日本体育協会2

 前回書いたように、日本体育協会のスポーツリーダー養成テキストによれば、5,6歳~8歳頃にかけてを「プレ・ゴールデンエイジ」といいます。「プレ・ゴールデンエイジ」は人間の成長の中で一度だけ訪れる神経系の発達が著しく見られる時期とされています。

 この時期には、脳の中や身体の中の神経回路が様々な形で張り巡らされていくことが行われています。この時期の特徴として、「運動浪費」、「随伴動作」、「運動衝動」というのが見られると言うことです。

 「運動浪費」とは、この時期に張り巡らされていく神経経路が、その運動に関係する回路だけを用いるのだけではなく、関係ない回路まで刺激して、目的に合わない動作をしてしまう現象です。さらに余分な動作をしてしまうことを「随伴動作」といいます。また多種多様な刺激を求めるため、集中力がなく次々興味が移っていき、動いていないと気が済まない状態(「運動衝動」)になるのがこの時期の特徴だそうです。

 つまりこの時期には、多種多様な刺激を与えるようなトレーニングが神経回路の成長に合ったトレーニングといえます。この時期に反復練習をすれば特定の動きが非常にうまくなることは可能ですが、この時期に多種多様な動作に関する経験を積まさないと、型にはまった運動しかできなくなり、将来複雑な動きを必要とする運動に対応する適応能力が失われてしまうということです。

 そこで、この年齢段階では、スポーツそのものの技術にこだわることなく、様々な遊びを導入して、多種多様な動作を経験させることが必要となっています。