バッジテストはなぜへたくそでも合格させてしまうの?

 

 バッジテストの合格基準は非常に低く設定されています。時々父兄から「あんなので合格してしまうのでは価値がない」という声が出るほど低い基準に設定されています。安全上最低限のレベルとなる「連続練習に組み込める」つまり10種目が何とか連続でできれば、合格となっています。

 

 これはなぜでしょうか?

 

 それはまずバッジテストの対象がトランポリン技術そのものを目的とするトランポリン選手や愛好者を対象としていないからです。だからトランポリンそのものの技術力を求めないものとなっているのです。バッジテストの受講対象として運動が苦手、嫌いな児童も含んでいます。スポーツとしてのトランポリンとして正しいレベルを求めていてはこのような児童に対しては非常に敷居の高いものとなります。トランポリンエアリアルトレーニングの目的は他の「スポーツに対する素養づくり」と運動離れが進む環境を改善する、つまり「運動が苦手な子に対して運動の楽しさを教えて運動習慣を形成すること」にあります。後者の子どもに合格つまり“できた”といいう達成感を与えることで、運動嫌いを直すことが期待されています。また運動能力を向上のためのトレーニング時期は以前に書いた様に限定されています。必要な時期に必要なトレーニングを施すことが必要です。そのため合格基準はあえて低く設定されているのです。

 

 なお、実用面では、バッジテストの合格基準を達成した程度では、十分な能力は身についていませんし、最低限の反復練習で達成してしまうレベルとなっていることから能力開発のためには必要な反復練習が不足しています。だからバッジテストは合格済み後も合格した種目の練習させることになっています。つまり合格後も練習することにより必要なレベルまで完成度を高めるように指導することになっています。時々「バッジテストで合格しているものを練習させるのはおかしい」とか、「合格済みのものはいいから次の級に合格するための練習をさせて欲しい」という声が生徒や保護者から出ますが、合格後も練習することを前提にして、合格基準を低く設定しているので、合格済みだからといって練習しなければ、必要な反復練習回数が不足し、トレーニングは意味のないものとなってしまいます。

 

 安全上最低限必要なレベルでいったん合格を与えて、次の段階に進ませるとともに、並行して合格済みの種目も引き続き練習することで必要な反復回数を確保し、必要なレベルに到達させる、そうすることで短期間に35種目を習得させるのがバッジテスト制度の根幹なのです。なお、1級合格後もシャトルゲームの練習をすることで、必要なレベルに到達できるようになっていますので、1級合格でやめてしまうことは、トレーニングが未完の状態でやめてしまったことを意味していますので、このような状況は早急に改善する必要があります。

 

 また多様性という観点からも今後取り組む種目ばかりを行うのでは、1日に行った運動種類のバラエティが乏しいものとなって、子どもの運動能力向上に役立ちません。そういった意味でも合格済みの種目を練習することは重要です。

 

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