2.トランポリンダイエット効果の誤解

 今回は、まず「5分程度で1kmのジョギングと同じ効果がある」という情報についてです。これについては前回説明したように、『トランポリンに対する誤解』ですでに解説済みですが、本ブログに再掲します。


以下『トランポリンに対する誤解』から再掲

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 トランポリンをすると「5分程度で1kmのジョギングと同じ効果がある」といわれています。これはトランポリンの販売サイト、トランポリン教室、トランポリンダイエットに関するサイトでよく見かけるものです。この数値の根拠がどこからきているものかは知りませんが、どうもこれは眉唾の情報のようです(ハリウッドの女優の発言が元になっているみたいですが、その発言の元になる科学的根拠は見つかりませんでした)。

 なお、ここでいうトランポリンとは、「トランポリン広場 J-cube」で使用しているような大型のトランポリンではなく、家庭用のミニトランポリンを指しているものと思われます。


 本題に戻ります。厚生労働省から「健康づくりのための運動指針2006」というものがでています。この中で、METS法という消費カロリー計算法が使われています。METS(メッツ)というのは、身体活動の強さを、安静時の何倍に相当するかで表す単位で、座って安静にしている状態が1メッツになるそうです。消費カロリーはメッツと運動時間に比例します。つまりメッツが大きい方が、そして運動時間が長い方が消費カロリーは大きいということです。

 どのような運動をすると何メッツになるかも公表されており、トランポリンは3.5メッツだそうです。そしてジョギングは7.0メッツです。ちなみに水泳はクロールで8.0メッツ、平泳ぎで10.0メッツとなっています。

 メッツの数字からすると、トランポリンはジョギングの半分の身体活動強さ、つまり時間あたりのカロリー消費量が半分となります。

 7.0メッツのジョギングの速度は公表されていませんので、正確なところはわかりませんが、一般的なジョガーは1kmを6分~7分で走ります。5分で1km走るのはジョギングというよりもランニングに近くなります。

 

 身体活動強さが半分のトランポリンを5分では、2分半のジョギングと同じ効果しか出ないことになります。ジョギングをキロ7分として計算すると、2分半で走れるのは約350mとなりますので、「5分程度で1kmのジョギングと同じ効果」というのと大きな隔たりがあります。

  メッツの運動強度の計測がどのような状況で行われたのかまではわかりませんが、厚生労働省からでていますので、他の運動と同じような条件で測定した結果に基づくものと思われるメッツの値の信頼性は高いと思います。そして、メッツを元に考えると、「5分程度で1kmのジョギングと同じ効果」というのは過大評価であり、トランポリンの消費カロリーに対する誤解と考えられます。

 

 なお、分速98mのウォーキングは3.8メッツとなっています。つまり分速98mのウォーキングの方がトランポリンよりやや消費エネルギーが大きいということです。分速98mは時速に換算すると5.88キロです。ちなみに不動産屋さんが徒歩何分と表示する場合、分速80mで計算することになっています。また一般に徒歩は時速4キロ程度としていますので、3.8メッツのウォーキングは結構早歩きをした場合です。これから考えるとミニトランポリンの効果はジョギング程なく、ウォーキングと同程度ではないかと思われます。

 

※ METS法は日本の厚生労働省が採用している方法ですが、元はアメリカスポーツ医学会(ACSM)が発表したものです。

 

 

捕捉・追加情報

  7.0メッツのジョギングは一般的なジョギングとして書かれており、速度は公表されていません。しかし、よく調べたら時速8キロのジョギングのメッツが公表されていました。8.0メッツです。時速8キロのジョギングでは、1km走るのに7.5分かかります。上記で計算したキロ7分のより遅いジョギングが7.0メッツのジョギングです。これよりトランポリンの効果は350mよりも短いといえます。

  また、ミニトランポリン上のジョギングの値も公表されています。4.5メッツです。つまり同じ時間ジョギングする場合、ミニトランポリンで行うのは、実際走るよりも効果は少ないということです。