子どものレクリエーショントランポリンを取り巻く環境2

 「トランポリン普及元年」に「宙返りを含まない競技選手育成」の指導法が作成されました。これが子供のトランポリン愛好者(レクトラ)向けのメニューです。普及元年以前レクトラ向けの指導法がなかったため、チャンピオンスポーツとしての競技指向の強い競技育成になるか、トランポリン以外のスポーツのためのトレーニングメニューであるバッジテストをするかのどちらかであり、また指導者の多くは後者に対応した普及指導員であったため、たとえトランポリンというスポーツ(トランポリン競技)をしたくとも、バッジテスト(トランポリンを用いた運動トレーニング)を受けざるを得ない状況が生まれてしまいました。

 そしてバッジテストは全メニューを完了したものは、トランポリンを卒業することになっています。しかしこの段階になってもトランポリン愛好者ならもっとトランポリンを続けたがるのは当然です。本来このような子どもは他のスポーツ同様に、スポーツとしてのトランポリンすなわちトランポリン競技向けの指導をしてあげるべきでしたが、その方法がなかったため、ミスマッチングな状況が生まれました。

 最終的には、このような子どもがレクトラ嗜好の子どもと認識され、競技選手としてもエアリアルトレーニングの観点からも、中途半端なものとして扱われるようになりました。

 「トランポリン普及元年」ではこのようなトランポリンというスポーツ自体をすることを目指す子ども向けの指導メニューと「競技検定」というシステムが作成され、またこのメニューは宙返りを指導するコーチだけではなく、宙返りを指導できない普及指導員の指導範囲とされたことにより、指導方法上も、指導者面でも整備されました。これによって、今まで邪魔者であった子どものレクトラは、トランポリン競技の裾野拡大のための重要なポジションに位置づけられました。