第39回 合格基準設定の理由

 前回書いた様にバッジテストの合格基準は非常に低く設定されています。では、なぜこのような合格基準を設けているのでしょうか?教本では“全国統一し易い”と説明していますが、それだけではないと考えられます。

 それはシャトルゲームを行うためです。バッジテストで練習する種目は35種目に限定されています。この35種目を用いて自由自在に身体をコントロールするための練習がシャトルゲームなのです。そしてシャトルゲームで使用する35種目をできるだけ効率よく短期間に安全に実施できるようにするための練習方法がバッジテストなのです。

 1つ1つの種目をじっくり練習するよりも広く浅く35種目を練習できるように簡単な種目が安全にできる段階まで進んだら、他の種目に進められるように合格基準を低く設定しているのです。また、このような低い合格基準で先に進められるようになっていることからトランポリン種目の基礎をきっちり身につけることはできません。

 腰落ち-膝落ち-1/2捻り腰落ちはスイブルの導入種目で、ローラーはキャットツイスト(背落ちから1回捻り背落ち)の導入種目、キャットツイストはルドルフ(前方1回宙返り1.5回捻り)の導入種目となっているようにトランポリン競技では簡単な種目が難しい種目の基礎となっていますが、バッジテスト、エアリアルトレーニングでは、ローラーはそれ以上の種目につながる種目としては位置づけられておらず、シャトルゲームで実施できるレベル、つまり連続種目の中に取り入れられる程度の完成度があれば十分という目標で指導し、合格を与えることになっているのです。

 このようにバッジテストの合格基準は、シャトルゲームを行うことを前提に設定されており、もっと多くの種目を、もっと高度な種目を行いたいトランポリン愛好者のために必要なレベルでは設定されていません。このことからもトランポリン愛好者向けにバッジテストが作られたものではないことがわかります。