シャトルゲームに3回する必要はあるの?

 前回シャトルゲームは2回参加した時点で必要なレベルに達したと述べました。そう考えると3回参加する必要はないかと思われます。

 これについては個人差を考慮した対応と考えられます。

 よく子供のころの運動の大切さを説明の引き合いに出されるのに自転車があります。子供のころに自転車に乗れるようになっておけば、何年も自転車に乗らなくても大人になってからでも自転車に乗れるというものです。確かにこれは正しいでしょう。もし子供のころに修得した技術がしばらくしなかったらなくなってしまうのでは大変です。たとえばスイミングスクールは水泳選手にする為に子どもを通わせるのではなく多くの人は、万が一に備えて泳ぐ技術を習得、つまり泳げるようにするために子どもを通わせています。もしスイミングスクールをやめたら泳げなくなってしまうというのでは、スイミングスクールに通う子供は激減することでしょう。子供のころに泳げるようにしておけば生涯泳ぐことはできると思うからスイミングスクールに通う生徒は多いのです。一度習得してしまった運動技術はしばらく使わなくても消えたりしません。それが前提にあるからスイミングなど多くのスポーツ教室がはやるのです。

 しかし、たとえば自転車に乗る技術ですが、初めて自転車に一人で乗れるようになった時点でもし、自転車に乗れるようになったのでもう練習は不要とその後自転車に全く乗らなかったら、大人になった時はたして自転車に乗れるでしょうか?おそらく無理でしょう。ほとんどの場合自転車に乗れるなった後は日常的に自転車に乗るすなわち反復練習を行っています。反復練習をすることで運動経験が記憶され、ブランクがあったとしてもすぐに思い出されるので大人になっても自転車に乗れるのです。

 技術の習得を長期に残すにはある程度反復を行う必要があるのです。一夜漬けの勉強をしてよい得点をとってもテストが終わったらほとんど覚えていなかったという経験は誰でもあるでしょう。トランポリン運動も同じです。バッジテストはできるだけ短期間で35種目をできるように反復練習を極力少なくしています。このため短期間の間に多くの種目ができるようになり、達成感を味わえるのでバッジテストは楽しいのです。しかしそのため反復練習が非常に少ないものとなっています。つまりバッジテスト合格とは一夜漬けの勉強で得た試験結果のようなものなのです。

 人は記憶するとともに不要なものはどんどん記憶から消していくように、できているのです。それは運動も同じです。反復練習をすることにより必要なものとして技術は身につくのです。短期的にできたからといってその後反復を行わなければ、不要なものとして消されてしまう可能性は高いです。

 どのくらいの反復をすれば残るかは実はよくわかっていません。個人差もあります。

 トランポリンで得た空中での運動経験が生かされるのは、骨格の成長がほぼ完了し必要な筋力を備えた10代後半以降となります。エアリアルトレーニングを修了した児童はトランポリンをやめることになっていますし、それがなくとも中学に入るとほとんどの人はトランポリンをやめます。つまり3~5年前後トランポリンによる運動をすることはなくなるのです。5年間のブランクを超えて身につけた空中運動経験を活かせるように体に記憶させておく必要があります。もしあまり反復練習をしなければブランク期間中に不要なものとして消去されてしまう可能性があります。

 シャトルゲームを通じて運動能力を獲得するのには、前回書いた様にシャトルゲームに最低2回参加する程度の期間の反復練習は必要とは考えられますが、それで十分な人もいれば不足している人もいることでしょう。そこで安全をとって3回することを進めているのです。

 全国的に多くの児童がバッジテスト1級合格を機にシャトルゲームに参加せずトランポリンをやめています。バッジテストの制度、合格基準ではバッジテスト合格時点では本来必要な反復練習に達していない段階です。つまり、合格時点では十分な反復練習が行われていません1級合格時点でトランポリンをやめることはトランポリンエアリアルトレーニングで必要と考えている反復練習が行われない状態でトランポリンをやめていることになります。トランポリンで得た空中運動経験を活かせる10代後半以降の年代になったとき、必要な反復回数が行われていないため、運動経験が消え去っている可能性は非常にあります。これはバッジテストに費やした時間と費用を全く無駄にするということを意味しています。バッジテスト1級合格を機に辞めるということはそういう意味で非常に残念な、そしてばからしい行為であるといえます。


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