No.44(平成12年6月)

 研究・安全対策委員会から「大学トランポリン競技者における傷害についての調査報告」がなされています。以下のその内容をかいつまんで紹介します。

 傷害の発生時には、疲労していた、集中力を欠いていたという回答が多いので、指導者は選手の状態(健康上と精神状態両面)を把握し、練習時の環境設定について十分な配慮が必要であることが報じられている。

 なお、傷害の内容と実施種目の一覧に27件の傷害が掲載されている。それを見ると、12件の骨折(内2件は疲労骨折)、靭帯損傷9件、ねん挫2件、その他の関節傷害4件である。競技選手の調査のため疲労骨折以外についての実施種目のほとんどは宙返りであり、アンケート調査のため、重大な事故のみが抽出されているものと思われます。

 しかし、回答数48名中12件の骨折があるということは、回答数の25%、つまり大学競技選手の4人に一人は骨折を経験しているということになります。これは、アンケートに回答したものなので、重大なけがをしたものが回答を積極的にした可能性もあるので、実際の比率はもっと少ないかもしれないし、対象となったのは大学生であり、大学生の場合大学からトランポリンを始めて、数年の間に宙返りを実施しているものも多いことから、段階練習や反復練習が不十分な状況で発生しているため事故率が高くなっている可能性もあると思います。

 しかし、調査報告のアンケート結果の有効回答率が1/3であることから、回答しなかったものが骨折を経験しかなったと仮定してもアンケートを送付されたもの(大学トランポリン競技者143名)のうち8%程度は骨折を経験していることになります。個人的な感想では、この骨折経験率はかなり高い率であると思います。

 これではほかのスポーツと比べて安全性にそん色はないというのは難しいといえ、当時と現在の状況は異なるかもしれませんが、この報告書を見た感想として、大学トランポリン競技団体は安全性に一層努力してもらいたいと思います。