第29回 こなし方を固定しないこと

 塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』の「6.指導上の留意事項」の「B.エアリアル・トレーニングにおける留意点」の「b 直接かたちに表れる留意点」では種目のこなしに以下のような注意点を示しています。

 

 “⑨ 種目のこなし方を固定しない。(たとえば、早い時期に捻る・遅い時期に捻る・ゆっくり捻る・早い時期に反る・遅い時期に反る・ゆっくり反る・右にも捻る・左にも捻る・前に流しながら出来る・後ろに流しながら出来る。)これらの全部ができなくても、試行錯誤的に経験させておくことは大変意義がある。(競技にはその必要性はない)”

 

 トランポリン競技では捻りの方向を変えても同じ種目と見なされますので、一方向について練習した方が完成度が高められます。しかし、たとえばサッカーやバスケットボールでは左に捻ったり、右にひねったりしてボールを蹴ったり投げたりします。そのようなスポーツを行う人が一方向しか練習しないより、両方向練習しておくことの方が将来役立ちます。種目のこなしを固定しないということは同じ種目を練習するにもいろいろなパターンを行うことを意味しています。しかし、種目のこなしを固定した方がトランポリンとしての完成度や安定性が高められ、より高度な種目に進むこと、つまり余計な練習をしない分いろいろな種目を早く身に着けることができます。しかしエアリアルトレーニングはトランポリンのための練習法ではないので、いろいろなこなし方を経験させておく方が幅広い運動に対応できる能力が身につきますので、このように種目のこなしを固定しないように指導することが正しい指導法なのです。しかしそれはトランポリン愛好者にとっては回り道となります。

 

 以上で、塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』からの引用は終了です。次回からは日本トランポリン協会広報からエアリアルトレーニングがトランポリン愛好者・選手のためのものでないことを示す根拠を掲載してく予定です。