第1部 バッジテストはレクトラのためのものではない

 

 バッジテストがトランポリン愛好者のためにつくられたものではないということは、バッジテストが作られた数十年前からいわれていることですが、なぜか間違った利用法や解釈が世間に広まっています。このブログではまず、過去に出された資料を基にバッジテストが当初からトランポリン愛好者のためにつくられたものではないことを示して、バッジテストの目的の理解を推進していこうと考えています。

 

 

 

2016年

6月

08日

第1回 教本「はじめに」

 今回から普及指導員講習教本から、バッジテストのあり方についての説明をしている部分を取り上げ解説していきます。今回は第1回ですので教本の「はじめに」にからです。

 教本の「はじめに」では、練習目的別に見た普及指導員の指導の範囲として、“すべてのスポーツに役立つ空中感覚の養成を目的とした幼少年期のエアリアル・トレーニング(バッジテスト・シャトルゲーム)の検定及び指導”と書いてあります。

 ここで注意すべきは、“すべてのスポーツに役立つ”ということです。つまりエアリアル・トレーニング(バッジテスト・シャトルゲーム)の目的はトランポリンのための指導ではなく、すべてのスポーツに役立つことを目的としています。

 トランポリンにはトランポリン特有の技術があります。トランポリンを愛好していくためには、その固有の技術習得が欠かせませんが、その技術が他のスポーツに求められるとは限りません。トランポリン固有の技術習得を目的とするのと、すべてのスポーツに役立つ、つまりすべてのスポーツとの共有する部分を目的とするのでは、指導のしかたが変わるのは当然です。トランポリン固有の技術にこだわらず、すべてのスポーツに共通する部分に主眼を置いた指導していくのがバッジテスト(エアリアル・トレーニング)における正しい指導法なのです。

 

2016年

6月

15日

第2回 「単元2 普及指導員の任務」より(1)

「単元2 普及指導員の任務」の「1.指導員の任務」ではトランポリンの存在価値として以下の5つを取り上げています。

  1)プロスポーツとして

  2)チャンピオンスポーツとして

  3)レクリエーション・スポーツとして

  4)トレーニング手段

  5)教育スポーツとして

  このうち、“幼少年期の調整力トレーニング”は3の“レクリエーション・スポーツとして”ではなく、4の“トレーニング手段”に分類されています。幼少年期の調整力トレーニングというのが、バッジテストを含むトランポリンエアリアル・トレーニングのことです。つまりバッジテストはレクリエーション・トランポリンに分類されるものではないこと、言い換えればバッジテストはレクトラのためのものではないのです。それがここで示されているのです。

 

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2016年

6月

22日

第3回 「単元2 普及指導員の任務」より(2)

 「単元2」では、トランポリンの存在価値として、「プロスポーツ」、「チャンピオンスポーツ」、「レクリエーションスポーツ」、「トレーニング手段」、「教育スポーツ」の5つが挙げられています。

  そして「幼少年期の調整力トレーニング(バッジテスト)」は「各種スポーツ選手のトレーニング」「リハビリテーション」と並んで、「トレーニング手段」の細分類として位置づけられています。

  もしバッジテストがレクトラのためにつくられたものであるなら、「レクリエーションスポーツ」として成人と幼少年期という細分類で並べる必要がありますが、そうはなっていません。このことからもバッジテストがレクトラのためのものではないことが明らかです。

 

2016年

6月

29日

第4回 「単元2 普及指導員の任務」より(3)

「単元2 普及指導員の任務」では以下のような記述がありまう。

 

 “②協力し合って、その地区の小学生に将来どのようなスポーツに進んで行っても役立つような教え方を持ってトランポリン運動を実施する(エアリアル・トレーニング-バッジテスト)”

 この記述は、エアリアル・トレーニング-バッジテストが、将来どのようなスポーツに進んで行っても、役立つようなトランポリン運動であることを意味しています。つまり、トランポリンというスポーツのため、言い換えればトランポリンというスポーツに特化した運動指導ではないことを意味しています。そのため、詳しくは機会を改めて説明しますが、トランポリン競技では良くないといわれるトラベルも安全上問題のない範囲で行い、さらにボールトレーニングではわざわざトラベルをさせる内容まで含んでいるのです。そのうえ、トランポリン競技のための基本的な姿勢などにとらわれない、言い換えればトランポリン競技に必要な美しい姿勢などを求めるような指導をしないことになっているのです。

 

2016年

7月

13日

第5回 「単元2 普及指導員の任務」より(4)

 単元2(以前の単元3)の目的別指導法の一覧表でも「普及指導員の任務」同様に「レクリエーション」と「幼少年期の調整力トレーニング」は別なものとして区分けされています。バッジテストは「幼少年期の調整力トレーニング」の一部ですので、ここでもバッジテストはレクトラとは別なものとして扱われています。

 細かく見ていくと、

1)目的はレクトラは、「楽しむため・健康のため」であるのに対して、「幼少年期の調整力トレーニング」は「将来、スポーツ好きな人間に育つため」となっており、楽しむためのものではないことをが示されています。

2)心構えもレクトラは、「トランポリンは自己レクリエーション・スポーツの一つ」であり、「幼少年期の調整力トレーニング」は「将来のスポーツ活動の素養づくりトレーニング」となっており、トランポリンに限定したものではないことが示されています。

3)対象も「好きなもの」と「全員」と区別してます。つまり好き嫌いに関わらず行うのが「幼少年期の調整力トレーニング」であり、好きなものに対して行うのが、レクトラなのです。

4)反復については、レクトラが「条件反射回路の形成」するまで反復練習をすることに対して、「幼少年期の調整力トレーニング」は「条件反射ができるまで反復しない」となっており、「幼少年期の調整力トレーニング」では反復練習の回数に制限があるのに対してトランポリンが好きな子が行うレクトラは上手になるために条件反射回路が形成されるまで反復することになっています。

5)追及もレクトラが「楽しさ・健康維持増進」であるのに対して、「幼少年期の調整力トレーニング」は身体機能の開発(機能面の追求)であり、求めていくものが異なることが示されています。

 以上のようにバッジテストは、目的も対象もレクトラとは異なる目的で作られたものです。その結果、反復回数が一方は何度でも、他方は制限があるものという形で異なる結果にもなっています。

 

2016年

9月

08日

第6回 「単元5 教室の開設」より

 「単元5」の「3.子どものクラブ・教室結成について」では以下のように書かれています。

  “子どものトランポリン教室・クラブには、目的の異なる二つのクラブが存在する。

  一つは、他のいろいろなスポーツ競技と同じ様に、純粋にトランポリンを愛好するクラブ「競技検定クラブ」もう一つは、将来のスポーツ活動に役立つ空中感覚を養成するエアリアル・トレーニング・クラブ「バッジテストクラブ・教室」である。“

  上記に書かれているように、トランポリンを愛好する人向けには「競技検定クラブ」、そうでない人は「バッジテストクラブ・教室」があるとされています。

  ここで特に着目していただきたいのは、競技検定クラブの対象が競技者ではなく、トランポリンを愛好する人向けと書かれている点です。 以上のことからトランポリン愛好者(競技者並びにレクトラ)向けに競技検定が作られたものであることがわかります。つまりバッジテスト、レクリエーショントランポリンが愛好者向けのものではないことが示されています。

 

 

 

2016年

9月

16日

第7回 「単元5 教室の開設」より(2)

 バッジテストクラブと競技検定クラブの規約の見本が教本には掲載されています。

 競技検定クラブでは、「トランポリン競技を愛好させ」とあります。これに対してバッジテストクラブでは「運動好きな子供に育てると共に、すべてのスポーツに転移のきく空中動作・感覚を養成する。(エアリアルトレーニング-バッジテスト・シャトルゲーム・ボールトレーニング)」となっています。

 上記のように競技検定クラブがトランポリンの愛好者のためのクラブであり、バッジテストクラブはそうではないのです。

 そしてそれは、バッジテストクラブの規約第11条によってより明確になっています。

 「第11条 本会の目的エアリアルトレーニングの運動処方に則り、バッジテスト5級~1級を取得し、シャトルゲームに3回出場後3ヶ月以内に退会しなければならない。」

 第11条は必ずバッジテストクラブにつけることになっているものです。この規約でエアリアルトレーニングの完了後に必ず退会させることになっています。

 バッジテストがトランポリン愛好者のためのものであるならば、トランポリン愛好者を強制的に退会させることになります。日本トランポリン協会はそんなひどい団体ではありません。エアリアルトレーニングはトランポリンのためのものではなく、すべてのスポーツに通用する運動能力を身につけるための練習法であり、トレーニングが完了した人はいつまでもトランポリンをやり続けず、それぞれが目指すスポーツに進んでいけるきっかけをつくるためにこのような規約は設けられているのです。もしそこで、トランポリンを選んだのでしたら、その場合はバッジテストクラブを退会し、競技検定クラブに移ればよいのですから。

 以上のように、バッジテストはトランポリン愛好者のためのものではなく、トランポリン愛好者のためには競技検定というものがあることがここで明らかにされています。

 

 

2016年

9月

23日

第8回 「単元7 競技スポーツ・基礎レベルのコーチング」より

 「単元7 競技スポーツ・基礎レベルのコーチング」では以下のような記述があります。

 “5級を終了する時点で普及指導員は、個々の子どもと保護者に対して、トランポリン競技(レクリエーションを含む)に進むのか、ボールトレーニングを含むエアリアル・トレーニング(バッジテスト)に進むのかを再確認する。”

 以上の記述にあるようにレクレーショントランポリン(競技会などには出ないトランポリン愛好者)を希望する者も競技検定を選択させることになっています。つまり5級の時点でトランポリンというスポーツをするのか、トランポリンをつかってトレーニングをするのかを選択することになっています。

 トランポリンの愛好者(競技者およびレクレーショントランポリン)はバッジテストを進めず、競技検定を目指すようにすることになっているのです。つまり4級以上に進むのはレクレーショントランポリンをめざさない子ども、つまり、トランポリンというスポーツ自体を愛好しない子どもに振り分けられるのです。このことからもバッジテストをレクトラ志望者に適用するのは間違っていると言えます。

 

2016年

10月

07日

第9回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」では以下のような記述があります。

 “ エアリアル・トレーニングの目的は、全てのスポーツに応用できる空中動作・感覚を身につけておくことにある。

 目的が異なれば、運動処方や指導法が異なるのは言うまでもない。“

 上記にあるように、目的が異なれば、指導法も異なるのです。つまりトランポリンそのものを愛好するものと、トランポリンを利用して運動能力の向上などを目的としてトレーニングをするものに対しては指導法を変えていく必要がありのです。

 さらにエアリアルトレーニングの説明として引き続き以下のような記述があります。

 “スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)の運動処方のあらましを一言でいうならば、次の通りである。

 「運動に関与する神経系が最も旺盛な発達を示す低学年期に、できるだけ多くの空中動作を経験させ、その経験によって習得した動作(種目)を使ったシャトル・ゲームを行わせる。また球技スポーツを想定し、移動空間でボールを受けたり・投げたりすることを体験させる」ということである。“

 目的としてトランポリン競技者や愛好者に求められる「より美し・より高く」ではなく、「できるだけ多くの空中運動」を経験させることがトランポリン・エアリアルトレーニングの目的なのです。

 以上2点より、バッジテストをトランポリン愛好者に適用するのは間違った指導法であると言えます。

 

2016年

10月

28日

第10回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(2)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「2、エアリアル・トレーニングの対象者」では以下のような記述があります。

 “エアリアル・トレーニングの対象者を一言でいえば、トランポリン競技志望以外の未就学児童及び小学生低学年児童全員と言うことになる。”

 上記は、ちょっと分かりにくいものですが、ここでいうトランポリン競技志望者とは、トランポリン競技選手を目指すもののみを指すのではなく、他のスポーツではなく、トランポリンというスポーツを行っていくことを志望する者を指しています。つまりレクトラ志望の児童も含んでいるのです。

 つまりトランポリン競技志望=トランポリン愛好と言い換えられます。つまりトランポリン愛好者以外の児童のためにつくられたものが、エアリアルトレーニングであり、バッジテストなのです。そして、トランポリン愛好者のためにつくられたのが、競技検定なのです。以上より、バッジテストはレクトラ志向の子供には施してはいけないものとなっています。

 

 

2016年

11月

07日

第11回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(3)

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「5.バッジテスト(5級)終了後にコース(バッジテスト・競技検定)の再確認」では、以下のような記述があります。

 “バッジテスト(エアリアル・トレーニング)は読んで字の通りトレーニングである。「楽しいからやる好きだからやる」というものではない。

 バッジテストの目的は、将来のスポーツ活動のために必要な空中感覚を神経系の最も旺盛な発達を示す幼少年期に培っておくというものである。バッジテストはトランポリン競技・シャトル競技・社会人のレクトラとは全く異なる「空中感覚養成」のトレーニングである。合わせて「スポーツの親しむきかっかけづくり」に役立てようというものである。”

 ここではバッジテストの目的と動機が示されています。バッジテストの目的は「空中感覚養成」の養成であり、トレーニングを受ける動機はトランポリンが好きだから行うのではないとしています。つまりトランポリンを愛好するために行うものではないことが示されています。また、目的が「トランポリン競技・シャトル競技・社会人のレクトラ」ではないことも示されています。

 ここで注意が必要です。ここでは子供のレクトラは含まれていませんが、以前示したようにトランポリン競技にはレクトラ志向も含むことになっていることです。つまりバッジテストは子ども・大人に限らずレクトラ(トランポリン愛好者)のためにつくられたものではないのです。

 

2016年

11月

10日

第12回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(4)

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「5.バッジテスト(5級)終了後にコース(バッジテスト・競技検定)の再確認」では、引き続き以下のような記述があります。

 “バーベル運動に例えると、バーベルの重さを競う「ウェイト・リフティング競技」と異なり、全てのスポーツ競技選手が行う筋力トレーニングに匹敵するものである。空中感覚など神経系の発達を促す調整力トレーニングの分野である。従ってその対象者は将来トランポリン競技以外のいろいろなスポーツ活動を行う幼少年期の子ども達である。”

 ここで示されているように多くのスポーツ選手はバーベルを使った筋トレを行います。しかしバーベルを使ってトレーニングを行う人のほとんどは「ウェイト・リフティング競技」自体には興味がなく、自己の行うスポーツに必要な能力(筋力)をつけるために行っているのです。つまりバーベルを使うトレーニングを行う人の多くは「ウェイト・リフティング競技」を目指しておらず、またその愛好者でもないのです。中には筋トレ自体も好きではないが必要だから行っている人もいることでしょう。同様に多くのスポーツ選手は走り込みを行いますが、そのすべてが陸上競技愛好者とは言えないでしょう。

 トランポリンのエアリアルトレーニングも同様に、トランポリンを愛好するために行うのではなく、トランポリンを使ったトレーニングが必要だから行うものであるということです。

 「ウェイト・リフティング競技」はどれだけ重いものを持ち上げるかを競う競技ですが、バーベルを使用するトレーニングには、持久力をつけるため比較的軽いバーベルを何回も持ち上げるようなトレーニング方法も存在します。同様にトランポリンエアリアルトレーニングは、トランポリン競技に必要な「より高く・より美しく(付け加えるならより難しい種目を)」できるためのトレーニングではなく、より多種多様な空中運動経験を体験させるためのトレーニングであり、その習得種目は35種目限定されています。より多くの種目を行っていくトランポリン愛好者のためのトレーニング方法ではないのです。その証拠にバッジテストの対象は子ども(主に10歳以下)に限定されており、禁止はされてはいませんがレクトラ目的の成人は対象となっていないのです。

 

 

 

2016年

11月

18日

第13回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(5)

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「5.バッジテスト(5級)終了後にコース(バッジテスト・競技検定)の再確認」では、引き続き以下のような記述があります。

 “しかしながら、ほとんどの子どもは、幼少年期にはトランポリン的な運動を好むものである。

 幼少年期にトランポリンが好きだからと言ったから、トランポリン競技に向いているとは限らない。ほとんどの子ども達は、高学年から中学にかけて自分の好きなスポーツを自覚し始める。

  高学年になってもトランポリンが好きで、トランポリン競技に向いている子どもは、ほんの一握りに過ぎない。“

 ひとは、斬新実のある新たしい経験を非常に楽しく感じますが、同じことを繰り返すとたいていは飽きてしまいます。新鮮味が失わるからです。また、幼少期の子供は本能的にいろいろなことを体験しようとして、危ないと注意しても、高いとこにのぼったり、そこから跳び降りたり、あるいは落ちたりする経験を自ら行います。トランポリンで得られる空中運動経験は普段の生活では体験できないので、それを求めるため幼少期の子供はトランポリン運動を楽しいと感じることが多いのです。ただし、楽しいから好きとは限りません。同じ動作を繰り返し行えば、十分な経験を積んだことにより、その動作に対する興味を失うのが普通です。その結果より新しい種目を指導しなければやがて飽きてしまうのです。しかし高度な種目は危険性も高く基礎種目の完成度を上げる必要があります。そのためには反復練習が中心となる練習を行う必要がありますが、多くの児童は反復練習を好みません。

 バッジテストクラブでは1級合格すると原則として新しい種目を指導せず、シャトルゲームを中心とした練習を行っていくことになりますが、この段階までくると新しい種目を習得することができないので興味を失う子どもはかなりいます。子どもは好きな事なら何回も繰り返しますので、このような子どもはトランポリン運動が好きなのではなく、バッジテストの様に次つぎ新しい経験ができること、新しい種目ができるようになることが好きなのです。トランポリン運動自体を好きではない、子どもは決してトランポリンの愛好者として育っていかないのです。

 この時点で本当にトランポリンが好きなことそうでない子がはっきり出て来ます。そしてほとんどの子供はトランポリンの愛好者にはならないのです。つまりトランポリンが好きだからといってそのすべてがトランポリンの愛好者ではないのです。引用した文章はそれを示しているのです。

 

2016年

11月

24日

第14回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(6)

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「5.バッジテスト(5級)終了後にコース(バッジテスト・競技検定)の再確認」では、最後に以下のような記述があります。

 “5級終了後バッジテストの目的の再確認を保護者・子どもに行い、調整力トレーニングのコース(バッジテスト4級~1級・ボールトレーニング・シャトルゲーム)に進むか、トランポリン競技コース(競技検定初級・中級・上級)へ進むかを選択させる必要がある。”

 これについては以前2回も同じことが示されています。つまり、選択をさせることがバッジテストを正しく行い、またトランポリンの愛好者に向けて適切な指導が行えるようになるのです。これは非常に重要なことなので、教本で何回も繰り返し説明されているのです。

 

2016年

12月

02日

第15回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(7)

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」1では以下のように書かれています。

 “トランポリンの特性を他の分野に役立ててもらうという観点に立ち、丁重に指導し、他の分野に羽ばたいてもらう。”

 上記はエアリアル・トレーニングがトランポリンではなく他の分野(スポーツ)のために行うものであることを示しています。言い換えれば、トランポリン愛好者のためにつくられたものではないのです。

 

 

 

2016年

12月

16日

第16回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(8)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「2、どの程度の空中動作(種目)を経験させておけばよいか。」では以下のように書かれています。

 “移動空間で行う簡単なキャッチボールを体験させればよいと考えている。”

 エアリアル・トレーニングではボールトレーニングが含まれています。ボールトレーニングの目的が“移動空間”にあることがわかります。ここでいう移動空間とは、上下方向だけではなく、2級のボールトレーニングにあるように水平方向の移動も含んでいます。

 トランポリン競技、トランポリンというスポーツを行ううえで大切なことはトラベルと呼ばれる水平をできるだけ少なくして中央で跳ぶことです。水平移動すること自体トランポリンにはよくないことなのです。それをわざわざさせることはトランポリンの愛好者にとってはマイナスにしかなりません。このことからもバッジテストがトランポリン愛好者のためのものではないことがわかります。

 

2016年

12月

23日

第17回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(9)

 前回書いた様に、トランポリンというスポーツでは行うべきではない水平移動がトランポリン・エアリアルトレーニングに含まれています。このことはエアリアルトレーニングがトランポリンのためのものではないことを示しています。また1級にある反動閉脚跳びも同様のことを意味しています。

 トランポリンは「より美しく」を求めるスポーツです。反動閉脚とびのようにそった姿勢は美しくない姿勢といわれています。しかし、多くのスポーツでは背中の反りや上半身と下半身のねじれを利用して強い反動を得てボールを投げたり打ったりするのが普通です。

 エアリアルトレーニングはトランポリンのためのものではないので、他のスポーツで幅広く実施される反動を用いた運動を空中で経験させておくためにあえて、「反動閉脚跳び」を取り入れているのだそうです。

 ちなみに、静岡県で行われたコーチ研修において、反動閉脚跳びをトランポリン競技で実施した場合を説明していました。トランポリン競技において反動閉脚とびは完成度の低い閉脚跳びとして扱わるとのことです。閉脚跳びが3級、反動閉脚とびは1級にあることからわかるように、反動閉脚跳びの方が閉脚跳びより実施しにくい種目ですが、それにも拘わらず、競技で使用した場合は逆に点数が低くなってしまうのです。つまり反動閉脚跳びなどは行わないことが望ましいのです。

 そんな種目をわざわざ取り入れているのは、トランポリン・エアリアルトレーニングがトランポリンのためのものではなく、他のスポーツとくに球技を愛好する児童のための空中運動トレーニング法として作られているからです。

 

2017年

1月

06日

単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(10)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「3、習得した空中動作(種目)をどの程度反復させておけばよいか。」では以下のように書かれています。

 “競技選手の練習のように、一つの美しい動作を条件反射的に行えるほど反復すべきでない。”

 一般にスポーツ技術の習得・技術の向上については反復練習が必要です。その技術をより洗練させるには、より多くの反復練習が必要です。繰り返し何回も反復練習を行うことにより、その動作を意識しないでも行える“自動化”が行われます。自動化が起こればいちいち考えずに条件反射的にその動作ができるようになります。

 では自動化が起こると何がよいのでしょうか?自動化が起こる利点としては2つあります。まずいちいち考えずに行動できるので素早い動きができることです。もう1つは意識せずに行動できるため、意識を他のことに向けられるのです。たとえばサッカーではドリブルを自動化してできれば、ドリブルをしながら周りを見る余裕ができます。しかし意識してドリブルをしなければならない段階では、ボールなどに注意しないとうまくドリブルできません。

 同様にトランポリンを愛好しより難しい種目を習得したいのでしたら、基本的な動作は自動的に行えるようにしておかなければ、なりません。そのため、競技者やレクトラでは自動化が起こるまで反復練習することが必要なのです。しかし、エアリアルトレーニングでは、自動化が起こる(条件反射的に行える)まで反復してはいけないことになっています。これはエアリアルトレーニングがトランポリンのための練習法でないことを意味しています。

 

2017年

1月

13日

第19回 「運動の自動化について」

 自動化が起こるとなぜいけないのか?

 

 今回は教本を離れて自動化が起きるまで反復していけないのか、その理由については教本で説明している個所は見当たりませんので補足しておきます。

 

 さて、「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「7、直接かたちに表れない考え方・留意点」では指導にあたって常に“転移”について意識しておくこととあります。転移とは、ある運動が他の類似した運動に応用できることを意味しています。たとえば、野球などで行われるキャッチボール(片手での投球)を幼少時に行っておくと、将来野球だけではなく、バドミントンのスマッシュやテニスのサーブに“転移”できることが知られています。これは“正の転移”とも呼ばれます。つまりある運動経験が他の運動に役立つ、プラスの働きをするからです。

 教本では書かれていませんが、転移には“負の転移”と言うのもあります。たとえば、日本の中学の部活人口が最も多いのは軟式(ソフト)テニスなのだそうです。よって学生時代に軟式テニスを経験した人はかなりいることになります。一方社会人の行うスポーツで比較的愛好者が多いものに硬式テニスがあります。学生時代に軟式を経験した人が社会人になり硬式テニスに転向するということはよくあります。そのような人たちはかなりバックハンドストロークに苦労するようです。軟式テニスでは、バックハンドを打つときに手のひらを前に向けた形で打ちます。この方が強い球を打つことができるようです。しかし硬式テニスでは手の甲を向けた形で打つのが基本です。わずかな差ですが硬式ボールの方が固く重いので、軟式の打ち方では故障をしやすいためです。

 学生時代に軟式のバックハンドストロークを自動化するまで習得した人は、むしろテニス未経験者よりも打ち方の違いによる影響を受けて苦労するのです。これが負の転移です。

 トランポリンでは指先、つま先、膝・腰を伸ばした姿勢を基本姿勢とします。もしこの姿勢を自動化するまで練習したらどうなるでしょうか?基本種目の段階で美しい姿勢を身につけておけば宙返りの際にもきれいな姿勢・安定した跳躍ができるようになります。

 しかし、たとえば、スキーやスノーボードの選手がトランポリンを用いて練習した際に自動的につま先を伸ばすようになったらどうなるでしょうか?これらのスポーツではブーツで足首を伸ばすことができません。ブーツの中で自動的に足首を伸ばそうとしたら無駄な力を使うことになりますし、ブーツが邪魔して足首を伸ばせないことが空中バランスに影響することも考えられます。さらに、多くスポーツでは中腰の姿勢とか言われる膝腰を軽く曲げた姿勢が、基本姿勢です。このようなスポーツで、もしトランポリンの基本姿勢を無意識に実施してしまったらどうなるでしょうか?たとえば柔道でその姿勢を取ってしまうと棒立ちの状態となり簡単に倒されてしまうでしょう。球技でも素早く走り出したり、方向転換をするとはできなくなるでしょう。

 

 このようにあるスポーツ独特の動作を自動化してしまうと、“負の転移”が起こってしまう可能性があるのです。だから、トランポリン愛好者がトランポリンのためにトランポリンの基本姿勢を自動化できるまで練習するのはよいのですが、エアリアルトレーニングでトランポリンを利用している児童に対しては、自動化が起こるまで反復練習をさせてはいけないのです。

 

2017年

2月

10日

第20回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(11)

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「3、習得した空中動作(種目)をどの程度反復させておけばよいか。」では以下のように書かれています。

 “個人差があり、反復回数を何回と限定することはできないが、シャトル・ゲームの中に取り込める程度上達するまで反復すべきである。”

 上記の文の前では自動化が起こるまで反復練習をさせてはいけないということが書かれていました。つまり反復練習には上限があるのです。そしてここでは、反復練習の下限についての説明がされています。反復練習が少なければ、安定性が低くなり安全上問題があるからです。

 ここで注意すべきはその反復練習の下限値を「シャトル・ゲーム」に求めていることです。シャトルゲームは多くの地域で実施されていませんが、トランポリン・エアリアルトレーニングにおいてシャトルゲームは非常に重要な位置を占めています。

 シャトルゲームでは社会人の行うシャトル競技と異なり引き分けやそれに伴う判定による勝敗の決着というのはありません。これはシャトル競技がトランポリン愛好者のためにつくられたものであり、最終的に「より高く、より美しい」演技ができることが必要であるのに対して、エアリアルトレーニングにおけるシャトルゲームはそれを必要としていないためです。名前が似ているので混同されやすいのですが、エアリアルトレーニングにおけるシャトルゲームはトランポリン愛好者のためのものではないのです。それだからこそ名称も変えてありルールも変えて、似たようなものを2つも作ってあるのです。シャトルゲームはレクトラのためのものではありません。そしてシャトルゲームを含んでいるエアリアルトレーニングもレクトラのためのものではないのです。エアリアルトレーニングがレクトラのためのものではないのでその中の一部であるバッジテストもレクトラのためのものではないのです。

 

2017年

2月

17日

第21回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(12)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「スポーツの素養づくりは効果的に且つ短期間に」では、

  “専門スポーツの開始年齢がどんどん早くなっている。昨今ほとんどのスポーツのトップクラスの選手は、3~4歳からその専門スポーツの練習を始めている。従って、すでに特定の専門のスポーツの練習に励みながら、週に1回エアリアル・トレーニングに通ってくる・・・といったケースが多々あると思われる。

 こうした時、エアリアル・トレーニングは短期間・スピードと効率が要求される。“

 

 トランポリン・エアリアルトレーニングが他のスポーツのためのトレーニングであることをここでも示しています。トランポリンの愛好者を育てるためには、初期の段階からトランポリンに必要な基礎をしっかり時間をかけて身に着けさせることが必要です。美しい姿勢とトラベルしない安定したジャンプなどを身につけることが重要です。そのためにはより多くの反復練習をさせることが必要です。

 しかし、トランポリン・エアリアルトレーニングでは“短期間・スピードと効率が要求される。”となっています。これはエアリアルトレーニングが、他のスポーツのためのものであり、トランポリンの基礎をじっくり身につけるのではなく、他のスポーツに役立つように空中運動経験をできるだけ短期間に数多くさせるためものとなっているからです。

 このため、バッジテスト指導法はトランポリン愛好者の育成指導にはむかないものとなっています。

 

2017年

3月

10日

第22回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(13)

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「スポーツの素養づくりは効果的に且つ短期間に」では、以下のような記述がある。

 “より効率よく、スピーディに所定の35種目の空中動作を経験させる為に、連続形式すなわち5級~1級のバッジテスト形式を採用した。

 5級から1級までの連続パターンの中に必要な35種目が段階的に組み込まれている。“

 

 日本体操協会が作成した段階練習方法は、普及用、競技検定用、バッジテスト用の3種類があります。これらを見比べてみればわかるが、普及用及び競技検定用は基本的に単発種目を順番に並べてある(連続種目があってもそれらは連続種目でなければできない種目など2~4種目程度になっている)。これに対してバッジテストは連続練習が中心となった段階練習です。これは普及・競技検定用がトランポリン愛好者用(普及用は社会人向け、競技検定用が競技者および子供のレクトラ向け)であり、各種目を個別に段階的に反復練習になっている、つまり個々の種目を反復練習して完成度を高めていくためのものであるのに対して、バッジテスト用はここの種目は連続種目に取り組める程度の完成度があれば十分であり、一度に多くの種目を練習できるように連続練習が中心となっているためなのです。

 このように、トランポリン愛好者向けとエアリアルトレーニングでは練習の目標が変えられており、そのため段階練習方法も大きく変わっているのです。このことからもバッジテストの段階練習方法はトランポリン愛好者には向いていないものであることがわかります。

 

 

 

2017年

3月

17日

第23回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(14)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「5、スポーツの素養づくり(エアリアル・トレーニング)の総仕上げ」では以下のような記述があります。

 “ある一定の連続パターンで覚えた35種目の空中動作のみを持って、空中で自由自在に自分の身体を操る能力が身についたとは言いにくい。”

 上記の記述はエアリアルトレーニングの目的が“空中で自由自在に自分の身体を操る能力”を獲得させることであることがわかります。この能力を獲得させることが目的であり、その能力を他のスポーツに生かすために行うものがエアリアルトレーニングなのです。たしかにトランポリン競技の場合も同じ能力は必要ですが、トランポリンは空中運動が中心のスポーツであり、そのスポーツを行ううえではたった35種目しか対象としていないのは、おかしいと言えます。それはバッジテストがトランポリン競技・愛好者のための練習法ではないことを意味しています。

 

 

 

2017年

3月

24日

第24回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(15)

 前回紹介したように、バッジテストで習得する種目は35に限定されています。逆いえば35種目だけを習得するための練習方法がバッジテストの段階練習法なのです。どのようなスポーツでもそうですが基本がきっちりできていなければ、より高度な技術を身につくことはできません。トランポリンの場合、人間の限界まで、または個人個人の能力の限界まで、高度な種目ができるようになる可能性があり、その為には基礎をしっかり身につけることが必要です。

 しかし、比較的容易な35種目だけを対象としてしまえば、その分基礎部分を小さくすることが可能です。エアリアル・トレーニングは習得させる種目を35種目に限定することにより、土台を小さくし、反復練習の回数を減らすことによりスピーディにトレーニングが完了できるようになっています。その小さな土台・基礎を習得するための練習法をもっと高度な種目を行うであろうとトランポリン愛好者に適用するのは、効率が悪くかつ安全性が低いものとなります。

 

 

2017年

4月

07日

第25回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(16)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「5、スポーツの素養づくり(エアリアル・トレーニング)の総仕上げ」では、前回の記述に続いてシャトルゲームについて以下のように説明しています。

 “習得した35種目の空中動作を使ってシャトルゲームを十分楽しめるようになった時点で、35種目という制限があるが、その範囲内で自分の身体を自由に操る能力が身についたと解釈できる。従って、シャトル・ゲームはスポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)の総仕上げ、卒業試験と言えよう。”

 上記はエアリアルトレーニングの卒業試験ともいえるシャトルゲームの目的が“自分の身体を自由に操る能力”を身につけるための練習法であることがわかります。言い換えれば、エアリアルトレーニングの目的が、トランポリンの技術を身に着けることではなく、体のコントロール技術を身につけるためのものだということです。そのため、トランポリンとしての技術よりも、とりあえず目的通りに体を動かせていればよいということを条件にした練習法となっているのです。そのためにトランポリン自体を楽しみ、よりいろいろな種目、より高度な種目を習得したいトランポリン愛好者に向けの練習法ではないのです。 

 

 

2017年

4月

27日

第26回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(17)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「シャトルゲームは、競技会にしてはならない。」では以下のような記述があります。

 “例えば、このゲームを競技会と位置づけ県一・日本一を競い合ったとしたら、将来のスポーツ活動に役立てるための素養づくり(トレーニング)とは無縁なものになってしまう。”

 上記の記述は、シャトルゲームが全国大会まで行われているシャトル競技とは異なり、競技会ではないことを意味しています。バッジテスト会ではシャトルゲーム会に3回参加すれば卒業となっております。その際にシャトルゲーム会での成績は関係なく、参加すればよいものとなっています。

  これはトランポリン・エアリアルトレーニングがその名の通り“他のスポーツに向けての”トレーニングであり、トランポリンを用いた競技スポーツでもなく、トランポリンを用いたスポーツではないことを示しています。

 

2017年

5月

11日

第27回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(18)

 今回は、教本にはシャトルゲームについて詳しく書かれていませんが、シャトルゲームについて補足しておきます。バッジテスト・シャトルゲームの開催要項では、以下のような記述があります。

 “公式のシャトルゲーム会に参加した場合、順位によるメダル、賞状等は与えず、1回目、2回目参加の場合は参加証明書、3回目参加の場合は卒業証明書を与える。”

 上記も前回同様シャトルゲーム会が競技会ではないことを示しています。ゲーム会に参加できるように練習をすること(空中動作を体験させること)が目的であり、ゲーム会での結果・成績は競技会ではないので残さないようにするために、順位別の賞状やメダルを用意することを禁止しているのです。

 

 

 

2017年

5月

19日

第28回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(19)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「6.シャトルゲームは、競技会にしてはならない。」では以下のような記述があります。

 “スポーツ素養づくりは、広く浅く試行錯誤的に体験させて、身体を操る神経系を発達させておく事であり、もし、35種目の連続パターンを熟知し、条件反射的に行えるほど反復を繰り返したならば、今後それに似通った別のスポーツの空中動作は非常にやりにくくなる。”

 

 ここでは、トランポリンを長く続けていく愛好者が深く(より高度な)トランポリンをしていくのに対して、トランポリンエアリアルトレーニングは広く浅く行っていくものであることを示しています。また、条件反射的に行えるまで反復練習してしまうと、いわゆる“負の転移”、教本では、“今後それに似通った別のスポーツの空中動作は非常にやりにくくなる。”と表現されていることがおこるので、してはならないことと説明されています。これは紛れもなく、バッジテストがトランポリン愛好者向けの練習法としては存在していないことを示しています。

 

2017年

5月

25日

第29回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(20)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「7、直接かたちに表れない考え方・留意点」では「転移」について以下のように記述しています。

“②その目的の関係上、「転移について」いつも意識していること。この種目によって得た感覚が、将来のスポーツ活動のどんな場面に転移できるのであろう。

③その目的の関係上、「転移の条件について」いつも意識していること。この種目をどんな教え方をしておけば将来のスポーツ活動に転移し易くなるのであろう。“

 

 ここでも「転移」つまり、トランポリン運動で得た動作を他に利用することの大切さについて説明しています。つまりトランポリン・エアリアルトレーニングは他のスポーツにトランポリン運動を「転移」させることを目的にした練習法なのです。もしエアリアルトレーニングがトランポリンのための練習法なら、「転移」は必要はありません。その運動自体が目的なのですから。

 このことから、「転移」を重視して指導することになっているエアリアルトレーニングはトランポリンのためのも指導法でないと言えます。

 

2017年

6月

02日

第30回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(21)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「7、直接かたちに表れない考え方・留意点」では以下のように記述しています。

 “④トランポリン競技のような「難度と美の追求」ではなく、「神経系・身体機能面の追求」であることを、いつも意識していること。”

 

 ここでいう、トランポリン競技というのは広い意味で、トランポリンを使ったスポーツを意味しています。トランポリンを愛好していくには、いろんな種目ができるように挑戦していくことも楽しみの一つです。またより上手、すなわち美しくできるようになることも重要な目標です。

 ここでは、トランポリン・エアリアルトレーニングはそれらを追求するものではないことが示されています。代わりに機能面の追求つまり、さまざまなスポーツなどに応用できる能力の追求であることも示されています。

 以上述べたようにエアリアルトレーニングはトランポリンというスポーツをするためにつくられたものではないのです。

 

2017年

6月

08日

第31回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(22)

 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「7、直接かたちに表れない考え方・留意点」では以下のように書かれています。

 “⑤その目的の関係上、運動にかかわる神経系が最も旺盛な発達を示す幼少年期にトレーニングを終了させておくのがベターであることを意識しておくこと。”

 

  ここでは、トレーニングの終了時期について書かれています。つまりエアリアルトレーニングは終了することが前提となっているのです。これは愛好者が生涯スポーツとしてトランポリンを長く愛好していくのに反して、エアリアルトレーニングは終了することが前提となっていることを意味しています。

  つまりエアリアルトレーニングは、トランポリンを終了することが前提として作られているため、トランポリン愛好者(レクトラ)には向いていないものなのです。

 

 

 

2017年

6月

23日

第32回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(23)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」「7、直接かたちに表れない考え方・留意点」では“反復回数の制限を意識しておくこと。”と書かれています。

 トランポリン・エアリアルトレーニングでは、「単元3 目的別指導法」に書かれているように、条件反射回路が形成されるほど反復練習をさせてはいけないことになっています。一方選手やレクトラでは条件反射回路の形成が必要とされています。このことからも、トランポリンエアリアルトレーニングがレクトラのためのものではないことがわります。

 

 

 

2017年

6月

30日

第33回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(24)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」の「8、直接かたちに表れる留意点」では以下のような記述があります。

 “③外形的な美しさにとらわれない。(膝・つま先・美しい身体の線等トランポリン競技の美しさにとらわれない)

 ④腕全体で、後ろから前に大きく振り上げさせて種目を行わさせる。(トランポリン競技では良くない)

 ⑤トラベルを重視しない。(トランポリン競技では、トラベルしないように行わせる)“

 

 以上から、トランポリン競技とは異なる形をエアリアルトレーニングでは指導することになっています。これもエアリアルトレーニングがトランポリン競技者・愛好者のための練習方法ではないためです。

 

 

 

2017年

7月

07日

第34回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(25)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」の「8、直接かたちに表れる留意点」では以下のような記述があります。

 “⑤トラベルを重視しない。(トランポリン競技では、トラベルしないように行わせる)”

 

 前回も紹介した一文ですが、改めてトラベルについて説明します。トラベルとは水平移動を意味しています。

 例えばハンドボールでシュートを打つとき、また野球でジャンプして捕球するとき、バスケットやサッカーでパスをもらう時、これは通常水平移動をしながら行われます。ほとんどの球技では止まった状態から垂直に単純に跳ぶということはまれで、水平移動を伴います。それはジャンプしてボールを投げる、捕るなどの場合でも水平移動が伴うのが普通です。つまり水平移動を伴うジャンプというのは他のスポーツにおいて当たり前のことで、同じ位置で跳び続けなければならないトランポリンのジャンプの方がまれなのです。

 トランポリンエアリアルトレーニングは、他のスポーツをする児童のためのトレーニング法なので、危険のない範囲でトラベルを行うことは必要なトレーニングなのです。だから、トラベルを重視しないとあるのです。

 

 

2017年

7月

14日

第35回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(26)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」の「8、直接かたちに表れる留意点」では以下のような記述があります。

 “⑥空中で自由に手・足・膝・腰などでバランスを微調整できる能力を身に付けさせる(トランポリン競技では良くない)”

 

 上記もまたエアリアルトレーニングがトランポリンのためのものでないことを示しています。トランポリンを主体に考えるのでしたら、できるだけ微調整をする必要がなく安定したジャンプができるようにすべきです。しかし、球技などではボールを操ったり、他のプレーややネットなどを考えて、しかも水平移動して行うのが普通です。その中にはぎりぎりの体制等で行うこともよくあることです。そういう場合に備えて、微調整する能力を身に着けることも大事なのです。だからこのような指導をすることになっています。

 

2017年

7月

28日

第36回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(27)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」の「8、直接かたちに表れる留意点」では以下のような記述があります。

 “⑦種目のこなしを固定しない。(例えば、空中で早い時期に捻る、遅い時期に捻る、ゆっくりと捻るとか、早い時期に反る、遅い時期に反るとか、右にも捻れる、左にも捻れるとか、前にトラベルしながらでも捻れるとか、後ろに流しながら捻れるとか、これらが全部できなくとも、試行錯誤的に体験させておくのが望ましい)”

 トランポリンとしてのスポーツを考えるならば、競技採点規則とはかかわらず、正しい姿勢、上手な演技というのがあると思われます。また競技で考えるのでしたら、捻りはどちらか一方おこなえればかまわないので、完成度を高めるための反復練習の観点からいえばどちらかに固定した方が有意となります。

 しかし、これらに反してトランポリン・エアリアルトレーニングでは、“こなしを固定しない”ことになっています。これはエアリアルトレーニングが、トランポリンのためのものではなく、あくまで他のスポーツに通ずる基礎動能力の開発に主眼を置いているからです。他のスポーツでは正しい姿勢で行うこと以上に、どんな体制でも、どんな動きでも転んだりしないで、あるいは倒れてもすぐ次の体制をとれるようなバランス能力が必要です。トランポリンというスポーツに固定して考えればそのような状況にならないように安定してできるように反復練習を行うのが正しい練習法ですが、他のスポーツを考えるとそういった状況に備えた練習も必要となるのです。だからこのような指導を行うようになっています。もしトランポリンのための練習法ならそうならないように固定した練習をする方が効率的であり、このような練習は効率の悪い無駄の多い練習となります。

 

2017年

8月

03日

第37回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(28)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「10.バッジテストの合格基準」では、合格基準を以下のように説明しています。

 “バッジテストの合格基準はいたって簡単で、種目1~10が、どんな形でも続行できれば合格となる。”

  “どんな形でも続行できれば”とは上手でなくてもいいということです。なお、指導普及員講習テキストには書かれていませんが、コーチ講習のテキストでは反復練習の回数について以下のような記述があります。

  “安全指導の観点から見た反復回数の下限は「連続運動の中に取り込める程度の習熟に必要な回数」と言える。”

  バッジテストの合格基準は、“どんな形でも続行できる”、つまり10種目という連続運動の中に取り込むことができれば合格です。“連続運動の中に取り込める”というのは安全上最低限必要な反復回数ということですので、バッジテストの合格基準とは安全上の下限値の反復練習を行ったことを確認していると言えます。当然技術・能力としてみにつけるために必要な反復回数は安全上必要な反復回数ではなくもっと多くしなければなりません。

 

 以上からバッジテストの合格とは、技術や能力が身についていることを判断しているのではなく、安全上必要な練習を行っていることを確認するためのものであると言えます。言い換えれば、技術・能力として身につかない段階で合格を与えてしまうのがバッジテストなのです。つまり合格したからといって、運動能力が身についていることを保証しているのではないのです。

 トランポリンを競技としてではなく愛好する人にとってもこのようなテストに合格しても大した意味はないと考えられます。もしバッジテストがトランポリン愛好者・レクトラのためのものであるならば、安全だけではなく、技術が身についていること保証するレベルを合格基準にするべきです。つまり合格基準をもっと高く設定すべきなのです。それを行っていないのは、バッジテストがレクトラのためのものでは全くないからです。

 

 

 

2017年

9月

28日

第38回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(29)

「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「10.バッジテストの合格基準」では、引き続き以下のように説明しています。

 “このような低い基準に統一してもスポーツの素養づくり全体に悪影響を及ぼす心配はない。なぜならば、バッジテストは5級~1級に至るまで、順次基礎からの積み上げになっている。たとえ4級を非常に低い習熟度・レベルで合格できたとしても、3級に進むには、その基礎となっている4級の習熟を必要とするからである。

 最後に1級を大変低い習熟度で合格できたとしても、次のシャトルゲームを楽しく遊ぶためには、更に全体の35種目の習熟度を高めなければならない。“

 

 バッジテストの合格基準は、上記にあるように非常に低く設定されています。そのため“合格できたとしても”さらに合格済みのものを練習して、“習熟度を高め中ればならない”のです。

 

 これは前回書いた様に能力が身についたのを確認したので合格ではなく、安全上最低限の練習をしたことを確認したので合格としているためです。そしてこのような低い合格基準によるテストに合格しても、トランポリン愛好者として、よりいろいろな種目(バッジテストにある35種目以外の種目など)を実施するには、合格していても不十分です。むしろもっと高い合格基準を設けた試験を実施すべきなのです。それを目的としてトランポリン愛好者向けに新しく創設されたのが、「競技検定」なのです。名称に「競技」とついていますが、これは「スポーツ」とほぼ同義の使い方です。競技検定は、選手になる人だけではなく、愛好者(レクトラ)を含むトランポリンというスポーツのためのテスト制度なのです。つまりバッジテストは愛好者用ではなく、愛好者用は競技検定なのです。

 

2017年

11月

03日

第39回 合格基準設定の理由

 前回書いた様にバッジテストの合格基準は非常に低く設定されています。では、なぜこのような合格基準を設けているのでしょうか?教本では“全国統一し易い”と説明していますが、それだけではないと考えられます。

 それはシャトルゲームを行うためです。バッジテストで練習する種目は35種目に限定されています。この35種目を用いて自由自在に身体をコントロールするための練習がシャトルゲームなのです。そしてシャトルゲームで使用する35種目をできるだけ効率よく短期間に安全に実施できるようにするための練習方法がバッジテストなのです。

 1つ1つの種目をじっくり練習するよりも広く浅く35種目を練習できるように簡単な種目が安全にできる段階まで進んだら、他の種目に進められるように合格基準を低く設定しているのです。また、このような低い合格基準で先に進められるようになっていることからトランポリン種目の基礎をきっちり身につけることはできません。

 腰落ち-膝落ち-1/2捻り腰落ちはスイブルの導入種目で、ローラーはキャットツイスト(背落ちから1回捻り背落ち)の導入種目、キャットツイストはルドルフ(前方1回宙返り1.5回捻り)の導入種目となっているようにトランポリン競技では簡単な種目が難しい種目の基礎となっていますが、バッジテスト、エアリアルトレーニングでは、ローラーはそれ以上の種目につながる種目としては位置づけられておらず、シャトルゲームで実施できるレベル、つまり連続種目の中に取り入れられる程度の完成度があれば十分という目標で指導し、合格を与えることになっているのです。

 このようにバッジテストの合格基準は、シャトルゲームを行うことを前提に設定されており、もっと多くの種目を、もっと高度な種目を行いたいトランポリン愛好者のために必要なレベルでは設定されていません。このことからもトランポリン愛好者向けにバッジテストが作られたものではないことがわかります。

 

2017年

12月

21日

第40回 バッジテストは安全を判断するものである

 今回は、バッジテストが安全に関するものであることを補足しておきます。

「単元4 安全指導」「1.スポーツ事故と法的責任」に“正しい運動処方で指導していたかどうかの判断”について以下のように書かれています。

  “「バッジテスト」の受験実績などが決め手となる。”

 つまりバッジテストは、正しい運動処方で指導していたかどうかに関係しているのです。

 バッジテストでは1度に3回級受験することができます。これは、先に進めてもいいかどうかの判断を指導者ができることを意味しています。しかし、その判断はあくまで指導者個人の判断です。その判断が適正であったかどうかは検証して見なくてはわかりません。  

 バッジテストでは、テスト会を通じて、(公財)日本体操協会は認定を行っています。その際の判定員はクラブ外の有資格者が行うことになっています。このような作業を通じて、(公財)日本体操協会が安全上問題ないかどうかを判定していると考えれば、合格している生徒が万が一事故を起こした場合、少なくとも合格済みの種目については適正な指導がなされ、それを日本体操協会が証明しているということになり、指導者個人の過失がなかったことが証明されることになります。

 つまりバッジテストは、安全を確認するというための試験制度でもあるのです。

 

2017年

12月

31日

第41回 競技検定とバッジテストの基準

 普及指導員教本に関しては今回が最後です。

 前回バッジテストは安全を確認するものであると書きました。これは競技検定も同様です。両者はともに安全を確認するものなのです。しかしその基準には大きな違いがあります。

 競技検定の範囲は段階練習表(普及版)の30番までのテストですが、このテストに合格した者は30番までの種目についてその完成度を確認することで31番以降の種目に進めてもよいかどうかを判断しているものといえます。

 競技検定が31番以降の種目を実施する為に必要な基礎技術の完成度を判断基準にしているのに対して、バッジテストはシャトルゲームが実施できるようにすることを前提にし、公式のシャトルゲームに3回程度参加した時点でトランポリンを卒業することを前提にしています。言い換えればシャトルゲームで用いる35種目に種目を限定することにより、低い基準に設定されています。それを前提に合格基準はその種目自体が安全に行えるかどうかを判断するものになっています。つまり、もっと高度な技を実施するために必要な完成度を求めていません。

 ともに安全を確認するものですが、競技検定はより高度な種目を実施する為の安全確認であるのに対して、バッジテストは先を見越してではなく、その種目自体が安全に行えるかどうかの安全確認になっているのです。

 このため、バッジテストを受けていたものが、より高度な種目に挑戦しようとすると安全性が保障されないものとなります。

 

 次回からは、塩野尚文先生著『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』(道和書院)から引用して、バッジテストがレクトラのためのものではないことを示していこうと思います。