15.背筋力(2)

 前回紹介したテレビ番組は中田選手ひとりの調査結果であり、サンプル数は1つでたまたま中田選手の背筋が強かっただけという可能性もあります。しかし、トランポリン選手の背筋力に関しては他にも調査結果があります。

 現在解散して、日本体操協会に吸収合併された日本トランポリン協会が以前強化合宿中の選手の体力調査を行っています。その中には現在は身体を痛める危険性があると言われて行われていない背筋力測定が含まれていました(測定は反復横とび、垂直とび、背筋力、握力、立位体前屈、伏臥上体そらしの6項目)。その結果が日本トランポリン協会広報(No.42号p9、平成11年6月)に掲載されています。

 同資料では以下のように書かれています。


 “全国平均値との比較検討を実施します。今回の測定において、男女に共通して言えることは、強化選手の測定項目6項目のほとんどのデータが全国平均より高い記録を示している点です。特筆すべきデータは、背筋力の値です。男女とも各年齢層において、全国平均を大きく上回っています。"

 

 この結果は、トランポリンの運動特性から推測するに、運動実施の際上肢の振り上げによって背部筋群の動員が大きい結果に基づくものと考えられます。“

 すべての項目おいて平均より高いというのは当然です。全国平均にはあまり運動をしていない者も含まれているのに対して、この測定結果は認定強化合宿に参加するような選手に限定されているからです。他のスポーツにおいても同様の測定を行えば同じ結果になるものと思われます。ここで重要なのは、他の測定項目よりも目立って背筋力が大きかったという点です。

 前回紹介した「所さんの目がテン!」同様、背筋力が強化されているということを示しています。このことから、トランポリン運動は背筋力強化に役立つと考えられます。