大事であり、ここで新たに経験するのは捻りを伴う跳躍を経験することです。同様なことを行うスポーツには、器械体操やフィギュアスケートがありますし、サッカーのドリブルなどでも類似の運動を行いますので、ここで、捻りの連続を経験しておくことは非常に重要です。

 

2018年

11月

26日

段階練習35.1/2捻り腹落ち

 段階練習33「1回ひねり腰落ち(フルシート)」で説明したように、段階練習35の「1/2捻り腹落ち」は、フルシートの1部としても考えられます。本来ならフルシートより簡単な種目なので、フルシートよりも先に練習をしても良さそうですが、腹落ちは恐怖感が強い種目ですので、恐怖感が少ないフルシートより後に練習します。ただし、成人向けの段階練習では1/2ひねり腹落ちの方が先になっていますので、前後はそれほど重要ではないのか杜れません。

 1/2捻り腹落ちの運動としては、「体軸回りの1/2捻り+重心を中心とした左右軸回り前方1/4回転」です。

 「フルシート」や「1/2捻り腰落ち」も「体軸回りの捻りと左右軸回りの1/4回転」を行いますが、これらは体軸(上半身の軸)を原則として垂直のままに維持し、左右軸回りの上半身の回転が発生していません。つまり「1/2捻り腹落ち」では「体軸と左右軸の2つの軸回りの回転の組み合わせ」を初めて行う種目です。

 このような「体軸と左右軸の2つの軸回りの回転の組み合わせ」運動は、柔道のような組み手をするような格闘技でよく使われますので、トランポリンを利用して安全に経験しておくことは重要です。

 

2018年

12月

07日

段階練習36.ターンテーブル①(概要)

 ターンテーブルとは、腹落ちから1/2横まわり腹落ちです。横まわりというのは前後軸回りの回転運動を意味しています。横まわりとはマット運動の側転などと同じ種類の運動です。なお、トランポリン競技では、側転については難度がつかないことになっているため、側転の練習することはありません。側転を行うとトランポリンから飛び出しやすく危険性が高いためだと思われます。

 段階練習36のターンテーブルは身体を水平にしているため側転ではなく横まわりと呼ばれています。今まで体軸回りの捻りと、左右軸回りの宙返りでは行いましたが、段階練習36で初めて前後軸回りの回転運動を経験することになります。

 なお、ターンテーブルの運動は、①「肩を中心とした腕の前方1/2回転+大腿の後方3/8回転+下腿の前方3/8回転」、②「重心を中心とした前後軸回り1/2回転」、③「肩を中心とした腕の後方1/2回転+大腿の前方3/8回転+下腿の後方3/8回転」に分解できます。

 

 次回から各運動について解説していきます。

 

2018年

12月

22日

段階練習36.ターンテーブル②(腕と脚の運動)

 ターンテーブルの①「肩を中心とした腕の前方1/2回転+大腿の後方3/8回転+下腿の前方3/8回転」と③「肩を中心とした腕の後方1/2回転+大腿の前方3/8回転+下腿の後方3/8回転」は基本的に段階練習3「抱え跳び」の運動を身体を水平にして行っているだけです。

 なお、ターンテーブルは真上に上昇する必要がありますので、段階練習26「腰落ち-腹落ち-腹落ち」のところで書いたのと同様にターンテーブルにはいる時は「へそがかり」で落ち、その後立つためには、ターンテーブル終了時に「膝がかり」で着床する必要があります。

 「へそがかり」から真上に上昇するためには、①「肩を中心とした腕の前方1/2回転+大腿の後方3/8回転+下腿の前方3/8回転」の動作と同時に重心を持ち上げる必要があります。そして「膝がかり」で着床するには、③「肩を中心とした腕の後方1/2回転+大腿の前方3/8回転+下腿の後方3/8回転」の際にコントロール必要があります。

 基本的に、段階練習26にある「腹落ち-腹落ち」がきちんとできていれば、後は回転力をつけるだけで行える運動です。

 

 

 

2018年

12月

26日

段階練習36.ターンテーブル③(重心を中心とした前後軸回り1/2回転)

 ターンテーブルの回転のきっかけは2つです。1つは腕でベッドを押すこと、もう1つは回転の外側の膝を巻き込むことです。

 前回「ターンテーブル」の腕・脚の動きは段階練習3「抱え跳び」や段階練習26の「腹落ち-腹落ち」と同じと書きましたが実は、異なる点があります。

 以前回転速度を上げるには回転半径を小さくし、回転を停めるには回転半径を大きくすると言うことを書きました。ターンテーブルで回転するためには回転半径を小さくする必要があります。そのため通常の抱え跳び以上に膝を曲げて小さくなる必要があります。さらに回転を続けるためにはその姿勢を維持する必要があります。この姿勢を維持するがマンガできなければ、失速して回転は止まります。ターンテーブルでは横まわりを初めて経験するだけではなく、姿勢をより小さくし、その姿勢を維持するつまり我慢することを学びます。このため、丸まった状態で、空中で静止するという運動を経験することになります。この運動経験は他のスポーツでは得られない貴重な経験となります。

 

 

 

2019年

1月

04日

段階練習37.反動閉脚跳び①(概要)

 トランポリン競技で反動閉脚跳びをおこなったらどうなるでしょうか?あまり演技点は出ません。なぜなら、トランポリンではのけぞるような姿勢はよくない姿勢として減点対象となるからです。

 しかし反動閉脚跳びは、のけぞる姿勢をとってから閉脚動作を行う種目です。つまりトランポリン競技には不要な運動を行う閉脚跳びなのです。しかし、弓のようにのけぞってからその反動を用いて、行う運動はボールを投げる、蹴るなど野球・バスケットボール・バレーボール、ハンドボール、サッカーなど多くの球技、ボールや相手を打つテニス・バドミントン・剣道、さらには水泳のバタフライなど非常に多くのスポーツで行われる運動です。トランポリンでは反動を用いて行う種目は反動閉脚跳びぐらいしかありませんが、行う方向と反対の方向に一旦身体を動かしてから、その反動を用いて行うという動作は、背中以外でも非常に頻繁に行われる運動です。

 特にバスケやハンドボール、バレーボールのシュートやアタック、テニスやバドミントンのスマッシュなどはジャンプして背筋の反動を用いて行うことが多いです。

 反動閉脚跳びでは反動を用いて行う動作を経験するとともに、将筋力が弱く十分な跳躍力がない幼少時にトランポリンを用いて経験しておくことは、それらの球技などにおける空中戦にそなえておくことになります。

 

 

 

2019年

1月

24日

段階練習37.反動閉脚跳び②(反動運動)

 反動閉脚跳びは①「肩を中心とした腕の左右軸回り後方1/2回転」、②「背筋によるのけぞり」、③「反動を用いた、上半身の左右軸回り前方1/4回転+下半身の左右軸回り後方回転」、④「上半身の左右軸回り後方1/4回転+下半身の左右軸回り前方回転」です。

 普通の閉脚跳びは②の運動はありませんので、それだけ1跳躍の間にしなければならない動作が増え、それに対して高い跳躍が必要となります。

 また、①の腕の振り上げも閉脚跳びの理想型はまっすぐ上まで腕を上げてから閉脚跳びを行いますが、この動作が不十分でも普通の閉脚跳びはできます。しかし、反動閉脚跳びではしっかりと腕を振り上げ、更に後方まで引きつける必要があります。そこまでしなければ反動閉脚跳びとしては有効ではありませんので。

 そして腕を引きつけることにより腕の分だけ重心が後方にずれますのでそのままでは後方に倒れ込みます。だから、カウンターバランスをとるために、下半身も後方に引きつける必要があります。こうしてのけぞった姿勢が完成し、その反動を用いて一気に閉脚跳びを行うのが、反動閉脚跳びです。

 きちんと上半身と下半身の引きつけが等しく行えないとバランスを保てませんので、バランス能力が最も必要となる運動です。また、高い跳躍と素早い動作がなければ、実施できない種目ですので、スピードとバランス能力の開発に役立つ運動です。

 

2019年

3月

07日

段階練習38.1級 8-10①

 段階練習38は「抱え跳び-1回捻り跳び-反動閉脚跳び」です。バッジテストの中で最も不合格者多い部分です。バッジテストでは、「立つ-フィートバウンス」はよくありますが、立つ以外のフィートバウンスが連続するのは、5級の「1/2捻り跳び-抱え跳び」3級の「開脚とび-1回ひねり跳び」ぐらいで、段階練習38では、バッジテストの中で例外的にフィートバウンスが4つ続きます。

 今回は、前半の「抱え跳び-1回捻り跳び」について解説します。

「抱え跳び-1回捻り跳び」は、段階練習ともにフィートバウンスです。段階練習21の「開脚跳び-1回捻り跳び」の類似の種目ですから、それほど難しいものではありません。開脚跳びは体軸に対して左右の動きがありますので、左右の運動をしてから、左右非対称の捻り運動に入ります。これに対して抱え跳びは左右の運動がない状態から左右非対称の運動にはいるという違いがあります。開脚跳びは左右の動きを対称にして行わないと軸が傾きますので、左右の動きがなく体軸に対して動きのない抱え跳びよりも難しいと思われます。つまり、この部分は段階練習21よりも簡単になっています。

 逆に左右の動きがない状態から左右の動きにつなげるという運動の切り替えが必要となります。

 

2019年

5月

21日

段階練習38.1級 8-10②

 今回は、後半の「1回捻り跳び-反動閉脚跳び」についてです。1回捻り跳びはかなり難しい種目です。回転軸を垂直に維持するのが不完全だと傾いて着地することになりますし、回転が停止しないで着地するとその後バランスを崩しやすくなります。つまり、着地が非常に難しい種目です。着地が不完全ですとその後の種目につなげる跳躍が難しくなります。3級では1回捻り跳びをして着地ができればよいのですが、段階練習38では着地の後に跳躍が必要となっています。さらに、段階練習37で書いたように反動閉脚跳びは、滞空時間、つまり跳躍高さの必要な種目ですので、しっかり跳べなければなりません。そのために跳躍高さがきちんととれるようにその前の2つの種目が高さの取れるフィートバウンスとなっているのです。

 なお、1回捻りを勢いで回しているようでは、着地は不完全となります。回転をきちんとコントロールして回転を停止し、そのあとに高い跳躍をするという切り替え作業を経験します。

 段階練習38は、意識的に高い跳躍を経験するとともに、横に飛びついたり、向きを変えて、その後他の方向に動くなどの運動の基礎となる運動を経験することになります。

 

2019年

6月

05日

段階練習5-1)段階練習39.1級 4-10②(「開脚跳び-1/2捻り腹落ち」)

 段階練習39は、「開脚跳び-1/2捻り腹落ち-ターンテーブル-立つ-抱え跳び-1回捻り跳び-反動閉脚跳び」です。ここで新しく出てくるのは「開脚跳び-1/2捻り腹落ち」と「1/2捻り腹落ち-ターンテーブル」です。その後は段階練習38で練習済みです。

 「開脚跳び-1/2捻り腹落ち」は前々回で「抱え跳び-1回捻り跳び」のところで書いたのと同様「脚の左右の運動-捻り=左右非対称運動」という連続ですので、かなり難しいです。捻りとは言い換えれば左右軸の回転運動ですので。その上「1/2捻り腹落ち」は左右軸回りの回転運動も伴いますので、開脚跳びの後に続けるのはかなり難しくなっています。なお、「開脚跳び」の脚の動きは「前後軸と左右軸、2つの軸回りの回転運動」となっています。

 段階練習21の「開脚跳び-1回捻り跳び」では「前後軸と左右軸、2つの軸回りの回転運動」から「体軸回りの回転運動」と2つから1つの軸の切り替えでしたが、「開脚跳び-1/2捻り腹落ち」は「前後軸と左右軸、2つの軸回りの回転運動」から「体軸回りの+前後軸回りの回転運動」と2つから2つになっていますので、かなり難しいのです。

 この段階では回転軸を意識的に切り替える運動を経験することになり、かなり複雑な軸変換運動となっています。このように1級になると、複雑な運動と運動の切り替えの2つを経験していくことになります。

 

2019年

6月

13日

段階練習39.1級 4-10③(1/2捻り腹落ち-ターンテーブル)

 「1/2捻り腹落ち-ターンテーブル」も前回書いた「開脚跳び-1/2捻り腹落ち」同様に軸の切り替えが大事です。「1/2捻り腹落ち-ターンテーブル」から「体軸回り+前後軸回り」から「前後軸回り」への変換です。2つから1つですので、一見簡単なようですが、前後軸回りの回転というのは日常生活や陸上のスポーツではあまり経験する物ではありませんし、しかも日常では行わない身体を水平にしている状態で行うので、かなり難しい物となっています。

 また、その前にある「1/2捻り腹落ち」は、かなり高度な種目のため、着床時に回転不足になりがちで、更にそこから回らなければならないので、この組み合わせは難しい物となっています。単体で「ターンテーブル」ができても「1/2捻り腹落ち」からの連続がうまくいかないのは、「1/2捻り腹落ち」が不完全な場合と、軸の切り替えがうまくいかないことのどちらかです。つまり軸の変換に加えて回転量のコントロールもここで必要な能力となります。

 

2019年

6月

20日

段階練習40.1級 1-10

 段階練習40はバッジテストの段階練習の最後で、1級全部です。既におこなった段階練習34と段階練習39を「開脚跳び」をつなぎの技としてつなげれば、完成です。この段階練習は新しい経験はありません。

 なお、上半身の動きを中心に書きますと「1回捻り-1/2捻り-1/2捻り-つなぎ-1/2捻りをともなう前方回転-横まわり-後方回転-つなぎ-1回捻り-のけぞり」という連続になっています。もっとまとめると「捻りの3連続」-つなぎ-「回転軸の切り替え運動」-つなぎ-1回捻り-のけぞりです。ここでは、軸を意識した運動を多くすることになります。

 

 

 

2019年

6月

28日

1級ボールトレーニング①(ボールキャッチ)

 1級のボールキャッチは、かなり高度となります。まず、捕るボールは山なりのボール(アーチボール)でなければなりません。山なりのボールが落ちてくるのを見計らって、揺さぶりジャンプから跳躍して頭上でボールをキャッチしなければなりません。

 まず、山なりボールですが投げる角度が難しく、受験生の技能以上に、投げ手(コーチなど)の技量がかなり影響します。

 つぎに揺さぶりジャンプです。これは足がトランポリンから離れない程度にトランポリンを揺することです。その状態からボールが落ちてくるのに合わせて跳躍する必要があります。つまりボールにタイミングを合わせてジャンプする能力と判断力が必要です。普通の球技ではジャンプしながらボールをとることは少なく、ふつうは走りながらあるいは待ちかまえでジャンプしてボールをとるのが普通でので、予備跳躍ではなく、揺さぶりにしています。静止状態から行っていないのは、トランポリンを使っていきなり高くジャンプするのは、逆に難しいからです。

 さらに、キャッチは頭上でとなっています。2級まではかかえるようにとってもててだけとってもよかったのですが、頭上キャッチなので、かかえるように捕るのでは不合格となります。

 このボールキャッチは、バスケットボールリバンウンドボールを捕るイメージです。だから、床上で構えているまたは足踏みしている状態をイメージして「揺さぶりジャンプ」を行います。だから普通に跳んでいる生徒に合わせてボールを投げるのではだめで、ボールの落下を判断して跳躍する判断能力も必要となります。トランポリンでは、他者やものの動きを判断して行動するという運動は基本的にありません。このボールトレーニングによりその点が改善されています。

 このトレーニングは手でボールを捕るということと、ボールの動きを判断して行動を起こす、そして空中の高い位置でボールをとるという3つのことを経験させることになります。 

 

2019年

7月

04日

1級ボールトレーニング②(ボールスロー)

 ボールスローは反動閉脚跳び同様、身体の反りの反動を使う運動です。身体の反りを使っての運動は反動閉脚跳びのところで書いたように非常に多くあります。1級のボールスローでは、その身体の反りに加えてボールを投げる、つまり他物をコントロールするということを経験します。

 なお、バッジテストの最終種目ですので、後はシャトルゲームを経験してトランポリンエアリアルトレーニングを卒業です。ボールスローを実際行う場合は、両手投げでも片手投げでもよいことになっていますので、今後行う予定のスポーツがあれば、そのスポーツに即した投げ方をしておくとよいと思われます。

2019年

7月

10日

補足1(横まわり)

 前後軸回りの回転を横まわりといいます。横まわりのうち、重心の下を頭が通るのを側転と呼びます。体操では側転運動というのはあり、またスノーボードなどでは側転に類似した運動があります。しかし、側転にならない横まわりというのは、トランポリン以外ではほとんど経験できない運動ですので、ターンテーブルは様々な運動を経験させるには非常に役立つ運動です。

 

 

 

2019年

7月

19日

補足2(反動閉脚跳び)

 反動閉脚跳びをトランポリン競技で行えば、背中が反っているので減点されます。つまり、反動閉脚跳びはトランポリン競技ではよくない跳び方なのです。そんな種目をバッジテストに取り入れているのは、トランポリンバッジテスト、すなわちエアリアルトレーニングがトランポリン競技のための運動ではなく、すべてのスポーツのための基礎トレーニングだからです。

 だから、特にメジャースポーツの多い球技系では必要な運動である反動を用いた運動を取り入れているのです。

 

2019年

10月

19日

補足3(最も難しい技)

 最も難しい技はたいてい、最初の方と最後の方に入ります。2級で言えば、2番目にあるスイブルと後ろから2番目のローラーです。なお、スイブルは腰落ちの形から行うので最初にはできませんので2番目、ローラーも立つとセットなので、後ろから2番目にあります。

 3級も同様に腰落ちからの腹落ちと、1回捻り跳びです。最初の方にあるのは高さがあった方がしやすい技で、最後の方は高さがなくてもなんとかできる技となっています。

 しかし、1級は違います。以前にも書きましたが、バッジテストに含まれる種目の中で最高難度は0.2です。難度0.2の種目は全部で4つあります。それは以下の種目です。

 1.1回捻り跳び(3級、1級)

 2.1/2捻り腹落ち(1級、3級の腰落ちからの1/2捻り腹落ちも含む)

 3.ローラー(2級)

 4.1回捻り腰落ち

 

 3級の1回捻り跳びは着地できれば終わりです。腰落ちからの1/2捻り腹落ちは立って(難度0.1)からつなぎの技(開脚跳び難度0)を入れています。2級のローラーも立てれば終わりです。しかし1級の1回捻り腰落ちはその後にスイブル(難度0.1)、1/2捻り立つ(難度0.1)と難度がある技が2つ続きます。同様に1/2捻り腹落ちの後にもターンテーブル(難度0.1)、立つ(難度0.1)という難度のある技が2つ続きます。

 

 一般にはローラー(人によってはターンテーブルの場合もありますが)が最も難しい技と考えられており、実際苦労することの多い種目ですが、1級は単体の種目ではなく、連続の種目で難しい組み合わせになっています。つまり、連続的な運動が最も難しいのが一級です。

 

 ※ トランポリン競技においてよつんばい落ちと膝落ちは有効な種目として扱われていません

 

2019年

10月

24日

補足4(バッジテスト1級の特徴)

 バッジテスト1級は、前回書いたように組み合わせが非常に難しいものとなっています。

 1級は全部で3つのパートに分かれています。①「1回捻り腰落ち~1/2捻り立つ」、②「1/2捻り腹落ち~立つ」、③「1回捻り跳び-反動閉脚跳び」です。①と②の間には開脚跳び、②と③の間には抱え跳びというつなぎの技が入っています。前回①と②が難しいことは書きましたが、実は一番難しいのは、③です。

 一般に閉脚跳びもつなぎの技なのですが、反動閉脚跳びは違います。反動閉脚跳びは一度背中を反らせてから、その反動を用いて閉脚動作を行います。そのためには、通常の閉脚跳びより時間がかかります。すなわち、長い滞空時間=高い跳躍が必要なのです。反動閉脚跳びは難度はない種目ですが、実はかなり難しい種目なのです。

 更に閉脚跳びの前には1回捻り跳びという難しい技が入っています。この種目でバランスを崩せば、当然次に高い跳躍はできません。1回捻り跳びがぎりぎりできるようなレベルでは、高い跳躍を必要とする反動閉脚跳びは行えません。その上、パート③の前には跳躍高さが低くなる腹落ちが2度(1/2捻り腹落ち-ターンテーブル)入っていますので、その段階でも跳躍高さが低くなっています。跳躍高さを回復するためには、抱え跳びでしっかり跳躍して、高さを回復させなければなりません。反動閉脚跳びは通常の閉脚跳びより長い滞空時間を必要としますので、その前に2つフィートバウンスが入っているのです。つまり、抱え跳びで高さをとって、1回捻り跳びで更に高さをとって、反動閉脚跳びにつなげる必要があるのです。当然抱え跳びのまえの「立つ」がきちんとできていなければ、抱え跳びで高さをとることはできません。

 つまり、1級とは、今まで練習してきたすべての技がきちんとできることが前提にできるものなのです。そのためには5級が合格したからといって、5級の練習は適当ではだめなのです。腰落ちからたつを練習するのは5級ですし、立つのあとに跳ぶのも5級で練習する種目なのですから。

 1級で新たに習うターンテーブルや1回捻り腰落ち、あるいは反動閉脚跳びなどに目がいきがちですが、1級ができるようになるのは、それ以前の種目が確実にできるようになっていなければならないのです。

 

2019年

10月

31日

補足5(バッジテストを受験すること)

 バッジテストは基本的に不合格を出さないようにしています。バッジテストは指導者を通して申し込むようになっています。この時点で指導者はほぼ確実に合格する生徒だけを受験するようになっています。だから全員合格が当たり前で、不合格者が出たらその生徒の担当指導者の能力に問題ありと言われています。そうなっているにもかかわらず、不合格者が出ることがあります。

 その原因は、指導者の判断ミスでまだトレーニングが不十分であるにもかかわらず受験を許可してしまったケースが多いですが、普段の練習とは違う雰囲気、場合によってはトランポリン自体も異なっていることから、緊張のあまりうまくできなかったということもあります。

 つまり指導者にとっては合格するのが当たり前と思われる状況でも、受験する生徒にとっては、合格できるかどうかわからない状態で受けることになっています。

 

 本番に弱いという人がいますが、このような人は緊張に負けていつも通りの実力を発揮できないひとです。緊張する場面におかれるというのも1つの経験です。

 バッジテストを受験することにより、緊張になれる事は将来にきっと役立つはずです。そしてバッジテストはたいてい合格できますので、合格することにより楽しさと、自信を身につけていくことになります。その積み重ねは重要です。

 不合格をバネに次につなげられる性格の子もいますが、特に運動が苦手と思っている生徒にとっては、不合格になってしまうと、自信喪失につながります。友達が受けるから一緒にとかいう理由でまだ不十分な段階で受験させたがる保護者の方がいますが、バッジテストは確実に合格できるように導くことが指導者と保護者の責任です。