20.最後に

「5分程度で1kmのジョギングと同じ効果」とい情報についてはその根拠が不明です。逆にMETSではジョギングに比べて1/3程度の運動強度であることが示されています。両者は完全に異なることを伝えています。信頼性が高いのはMETS法の値と思われますので、「5分程度で1kmのジョギングと同じ効果」という情報の信頼性は低いと考えられます。

 また、「ジョギングよりも68%も運動効果が高い」というNASAの研究は心拍数や酸素消費量を合わせた条件下で体の各部に発生する加速度を調査したもので、加速度の刺激により骨密度や筋肉に対する効果を示したものであり、それを利用して無重力空間による健康障害対策としての利用法を提案しているものと考えられます。つまり、この研究成果はジョギングとトランポリン運動の消費カロリーを比較した論文ではなく、運動効果とはダイエット効果に関するものではないのです。

 さらに阿久井他の研究成果からは、競技用トランポリンでの運動においても、初心者の場合ジョギングほどの消費カロリーが得られないことが導けます。

 

 以上から、世間に流れているほどトランポリンのダイエット効果はなく、トランポリン運動のダイエット効果はジョギングに及ばないと考えられます。むしろトランポリン運動は日本トランポリン協会の調査結果にあるように背筋力に対する強化運動として有効であり、またNASAの研究にあると思われる骨密度に対する刺激、あるいは世間一般でも認知されている平衡感覚(バランス能力)のなどに有効なトレーニング手段であると考えられます。

 

 さらに日本トランポリン協会が考案したシャトルゲームは、トランポリンエアリアルトレーニング(通称バッジテスト)の神髄であり、それは最近文部科学省や日本体育協会が提唱している「多様性ある運動」として幼少期の運動能力向上のためのトレーニング手段として有効であると考えています。

 

 「トランポリン広場J-cube」ではトランポリンのダイエット効果は低いですが、以上のように運動神経向上、バランス能力の開発、重心の安定化や背筋力アップによる正しい姿勢の育成につながる運動としてトランポリン運動は有効なものであると考え、トランポリンの普及に努めております。