第2回 エアリアルトレーニングの目的

 塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』では、「I.子どものトランポリン運動の意義」で運動神経について以下のように説明しています。

 

 “元来運動に関しての鈍い、鈍くないは、運動をつかさどる大脳の中枢が実際に運動を起こす身体中の筋肉をいかに上手にあやつったり、支配しているかということで、生まれた時は、どんな子供も同様、自分の身体をあやつる能力(中枢の筋肉支配能力)はほとんどない。

 従って、遺伝的な要素がないとは言えないが、大半が後天的なものだと考えられてる。

 また、その能力は、10歳ごろまでにほぼ90%が大成してしまうといわれている。

 言葉をかえれば、鈍い、鈍くないは、生後10年間に、いかに広範囲は動きを量的に多く経験したかによって決まるのだと考えてもさしつかえない。“

 

 そして引き続き、トランポリンを用いたエアリアルトレーニングの利点について以下のように説明しています。

 

 “すべてのスポーツが、高度化し空中戦へと移行している現在、全ての子ども達にトランポリン運動を計画的に与えていくことは、スポーツ競技の発展に大変重要な意義を持つ。

 例えば、小学校3年生の男子がトランポリン運動を週2回練習し、3か月たつと1m位跳び上がれるようになる。

 床上での垂直とび1mは、オリンピックの男子バレーボール選手の跳躍に匹敵する。

 その子が成長して中学生になって、バレーボール部に籍を置いたとき、すでに、1mの空間における身体のコントロール能力を筋感覚的に身に着けていたとしたらなんと有利な事であろうか。“

 

 以上のようにトランポリンエアリアルトレーニングは、将来行うさまざまなスポーツとくに球技において運動神経の発達が著しいが、成人並みの跳躍力をもっていない時期にトランポリンを用いて空中でのコントロール能力を身につけさせておくことが目的であり、決してトランポリン競技やその愛好者育成のために作られたものではないのです。