第36回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(27)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「7.エアリアル・トレーニング指導上の留意点」の「8、直接かたちに表れる留意点」では以下のような記述があります。

 “⑦種目のこなしを固定しない。(例えば、空中で早い時期に捻る、遅い時期に捻る、ゆっくりと捻るとか、早い時期に反る、遅い時期に反るとか、右にも捻れる、左にも捻れるとか、前にトラベルしながらでも捻れるとか、後ろに流しながら捻れるとか、これらが全部できなくとも、試行錯誤的に体験させておくのが望ましい)”

 トランポリンとしてのスポーツを考えるならば、競技採点規則とはかかわらず、正しい姿勢、上手な演技というのがあると思われます。また競技で考えるのでしたら、捻りはどちらか一方おこなえればかまわないので、完成度を高めるための反復練習の観点からいえばどちらかに固定した方が有意となります。

 しかし、これらに反してトランポリン・エアリアルトレーニングでは、“こなしを固定しない”ことになっています。これはエアリアルトレーニングが、トランポリンのためのものではなく、あくまで他のスポーツに通ずる基礎動能力の開発に主眼を置いているからです。他のスポーツでは正しい姿勢で行うこと以上に、どんな体制でも、どんな動きでも転んだりしないで、あるいは倒れてもすぐ次の体制をとれるようなバランス能力が必要です。トランポリンというスポーツに固定して考えればそのような状況にならないように安定してできるように反復練習を行うのが正しい練習法ですが、他のスポーツを考えるとそういった状況に備えた練習も必要となるのです。だからこのような指導を行うようになっています。もしトランポリンのための練習法ならそうならないように固定した練習をする方が効率的であり、このような練習は効率の悪い無駄の多い練習となります。