選手になりたくないが、トランポリンが好きだというものはどうすればよいのか?

 バッジテストを受けると選手として大成しないといわれています。だから選手は「競技検定」というものがあります。しかしトランポリン愛好者向けというものはありません。

 では、愛好者は何をすればよいのでしょうか?

選手になりたくないが、トランポリンが好きだという子どもの行うトランポリンを、「子どものレクトラ(レクレーショントランポリン)」と呼びます。普及元年における改定前は子どものレクトラは厄介者として扱われていました。エアリアルトレーニングを受ける子どもはトレーニング修了でトランポリンをやめてもらうことになっていました。しかし、競技をめざさないけれどトランポリンはしたいという子供は以前から存在しました。しかしその存在は競技選手でもないのにトランポリンを占用してしまう子供です。ただでさえ練習場所の確保が困難なところにそのような存在は厄介者だったのです。また子供レクトラの指導はコーチが行うことにもなっていました。

改定後子どものレクトラは初級レベルの競技選手育成も普及指導員の指導範囲に位置付けられるとともに、普及指導員が指導するようになりました。そして、子どものレクトラはトランポリン競技の裾野として位置づけられました。子どものレクトラの中から当初の希望とは異なりトランポリンがより好きになり選手を目指すものが出てくることが期待できるからです。

 しかし、バッジテストを受けていては選手としては大成できません。

 バッジテストでは安全上最低限必要な「連続運動に組み込める程度」の完成度で、合格させ、合格後も練習することにより「シャトルゲームが行える程度」の完成度まで上げることになっています。

 しかしその完成度ではトランポリン競技では全く通用しません。つまりバッジテストはトランポリン競技に求められる完成度、基礎を作らないで次々を多くの種目を練習するものになっています。そのためバッジテストが修了した段階ではトランポリン競技に求められる基礎ができていないだけはなく、場合によっては直さなければならない悪い癖が身についていることもあります。そのため、バッジテストを受けていると選手に転向するには非常に難しく、バッジテストに費やした時間そのものが無駄となります。だから、選手に転向しても大成しないといわれています。

 選手向けには、早くからトランポリン競技に必要な基礎を身につけることを前提としたトレーニング、基礎となる演技力がなければ合格しないようなっている「競技検定」というものがあります。「競技検定」の方がより高い完成度を身につけていますので、より高度な種目に挑戦することができますし、また途中で気が変わってバッジテストに転向する(ほかのスポーツを選ぶ)のは容易です。その逆は難しいですが。

同様にトランポリンの愛好者は「競技検定」を選ぶ方が妥当です。競技検定にはトランポリン競技に必要な技術(「より高く」「より美しく」)を身につけるトレーニングとなっているからです。またバッジテストは35種目しか必要ないことを前提とした練習となっています。35種目以上の高度の種目に挑戦しようとしたときにバッジテストの練習方法では基礎が不足してそれ以上の種目を行うことができない可能性が大きいです。つまりバッジテストではシャトルゲームを頂点としてそれ以上のことをすることが予定

されていないもの、言い換えればそれ以上の種目ができないものになっているのです。だからトランポリン愛好者となるために必要な基礎も作るようにはできていません。

トランポリン競技選手として大成するには、「より高く・より美しく」だけではだめです。より難しい高難度の種目もできなければならないのです。しかし、「競技検定」は名称こそ「競技」とついていますが、トランポリン競技で必要な高難度の種目は含まれていません。トランポリンというスポーツの本質である「より高く・より美しく」だけにとどまっています。つまり「競技」という名称がついているので選手になるためのものと思われがちですが、その内容はトランポリンというスポーツをするためのものすなわちトランポリン愛好者のためのものになっているのです。だから愛好者は「競技検定」の練習を行うべきです。

最後に「バッジテスト」は主に球技スポーツを将来行う子ども、つまりトランポリンというスポーツ以外のスポーツを行う児童のために空中運動のトレーニングのためにつくられたテストです。つまりトランポリン愛好者向けには作られていなっていないのです。


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