余談5 3つのかかり

「腹落ち」には「胸がかり」、「へそがかり」、「膝がかり」の3つの落ち方があります。この名称はトランポリンのベッドにどこからつくかを示しています。普及指導員が一番最初に指導するのは、「膝がかり」です。なぜなら「胸がかり」になると、鯱鉾(サソリ)のようにのけぞってしまって腰を痛める危険性があるからです。また「胸がかり」の角度がつきすぎると顔面から落ちることになります。そして顔面をかばうために足をばたつかせた結果、かかとから落下し反動で脚が跳ね上げられ膝関節を破壊したという事故が過去に2件起きているそうです。だから「胸係」になることをさけるため、安全対策として「膝がかり」が推奨されています。

 なお、「臍がかり」からはいると、失敗して前のめりに角度がつくと「胸がかり」になることがあります。「膝がかり」は角度がついて前のめりになっても「臍がかり」になるだけです。以上の理由から安全面から「臍がかり」が推奨されています。「膝がかり」になるように、段階練習8の「よつんばい落ち」は下半身を後方に引いて立っていた部分つまり、ベッドの中心に手が着くように指導することになっています。

 なお、「かかり」の位置によってその後の運動が変わってきます。「膝がかり」は膝を支点に上体が前方回転してベッドに落下しますので、跳ね上げで上半身が後方回転します。つまり「腹落ち」状態から「立つ」きっかけを作れます。「胸がかり」胸を支点に胴体や脚が後方回転してベッドに落下します。その反動で下半身が浮き上がりますので、「腹落ち-1/2捻り背落ち」などがしやすくなります。ただし、この動作を必要とする種目は普及指導員の範囲にはないので、「胸がかり」を普及指導員が指導する必要はありません。

 最後の「臍がかり」は体の中心から落下しますので、回転運動は発生しません。そのため真上に跳ね上がります。段階練習26「ターンテーブル」やバッジテスト2級にある「腹落ち-腹落ち」などでは、そのまま上に上がるのがよいので「臍がかり」で行う必要があります。

 以上述べたように「腹落ち」はもっともベッドに接触する長さが長いため、次にする種目によって落下位置を微妙調整する方法があります。