発育の年齢区分に対する私見

 前回、発育の年齢区分について整理した。ここで、筆者の経験に基づく年齢毎の私見というか感想を述べておくことにする。なお、ここでいう年齢はトランポリン・エアリアルトレーニングを開始すなわち自分の指導クラブに参加し始めた時の年齢区分である。

 年齢区分として、①未収園児~幼稚園年少、②年中、③年長~小学3年生、④小学2・3年生、⑤小学4年生以上の5区分を考えている。なお、中学生以上がないのは、中学生になってからトランポリンを始めるケースは希であり、データが少ないためである。

 ①未収園児~幼稚園年少:この時期は、基本動作はできても、基本動作の組み合わせが非常に苦手な時期である。逆に言うと単体の基本動作を習得するのに適した時期だと思う。

 ②年中:基本動作もその組み合わせもできるが、連続動作が苦手である。連続動作が苦手なのは運動能力より知力というか記憶力がまだ乏しいためとおもわれる。基本動作の習得とのその簡単な組み合わせ動作を始めるのにはよい時期と思われる。

 ③年長~小学3年生:技術習得の速度の個人差がよく見られる。これは、トランポリントレーニングを開始する以前の基本動作の習得具合による差と考えられることから、この段階で既に基本動作の習得を開始済みであることが方がよいと思われる。「保育と幼児期の運動遊び」でも6歳までの幼児期に80数種の運動レパートリーを獲得できるとしていますので、できれば基本動作の習得はこの年代以前に行うことがよいと思われる。

 なお、習得速度の遅い生徒には、2つの基本動作を1つの動作として組み合わせることと、2つの連続動作として行うことの区別がつかないケースがよく見られる。年中以前のこどもはかなりの割合でこの2つの区別ができない子がいるが、成長とともに徐々に区別ができるようになる。しかし、年長~小学生の年代でトランポリンを始めて、その年代でこの区別ができない子は、大きくなってもしばしば動作の違いを理解し実施することに苦戦することが多くみられる。このことから、動作の違いを区別する能力は5歳ぐらいまで身につける必要があるのではないかと思う。つまりトランポリンの連続運動のような運動は年中の年代までに経験させておくことが望ましいと考えている。

 ④小学2・3年生:この年齢になると理解力があり、基本動作が既に習得している子が多いことから、おおむね上達速度は速いことが多い。特に女子はその傾向が高い。この時期は基本動作習得のラストスパートの時期と思われる。

 ⑤小学4年生以上:この時期にトランポリンを始める子は、どちらかというと他のスポーツをしたことのない子、苦手な子が多い。ただし、トランポリンを楽しいと感じて継続することも多い。この時期なら、まだ成長期以前なので、まだ運動機能向上が可能であり、トップアスリートになるのは無理としても、運動嫌いをなくし、運動を始めるきっかけ作りとしてトランポリンは推奨できる。