片持ち梁(2)

 前回に続いて今回も片持ち梁についてです。

 片持ち梁を利用する競技として、板飛び込みがあります。板飛び込みでは、トランポリンのように真上に飛ぶと水面に届く前に板の上に落ちてくるはずです。板にぶつからないようにするには前方にとびだす必要があります。しかし飛び込み選手に話を聞くとあまり前方に跳ぶという意識はないのだそうです。それはなぜでしょうか、それは片持ち梁に発生するたわみの特性のためです。 

 片持ち梁の場合固定端ではたわみが生じず、また傾きも生じませんが、それ以外の部分では、たわみが発生し、それに伴い傾斜が乗じます。この荷重点における傾斜角は、以下の式となります。

 

 傾斜角θ=P×b^2÷(2×E×I)  ※図は前回参照

 

 ここでカッコ内は前回同様()内の値は材料や形状によって自動的に決まる値です。先端で飛べば跳ぶほど角度が大きくなります。板から受ける反発力は板に対して直角方向になりますので、傾斜角があるため、真上ではなく斜め上(前方側)に跳ばされることになります。そのため、前方に飛ぶようにしなくても自然に前方へも移動していくので板の上に落ちてこないのだと思われます。