スタンスを考える

 人間の骨盤は幅を持っていますので、下図のように足を閉じすぎても広すぎても脚は垂直になりません。脚が垂直になっている時、かかる力は軸方向だけですが、脚が角度を持つと、軸方向に加えて軸と直角方向にも力が加わります。

 脚は骨盤を端部としてみれば、以前紹介した片持ち梁のような構造になっています。

 

 だいぶ前に「白樺のポーズ」について書きましたが、白樺のポーズはエネルギー伝達効率のよい姿勢です。それは身体の変形を最小に抑える姿勢ですが、脚が傾きを持つと片持ち梁のようにたわみが生じて、その分エネルギー伝達が悪くなります。

 エネルギー保存の法則からいうと、

  トランポリンの弾性エネルギー=上下方向運動エネルギー+脚の変形エネルギー

  となります。この変形エネルギーが弾性エネルギーとして利用できればエネルギーは保存されるのですが、その多くは体内で吸収されてしまうので、跳躍に活かすことが出来ないのではないかと思われます。これは以前書いたスポッターマットを使用した場合と同じことです。言い換えれば脚の変形がスポッターマットの役割をしているのです。

 そして脚の傾きの角度が大きければ大きいほど、脚の軸に対する直交成分が大きくなり、変形が大きくなります。

 

 以上のことからスタンスを広げると、単純にトランポリンのたわみが小さくなるため跳躍が低くなるのではなく、脚の変形によるエネルギー逸散が生じ、エネルギー伝達効率が悪くなるため、跳躍高さが低くなるのではないかと考えます。