スポッターについて1(概要)

 No.67号にある廣田選手の事故、No.61号にある中田選手の事故、ともにスポッターに関する事故です。今回は記事紹介ではなくスポッターについて法的な面で検討してみたいと思います。

 スポッターというのは、選手がトランポリンから転落するのを防ぐために配置される人員を指します。さらに選手自身が1名のスポッターを用意することができます。このスポッターは転落防止だけではなく、技を失敗してトランポリン上に危ない落下をしそうな時に、マットを投げ入れることができます。トランポリンは高いところから落ちる危険性があるスポーツですので、それに対する安全対策の1つです。スカイスポーツや飛込競技あるいは棒高跳びなどかなり高いところから落ちるスポーツはありますが、事故が起きた場合の緊急体制、救助要員はいても事故防止専用のスタッフがいるというのは珍しいように思います。つまり、スポッターというのはトランポリン独特の制度なのです。

 だから、法的な問題は検討される機会はなかったのではないかと思います。そこで、スポッター制度の法的な問題について考えてみたいと思います。

 スポッター制度に関しては、高いところから選手が落ちてくるので、選手自身がけがをするだけではなく、中田選手の事例のように補助に入ったスポッターも怪我をする可能性もあります。当然両者の衝突により両者がけがをする場合もあります。

 つまり、事故が発生した場合、一方が加害者、片方が被害者となり、過失があれば、法的責任を負うこともあるということです。

 次回は、スポッターが受傷した場合、次々回は選手が受傷した場合について検討していこうと思います。