13.加速度とは

 無重力とは何でしょうか? 月では体重が地球の1/6になると言われています。これは月の重力が地球の1/6だからです。

 F=ma

 理科の授業で習ったことがあると思いますが、この数式のaにあたるのが、加速度で、体重に関していう場合は重力加速度というものになります。Fは重力という力で、日常的には体重と呼ばれるものになります。mは質量で個々の物質ごとに決まっているもので、地球にあっても月にあっても変わらない値です。

 重力加速度は月では地球の1/6になるため、月に行くと体重は1/6になると言われているのです。同様に無重力というのは重力加速度がないということを意味しています。つまり体重も0ということです。

 NASAの論文でみられるGというのは地球の重力加速度を示す記号で、その前の数字は地球の重力加速度の何倍の加速度であるかを示す値です。なお、トランポリンの場合は重力加速度の3~7倍程度の加速度を受けているということが報じられているのがNASAの論文です。

 額の加速度を頭部に受けている加速度を計測したものと考えると、頭部に3Gの加速度がかかるということになります。頭部の重さは大体体重の4%程度といわれていますので、たとえば体重60キロの人の頭部の重さは2.4キロとなります(4キロぐらいあるという資料もあります)。これは1Gの加速度を受けた場合ですので、3Gの加速度を受けた場合3倍の7.2キロの力が加わったことになります。その力は首にかかることになります。

 このように重力の3倍の加速度発生がすると首へは通常の3倍の力がかかることになりますので、筋肉や骨への刺激となり、からだが鍛えられることになります。これはNASAのいう運動効果なのです。

 以上のようにNASAの研究成果は消費カロリーなどの効果が高いというものではなく、筋肉や骨への刺激・荷重が高いというものであると考えれば、厚生労働省などが用いているMETSと矛盾しないことになります。NASAと厚生労働省の外郭団体が調査している結果が全く異なる結果を出していると考えるよりも、METSは消費カロリーに関するもの、NASAの研究は消費カロリーに関するものではなく、加速度から求められる荷重に関するものと考えればそれらは相反することはありません。

 以上は本文ではなくアブストラクトだけから判断したものですが、両者の矛盾がなく解釈できる方法であり、そのことからNASAの調査結果を用いてダイエット効果があるというのは間違いだと思います。