バッジテスト1級合格は卒業ではないのか?

 結論から言うとバッジテスト1級合格は卒業ではありません。大学に例えるのなら、バッジテストは授業の単位に相当します。授業で得られるものも多くはありますが授業の多くは受け身であり、子供素養づくりとして考えると、効果は十分ではないと考えられています。そこで、卒業論文に相当するシャトルゲームというのが作られています。卒業論文必修である大学でどんなに単位をとっても論文を提出しなければ大学を卒業できない、つまり中退のあつかいになるのと同様、トランポリンエアリアルトレーニングではシャトルゲームに参加しなければ卒業としては扱われません。日本体操協会では3回公認のシャトルゲーム会に参加すると卒業証を発行しています。

なぜこのようなシステムになっているかも説明しましょう。

トランポリンエアリアルトレーニングは子どもの素養づくりを目的として行われています。子供の素養づくりについては文部科学省などから多様性のある運動が必要であるとされています。多様性のある運動というのは同じ動作を繰り返し行うような運動ではなく、たとえば、鬼ごっこに代表される昔の運動遊びのように、その時々に変化する運動を意味しています。トランポリンではシャトルゲームがこの多様性のある運動と言えます。シャトルゲームにより自由自在に身体をコントロールする能力を身につけることがエアリアルトレーニングの本来の目的です。だからこそシャトルゲームこそがトランポリンエアリアルトレーニングの卒業試験であるとされています。

さて、バッジテストに話を戻しますと、バッジテスト1級合格をすると日本体操協会の公認するシャトルゲーム会に参加する権利が与えられます。つまりバッジテストとはシャトルゲームの参加資格を得るための試験なのです。言い換えれば卒業試験を受ける資格を得るための試験なのです。バッジテストはシャトルゲームと異なり、パターンが固定化された運動を繰り返し行ってトランポリンの基礎種目を習得するものです。パターン化された運動を反復練習しても子供の運動神経向上にはたいして役立たない、多様性のある運動とは言えない、といわれていますので、バッジテストによる子供の運動神経向上の寄与は小さいということは旧日本トランポリン協会も認めています。

それでは、なぜバッジテストを行うのでしょうか?それはシャトルゲームを安全に行える技術を身につけるためです。バッジテストによりトランポリンの基礎種目を習得し、習得した基礎種目を用いて多様性のある運動をするシャトルゲームを行うことがトランポリンエアリアルトレーニングの本来の趣旨です。

ただし、この趣旨が理解されず単純に1級という言葉から1級が最後という誤解が広く世間に広まっています。

 

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