エアリアルトレーニングを修了したらトランポリンをやめなければいけないのはなぜか?(その1)

 これには2つの理由があります。1つはトレーニングの目的上の問題です。もう1つは法律上の問題です。

 今回はトレーニングの目的上の問題について書きます。

  日本体操協会のマニュアルでは、エアリアルトレーニングを修了したら退会しなければならない、具体的に言うと「バッジテスト5級~1級を取得し、シャトルゲームに3回出場後3ヶ月以内に退会しなければならない。」というルールが設けられていますので、トレーニングメニューを終了したら退会(卒業)しなければならないことになっています。

  トランポリン・エアリアルトレーニングは、主に空中動作を必要とする球技を行うための素養づくりを目的として作られたものです。

  テニスの錦織選手の代名詞となっているエア・ケイはジャンプして打つショットです。このように多くの球技では空中動作を必要とします。しかし幼少時には高いジャンプするために必要な筋力がまだ備わっていません。一方運動神経が大きく向上するのは10歳ぐらいまでで、それ以降に能力を獲得しようとすると多大な能力が必要となります。つまり能力獲得に必要な幼少時に、将来必要となる空中感覚を育てることができないのです。

 トランポリン・エアリアルトレーニングは、そのような状況をかんがみ、トランポリンを用いて空中運動を経験させることにより能力開発を行うことを目的として作られたのです。

 トランポリン・エアリアルトレーニングはトランポリン愛好者以外の子ども(トランポリンを特別愛好しない子ども)を対象としています。つまりほかのスポーツやスポーツ以外の者を最終的に行うものを対象としています。他のスポーツをしてみる(指導する)ものにとってトランポリンを使って能力開発ができることは素晴らしいことかもしれませんが、いつまでもトランポリンを続けられ、時間を取られていては困ります。ゴールデンエイジと呼ばれる10代前半には本格的に特定のスポーツに取り組む時期に、いつまでもトランポリンに時間を割かれては困ります。

 トレーニングのメニューをすべて終了したら、いつまでも楽しさばかりを求めてトランポリンを続けることなく、各自が取り組むスポーツに専念できるように、きちんと卒業させることが必要となっています。幼少時(10歳ぐらいまで)には運動神経開発のために様々運動を経験させ、ゴールデンエイジと呼ばれる10歳ぐらいから各種目を本格的に取り組んでいく。これが年齢に応じた子供の運動指導なのです。

 尚、トランポリンを好きな子どものためには、トランポリン競技検定というものがあります。トランポリンが好きな子どもはこちらに沿った指導をすることになっています。


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