ボールトレーニングの目的はバッジテストと異なる

 指導者はバッジテストでは完全に合格できる者を受験させ、確実に合格させることになっています。これはバッジテストの合格基準がスポーツの素養づくりのために必要な能力(=身体を思いとおり自在に操ることができる能力)や技術が備わっているかどうかを判断するレベルよりもかなり低い安全にできる程度のレベルに達しているかどうかを判断するレベルに設定されているためです。

 つまり、次の段階に進めても安全はないかどうかを判断するためのテストであり、5級~1級まで合格することにより、次の段階であり、あらかじめやることが決められていない(自由自在に身体をコントロールする技術が必要な)シャトルゲームに進めてよいかどうかを判断するテストとなっています。

 

 一方ボールトレーニングは3回に1回程度できる状態で受験させてよい、つまり確実にできるまで練習する必要は求めていません。これはどうしてでしょうか?

 シャトルゲームが体を自由自在にコントロールする能力を身につけさせることを目的とし、バッジテストはシャトルゲームを安全に行えるようにするためて練習であるのに対して、ボールトレーニングでは将来に備えて、ボールを使って操作系の運動を経験させることが主な目的となっています。バッジテストは全部合格したらシャトルゲームに進むのに対して、ボールトレーニングは先に進むものはありません。先にあるのはトランポリンでの運動ではなく球技系スポーツなのです。確実にボールを操れるようにするのは、それら球技系のスポーツの指導者に任せ、トランポリン上では空中でボールを操ることを経験させておく程度でよいのです。

 

 10歳以下の子供を対象としたエアリアルトレーニングでは、トレーニングを修了した段階では、まだ高い跳躍をする筋力はありません。つまり今の段階では次の段階にすぐ進めるのではなく、第2次成長期を経過して高いジャンプができるようになったときに、次の段階へと進むのです。その間には跳躍をしないでボールを操作するという練習が球技系スポーツで行われます。そこでボールの取り扱いは確実にできるように練習しています。そして将来自分で跳躍してボールを操作するときに、神経系が最も成長する時期にトランポリンを使っておこなった空中でのボール操作の経験が地上でのボール操作と組み合わさって役立つのです。だからエアリアルトレーニングで行う段階では確実にできるまでの練習は必要なく、空中でボールを操作する経験を積んでおくだけでよいので、3回に1回程度できるレベルで受験してよいようになっているのです。

 

 以上のように、先に進むための判断をするために行われるバッジテストと将来に備えて経験を積んでおくことが主眼にあるボールトレーニングでは目的は異なっているのです。



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